12 月 19 日木曜日に退院後の初検診をうけた私は、翌日、故郷・五島に 1 泊 2 日で五島に帰った。
島で一人暮らしをしている父親にはガンのことは伏せていたのだが、父親のお世話をしていただいている方から、入院中に父親が入院したという連絡が入っていたからだ。
もちろん、仕事も兼ねての強行日程だったのだが、空港に迎えに来ていた父親と昼食を兼て、うどん屋へ向かった。
五島うどんを食べながら・・・。

以下、臨場感を出すために五島弁と訳でお伝えする。
私:「体調はどげんな?(訳:体調はどう?)」
父:「大したこたなかったい。(訳:大したことは無い。)」
私:「○○さんが結構しんぴゃーしちょったけんさ。(訳:○○さんが心配していたからさ。)」
○○さんは父がお世話になっている人。
父:「ほんなこっ。○○さんには言わんで良かち言うちょったとけさ。(訳:本当にさ~。○○さんには言わなくても良いと言っていたのにさ。)」
私:「まあ、そがん言うたっち、親爺も年が年じゃけんたい。(訳:まあ、そうは言っても、親爺も年が年だからさ。)」
父:「まあ。そりゃそうじゃばってん。(訳:まあ、そうれはそうだけど。)」
私:「一応、病院の先生とは電話で話したったい。(訳:一応、病院の先生とは話したよ。)」
父:「ああ・・・、そげんね?(訳:ああ、そうなん?)」
私:「うん。何か所かポリープんあっごちゃばってん、年ん年じゃけん、そんまんまにしちょった方が良かじゃろちうこっじゃばってん。(訳:うん。何か所かポリープがあったけど、年が年だから、そのままにしといた方が良いでしょうということやったよ。)」
父:「ああ。そげんした。(訳:ああ。そういう風にした。)」
私:「まあ、そらそっで良かじゃろばってん。(訳:ああ。それはそれで良いと思うよ。)」
父:「ああ。」
私:「そいはそいで良かっじゃばってん。コケたっじゃろ?(訳:それはそれで良いんだけど。転倒したんやろ?)」
実は、○○さんから入院の連絡があった数日後、入院中の私に、父親が入院している病院からリハビリ中に転倒したという留守番電話が入っていた。
私は、手術前の検査を受けていたので電話を取ることが出来なかったので、メッセージを聞いて病院に折り返ししたのだが、電話をかけてきた担当医は退勤した後だった。
仕方がないので、明日の手術前までなら話すことが出来るので 8 時半くらいまでに電話がほしい旨を看護師さんに伝えた。
看護師さんは、連絡を取って折り返ししますと言ったのだが、結局、私の退院まで連絡をよこすことがなかった。
退院後に、主治医に電話して、ようやく状況を聞くことが出来たという経緯があった。
父:「おう、リハビリん時に、足ん絡んでこけたっさ。(訳:リハビリの時に足が絡んで転倒した。)」
私:「今はどげんな?(訳:今はどうなん?)」
父:「うん。うったとこはもう良かばってん。(訳:うん。ぶつけととこはもう良くなったよ。)」
私:「そんならそっで良かばってん。(訳:それならそれで良いけど。)」
父:「おう。しんぴゃあかけたね。わざわざ来んでん良かったとけ。(訳:うん。心配かけたね。わざわざ、来なくても良かったのに。)」
私:「いやあ・・・。おっかっも話んあったとたい。(訳:いや。俺からも話があるんよ。)」
父:「どがんしたっか?(訳:どうした?)」
私:「ホントは、すぐに来たかったじゃばってん、病院かっ電話んあった時、おっも入院しちょったさ。(訳:本当は、すぐに来たかったけど、病院から電話があった時、俺も入院していんだ。)」
父:「どがんしたっか?(訳:どうした?)」
私:「舌ガンになって、手術しったっさ。(訳:舌ガンになって、手術したんだ。)」
父:「・・・えっ!」
私:「(舌を見せながら・・・)ほら?」
父:「・・・。」
