「真実の口」2,290 サバイバー ㊻

前日の続き・・・。

11 月 29 日(金)午後・・・。

12 時少し前に部屋がノックされる。

コンコンコン♪

配:「ササダキョウイチさん。お食事をお持ちしました。」

私:「はい。ありがとうございます。」

2024/11/29*昼食

≪メニュー≫ 五分菜食(刻み)
五分粥 330g
タラのクリームソース掛け 三分
なすの煮びたし 五分刻み
鳥とブロッコリーのコンソメ煮 三分

≪栄養成分の表示≫
熱量: 277kcal
たんぱく質: 18.3g
脂質: 3.4g
炭水化物: 39.7g
塩分: 1.9g

朝食を完食できたおかげなのか、お粥が七分粥から五分粥に変わり、量も 220g から 330g に増量した。

なすの煮びたしだけは、五分刻みと少し大きめになったようだ。

少し気分を変えて、大阪城(?)を眺めながら食べることにする。

2024/11/29*昼食

声:「ホンマ、半分やな(笑)。」

やはり、お粥の熱さが微妙に伝わりづらい・・・。

温度管理もされ、そこまで熱くないにも関わらず、うっかりするとやけどをしそうである。

タラのクリームソース掛けも舌にまとわりついて意外に食べづらい。

なすの煮びたし(五分刻み)はちょうどよいくらいの大ききなのか食べやすかった。

食べている最中からのことなのだが、食物残渣が気になって仕方がない。

食後、うがいで口中のものを流してみると、洗面台に大量の食物残渣が拡がる。

声:「う~ん・・・。いつまでこんな感じなんやろ?」

答えを言えば、今日現在でも大差はない。

幾分、嚙み砕いたり、舌を使って送り込んでの咀嚼をすることは上手になっているのだろうが、食事中に歯茎の口の裏の隙間の食物残渣は気になるし、歯間に挟まった食べ物を上手く取れないのは全く変わらない。

今までは、空港のラウンジやショッピングモールのお手洗いで、食事の後に歯磨きをしている男性を見たら、「几帳面な人だな~。」と思っていたのだが、もしかしたら私のような状況を抱えていた人たちだったのかもと思うと、自身の置かれた立場によって物事の見え方は変わることを実感する。

テレビのニニュース速報で、著名人や芸能人の死亡を目にすると年齢が気になり、自身と近いと「ふ~む・・・。」と考える自分がいる。

ネットニュースでも、「 ◎◎ さんががん公表・・・云々」という記事を見ると、どこのがんでステージはどのくらいなのかが気になるようになった・・・。

自身の立ち位置で物事の見方が変わる。

これは、私にとって、意外に貴重な収穫であった。

物事の視点を変えて思考することで違う景色を感じることが出来るからだ。

人は良い意味にも悪い意味にも変わる・・・。

自身がどこに立っているのか、俯瞰で見てみると違う景色が見ることが出来るかもしれない。

話を戻そう・・・。

14 時過ぎ・・・。

うたたねをしていると・・・。

コンコンコン♪

看:「ササダさん。失礼します。」

私:「はい。」

看:「お昼担当の +- です。よろしくお願いします。」

私:「よろしくお願いします。」

看:「お食事は食べられましたか?」

私:「はい。完食しました。」

看:「はい。ありがとうございます。食べにくかったものはありませんでしたか?」

私:「熱さを感知しにくいのか、舌の真ん中と端の方で熱さの感じ方が違うっぽいみたいです。」

看:「あ~。舌は先端部部が熱を感じやすくて、奥は感じにくいんですよ。」

私:「へえ~っ・・・。」

看:「もう少し冷ますようにお伝えしますか?」

私:「いや、そこまででは無いので大丈夫です。」

看:「ご希望があったら言ってくださいね~。」

私:「はい。」

看護師さんが出て行った後は、入院のお供、動画配信。

演じ屋

シーズンものは助かる(笑)。

動画配信を見ていると・・・。

コンコンコン♪

家内がやって来た。

家:「どう?」

私:「ああ、特には変わりなし・・・。」

家:「食事はどう?」

私:「う~ん。熱さが分かりづらいかな~。」

家:「そうなん?お粥とか熱いの?」

私:「いや、かなり冷ましてくれているとは思うけど、食べている途中で、思ったより『アチッ』ってなると気がある。」

家:「ふ~ん。」

私:「看護師さんが言ってたんやけど、先端が熱を感じやすいんだと・・・。」

家:「ああ、それはそうね・・・。」

歯科衛生士の家内は知っていたようだ・・・(笑)。

私:「食べるときに先端に置いて食べ始める訳じゃないからさ・・・。」

家:「うん。」

私:「食べている最中に、先の方に来て、『アチッ』ってなるんやと思うわ。」

家:「うん。」

私:「まあ、何とか工夫するさ・・・(笑)。」

家内に生命保険の手続きに関しての話をする。

数社加入しているので、ネットで手続きできる分には手続きをするが、電話をしなければいけない分には、流石に伝わるかどうかわからないので家内の力が必要である。

まさか、昨年(この時点で)、兄が亡くなった後に加入したばかりのがん保険を請求することになるとは思いもよらなかった・・・(笑)。

家内も帰り、動画配信を診るしかない・・・(笑)

日が暮れ始めて夕刻になる。

18 時前、ノックがする。

コンコンコン♪

配:「ササダキョウイチさん。お食事をお持ちしました。」

私:「はい。ありがとうございます。」

2024/11/29*夕食

≪メニュー≫ 五分菜食(刻み)
五分粥 330g
おでん 五分刻み
金時煮豆 三分
野菜の中華煮 三分
果物 桜桃缶(刻)

≪栄養成分の表示≫
熱量: 494kcal
たんぱく質: 23.0g
脂質: 5.6g
炭水化物: 80.0g
塩分: 2.1g

家内に LINE を送ったが写真を見てもどれがどれか分からないと言われた・・・。

確かに、おでんを砕いたものとか目にすることは無い。

左上:おでん
中央:桜桃缶
下:野菜の中華煮
右:金時煮豆

食べ終わったくらいに、看護師さんがやってきた。

コンコンコン♪

看:「ササダさん。お食事はどうですか~?」

私:「今、食べ終わりました。」

看:「完食ですね~。お膳下げますね~。」

私:「良いんですか?お願いします。」

看:「点滴をされている間は、片手になるのでこちらで下げますよ。」

私:「えっ?そうなんですか?」

看:「はい。抗生剤の点滴も出ていますので、下げた後にすぐ来ますね~。」

私:「はい。」

コンコンコン♪

看:「ササダさん。点滴を持って来ました。」

私:「はい。お願いします。」

2024/11/29*点滴(夕)

看:「一時間くらいで外しに来ますね~。」

私:「はい。」

一時間後に点滴も外れ、この日は、動画を観ながら就寝・・・。

次回へ・・・。