前回の続き・・・。
隔週水曜日に行われていた合同部会がお盆の為か 1 週空いて 8 月 25 日(水)に開催された。
第 67 回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和 3 年度第 16 回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(以下、合同部会)の内容である。
接種が開始された令和 3 年 2 月 17 日から対象期間の 8 月 8 日までに、ファイザー社ワクチン、武田/モデルナ社ワクチンについて副反応疑い報告がなされ、それぞれの頻度は 0.02% ( 20,492 例/ 90,651,661 回接種中)、 0.01% ( 1,564 例/ 12,261,354 回接種中)だった。
≪アナフィラキシー報告事例≫
【ファイザー社製】
1.報告状況
○前回の合同部会( 8 月 4 日)以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告において、製造販売業者からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに 219 件あり、令和 3 年 2 月 17 日から令和 3 年 8 月 8 日までに報告されたアナフィラキシー事例は計 2,211 件、総副反応事例は計 10,467 件となった。
2.専門家の評価
○令和 3 年 8 月 8 日までに報告された総副反応事例 10,467 事例のうち、上記 219 件を含むアナフィラキシーの疑いのある 2,211 事例を対象に、専門家の評価を実施。
○評価結果の概要は、以下のとおり。
ブライトン 分類レベル |
報告件数 | ||
---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | ||
1 | 82(+2) | 69(+2) | 13(±0) |
2 | 305(+43) | 238(+34) | 67(+9) |
3 | 18(±0) | 16(±0) | 2(±0) |
4 | 1,734(+175) | 1,303(+134) | 431(+41) |
5 | 72(-1) | 46(-1) | 26(±0) |
合計 | 2,211(+219) | 1,672(+169) | 539(+50) |
アナフィラキシーの症例定義として国際的な指標になっている「ブライトン分類」での評価は、2,211 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 405( +45 ) 例となっている。
●レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数注・・・405 件/90,651,661 回接種
● 100 万回あたりの報告件数・・・ 4 件
今回は、ワクチン接種の年齢層が拡大してきたので、ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数も見てみる。
年齢 | 報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 性別不明 | ||
0~9歳 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
10~19歳 | 1(+1) | 0(±0) | 1(+1) | 0(±0) |
20~29歳 | 58(+8) | 7(+1) | 50(+6) | 1(+1) |
30~39歳 | 97(+4) | 9(±0) | 88(+4) | 0(±0) |
40~49歳 | 127(+12) | 7(+1) | 120(+11) | 0(±0) |
50~59歳 | 64(+5) | 2(±0) | 62(+5) | 0(±0) |
60~69歳 | 27(+7) | 2(+1) | 25(+6) | 0(±0) |
70~79歳 | 15(+5) | 4(±0) | 11(+5) | 0(±0) |
80歳以上 | 16(+3) | 2(±0) | 14(+3) | 0(±0) |
合計 | 405(+45) | 33(+3) | 371(+41) | 1(+1) |
(参考) 65歳以上 |
47(+14) | 8(+1) | 39(+13) | 0(±0) |
表から見て取れることは・・・。
【年齢】
65 歳未満・・・ 358 例
65 歳以上・・・ 47 例
ファーザー者の報告通り、副反応は若年世代に多いことが伺える。
40 ~ 49 歳の年齢層が一番多く、その上下の年齢層が続いているので、丁度、中心値になるようだ。
【性別】
男性・・・ 33 例
女性・・・ 371 例
ファーザー者の報告通り、副反応は圧倒的に女性が多いのが分かる。
次に、アレルギーの有無を見てみよう。
ブライトン 分類レベル |
報告件数 | ||
---|---|---|---|
アレルギー 既往歴あり |
アレルギー 既往歴なし |
||
1 | 82(+2) | 16(-2) | 66(+4) |
2 | 305(+43) | 68(+10) | 237(+33) |
3 | 18(±0) | 1(±0) | 17(±0) |
合計 | 405(+45) | 85(+8) | 320(+37) |
アレルギーの既往歴なしの方が遥かに多いということは、アレルギーの有無はあまり関係ないのかもしれない。
【モデルナ社製】
1.報告状況
○前回の合同部会( 7月 21 日)以降、COVID-19 ワクチンモデルナ筋注の副反応疑い報告において、医療機関からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに 57 件あり、令和 3 年 5 月 22 日から令和 3 年 7 月 25 日までに報告された副反応事例は、計 103 件となった。
2.専門家の評価
令和 3 年 7 月 11 日までに報告された 46 件のうち、アナフィラキシーの疑いのある事例を対象に、専門家の評価を実施し、評価結果の概要は、以下のとおり。
ブライトン分類レベル | 報告件数 | ||
---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | ||
1 | 1(+1) | 0 | 1(+1) |
2 | 8(+1) | 8(+1) | 0 |
3 | 0(-1) | 0(-1) | 0 |
4 | 103(+11) | 98(+11) | 5(±0) |
5 | 13(+10) | 13(+10) | 0 |
合計 | 125(+22) | 119(+21) | 6(+1) |
「ブライトン分類」での評価は、 125 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 9 例となっている。
・レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 9 件/ 12,261,354 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 1 件
ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数
年齢 | 報告件数 | ||
---|---|---|---|
男性 | 女性 | ||
0~9歳 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
10~19歳 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
20~29歳 | 6(+2) | 1(+1) | 5(+1) |
30~39歳 | 2(±0) | 0(±0) | 2(±0) |
40~49歳 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
50~59歳 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
60~69歳 | 1(±0) | 0(±0) | 1(±0) |
70~79歳 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
80歳以上 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
合計 | 9(+1) | 1(±0) | 8(+1) |
(参考) 65歳以上 |
1(+1) | 0(±0) | 1(+1) |
表から見て取れることは・・・。
【年齢】
65 歳未満・・・ 8 例
65 歳以上・・・ 1 例
ファーザー社同様、副反応は若年世代に多いことが伺える。
ただ、ファイザー社が40 ~ 49 歳の年齢層が一番多かったのに対し、20 ~ 29 歳の年齢層が一番多く、次いで 30 ~ 39 歳の年齢層になっているので、ファイザー社より若年層への偏重が顕著のようだ。
今回の発表に限れば、 20 ~ 29 歳の年齢層にのみ副反応が現れている・・・?
【性別】
男性・・・ 1 例
女性・・・ 8 例
ファーザー者同様、副反応は圧倒的に女性が多いのが分かる。
次に、アレルギーの有無を見てみよう。
ブライトン分類レベル | 報告件数 | ||
---|---|---|---|
アレルギー 既往歴あり |
アレルギー 既往歴なし |
||
1 | 1(+1) | 0(±0) | 1(+1) |
2 | 8(+1) | 2(+2) | 6(-1) |
3 | 0(-1) | 0(-1) | 0(±0) |
合計 | 9(+1) | 2(+2) | 6(-1) |
ファイザー社同様、アレルギー既往歴なしの方が多いようである。
今回はアナフィラキシー事例のみを報告する。
次回へ・・・。