私:「まあ、腫瘍んとこは全部取って、転移もなかったけんか。しんぴゃあせんで良かよ。(訳:まあ、腫瘍のところは全部取って、転移もなかったから心配しなくて良いよ。)」
前年に長男を亡くしたばかりの父親は流石にショックを受けていた。
父:「おっも胃がんで胃ば全部とって、都喜さん(母)もガンじゃったし、眞人(兄貴)もガンで死んだけんね~。(訳:俺も胃がんで胃を全部取って、都喜さんもガンだったし、眞人もガンだったからなあ。」
私:「まあ、そういう家系なんじゃろや。(訳:まあ、そういう家系なんだろ。)・・・(笑)」
父:「今はどがんな?(訳:今はどうなん?)」
私:「まあ、しゃべっちょってんそげん分らんじゃろ?(訳:まあ、話していてもそんなに分からないだろ?)」
父:「ああ、言われたら、ちょっと違うとかねえち思うばってん、言われんかったら分らんじゃったよ。(訳:ああ、言われたら、ちょっろ違うかなと思うけど、言われなかった分からなかったよ。)」
私:「まあ、仕事も普通にこなせちょっけんしんぴゃあせんで良かよ。(訳:まあ、仕事も普通にこなせているから心配で良いよ。)」
父:「おう、大事にせんと(訳:おう、大事にしないと)。」
私:「ああ、ありがとう。」
父:「ほんなこったい。(訳:本当に。)」
私:「おう、わかっちょっ、わかっちょっ。(訳:うん。分かっているから。分かっているから。)」
父親がうどんを完食しているのを見て・・・。
私:「うどん、全部食えちょっじゃん?(訳:うどん、全部食べられてるやん?)」
父:「おう。ここんとは食わるっと。(訳:ああ。この店のは全部食べられる。)」
私:「そげんな?夏に△△(娘の名)と来た時に五島うどんば食べたときに 3 分の 1 くらいしか食べられんごちゃったけんさ。(訳:そうなん?夏に△△(娘の名)と来た時に五島うどんを食べたときに 3 分の 1 くらいしか食べられていなかったようだからさ。)」
私と娘でこの年の夏に五島に帰って来たときの話である。
父:「五島うどんは、年ば取ってかっ喉ば通らんさ。ここは五島うどんと普通んうどんの頼まるっけんさ。(訳:五島うどんは、年を取ってからは喉を通らないんだよ。この店は、五島うどんと普通のうどんを注文できるからさ。)」
私:「ああ・・・。そうなん?」
父:「じゃけん、うどんば食ぶっ時はここに来っとたい。(訳:だから、うどんを食べるときはこの店に来るんだよ。)」
私:「へ~っ。そぎゃんな店んあっとなら良かったね。(訳:へ~っ。そんな店があるのなから良かったね。)」
父:「晩飯はどがんすんな?飲まるっとか?(訳:晩飯はどうする?飲めるのか?)」
私:「おう、昨日、退院後初めて飲んだばってん、とりあえず大丈夫じゃったよ。(訳:ああ、昨日、退院後初めての飲んだけど、大丈夫だったよ。)」
父:「じゃったら、寿司ば取っか?(訳:じゃあ、寿司を配達してもらおうか?)」
私:「うん。任すっよ。(訳:うん。任せるよ。)」
この後、一旦、父と家に帰り、私は仕事に出かけた。
運転していると、父から電話が掛かって来た。
父:「◇◆(寿司屋の名前)に電話したばってん、忙しかごちゃって、持ってこられんとちさ。(訳:◇◆に電話したけど、忙しくて配達が出来ないんだってさ。)」
私:「おう。分かった。ほんならバリューによって適当に刺身ば買って帰って、◇◆に寿司だけ取りに行くけん、そげん電話ばしちょってくれ。(おう。分かった。それならばバリューによって適当に刺身を買って帰るから、◇◆に寿司だけ取りに行くと電話をしておいて。)」
バリューとは、福岡を中心に店舗を持つ、確かな品揃えと品質を兼ね揃えた生鮮専門スーパーなのだが、何故か、福岡以外に五島に一店舗だけあるのである。
テレビにもよく取り上げられる福岡県民にとっては、なくてはならないスーパーなのだ。
そして・・・。

寿司と地魚と酒・・・。
親子二人の晩餐。
次回へ・・・。











