「真実の口」2,040 新型コロナウィルス・・・515

前回の続き・・・。

2023 年 5 月 9 日(火)以降、「全数把握」から「定点把握」に移行した。

コロナの感染状況が把握しづらくなった中、新たな変異株が感染拡大しているという。

当 Blog でも以前紹介したが、今年の春頃からインドや北米など、世界各地で感染が拡大している‟ XBB.1.16 ”で俗称‟アークトゥルス( arcturus )”と呼ばれている変異株である。

‟アークトゥルス( arcturus )”は、うしかい座の一等星を意味する。

‟ XBB.1.5 ”は、伝説の怪物‟クラーケン”から命名されていたが、今回の命名の趣旨は不明である???

日本国内では、東京都が公表している週ごとのゲノム解析結果の 5 月 18 日時点の推移を見ると、 4 月 3 日から 9 日の結果では一件も報告されていなかった‟ XBB.1.16 ”が、その後、 4 月 17 日から 23 日の週では 14.3% 、4 月 24 日から 30 日の週では 23.0% と急激に増加している。

専門家は・・・?

東京大学医科学研究所教授・佐藤佳氏:

「‟ XBB.1.16 ”は、‟ XBB.1.5 (俗称クラーケン)”よりも高い伝播を備えているのはほぼ間違いないと思います。

‟ XBB.1.16 ”はオミクロン系統の変異株で、今感染の主流となっている‟ XBB.1.5 ”と同様、組み換え体と呼ばれる変異株です。

ただし、‟ XBB.1.5 ”の進化系ではなく、兄弟のような関係だと思ってもらえばいいでしょう。

私たちがこの変異株に注目した理由は、‟ XBB.1.16 ”が持つ高い伝播力です。

ウィルスの広がりやすさを意味する伝播力は、ひとりの感染者から何人に感染が広がるかを示す『実効再生産数』という指標で比較されるのですが、それを見る限り、‟ XBB.1.16 ”の伝播力は、それまで最強だった‟ XBB.1.5 ”を上回っています。

変異株検査のサンプル数が大きく減っているので厳密な評価はできませんが、東京都が公表したゲノム解析結果を見る限りでは、すでに国内でも‟ XBB.1.16 ”が感染を広げている可能性は十分あります。

まず、‟ XBB ”系統については、私たちが免疫逃避性と呼んでいる『ウィルスが免疫をすり抜ける力』が非常に高いことがわかっていますが、その力は‟ XBB.1.5 ”も同じで、これがマックスの状態だと考えています。

そのため、ワクチン接種による中和抗体が効きづらくなっているのは間違いありません。

また、感染のしやすさに大きく関係するもうひとつの要素だと思われていた『細胞への結合力』ですが、こちらも‟ XBB.1.5 ”と比べて上がっていません。

そのため『なぜ‟ XBB.1.16 ”の伝播力が、‟ XBB.1.5 ”を超えて過去最強なのか?』は、今はよくわかっていません。

おそらく、実験室では再現できない何か別の要素が、この新たな変異株の高い実効再生産数につながっているのだと思います。」

専門家でさえ把握できずらい変異株が、以前のようにリアルタイムな感染状況はわからない状況下、市中で広まっているのは何とも不気味である。

当 Blog でも‟ XBB.1.16 ”の症状をお伝えしていた。

今の所分っているのは・・・。

‟ XBB.1.16 ”の感染時に重症化率や死亡率が上がったという報告はない。

これまでとは違う「症状」が見られ、発熱や咳、喉の痛みといった一般的なコロナの症状に加えて「結膜炎」や「下痢」など、呼吸器系以外の症状が数多く報告されている。

前述した佐藤氏:

「一般的に呼吸器系の病気だと思われている新型コロナ感染症ですが、このウィルスが人間の細胞と結びつく『 ACE2 』と呼ばれる受容体は、腸などの消化器や肝臓、目の結膜など、人体のさまざまな場所にあるため、ウィルスが呼吸器以外の細胞に感染することもあります。

‟ XBB.1.16 ”で報告されている症状の変化には、そうしたコロナの特徴が関係している可能性があり、これはコロナ後遺症の原因のひとつと指摘されている呼吸器以外での持続感染に関係しているのかもしれません。

イギリスのように国民のほぼ全員が感染した国でも流行の波は起きています。

今後もコロナが世界から消えることはなくて、おそらく日本でも、社会の中に感染者が 20% 程度は常にいる、という状態に最終的にはなっていくのかもしれません。

ということは、ウィルスそのものはずっと増え続けていくので、ウィルスの変異はどんどん蓄積されていくことになります。

それがデルタ株のようにウィルスの特性が突然大きく変化し、病原性が高まった変異株を生むことだってある。

そうしたことが起こりうる可能性があることを、忘れてはいけないと思います。」

with コロナを選択した人間は適応できるのだろうか?

いち早く‟ XBB.1.16 ”が感染拡大したインドでは・・・。

感染症の専門家たちによると、‟ XBB.1.16 ”系統の致死性は低いとし、 WHO のマリア・ヴァン・カーコフ氏は、‟ XBB.1.16 ”について「数カ月前から出回っているが、個人や集団で症状の厳しさに変化は見られない。」と説明しつつ、監視を継続していると説明していた。

インドでは感染者が急増したものの、入院患者は特に増えなかったという。

日本は、「 5 類」移行前は、ゲノム解析を、都道府県で実施率 5 ~ 10% 程度、数として週 300 ~ 400 件を目安に実施していたほか、国立感染症研究所でも週に 800 件の解析をしてきた。

「 5 類」移行後は、都道府県で週 100 件、国立感染症研究所で週 200 件程度となっており、以前と比べると 1/4 程度となっている。

感染状況が確認しづらいが、‟ XBB.1.16 ”が大きな波となり‟第 9 波”のうねりにならないことを祈るばかりである。

次回へ・・・。