「真実の口」2,133 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎・前編

新型コロナウィルス感染症やインフルエンザの拡大が続く中、 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎の感染も増えているようだ。

A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは、 A 群 β 溶血性レンサ球菌と呼ばれる細菌によって引き起こされる咽頭炎のことで、短く略して、 A 群溶連菌溶連菌とも呼ばれる。

溶連菌と言われると、「あ~」と理解できる人も多いのではないだろう?

一般的に、溶連菌は子供の病気とばかり思われがちだが、大人も溶連菌感染症になることが十分にある。

そして、大人の場合、さまざまな合併症を引き起こすこともある。

溶連菌が咽頭に感染すると、 2 ~ 5 日程度の潜伏期間を経て、発熱や咽頭痛といった症状が出現する。

また、舌がいちごのようにブツブツした状態になることもある。

もし、以下のような症状の自覚があったとしたら、溶連菌感染症の疑いがあるかもしれない。

▶ 目や咳の症状はないのに、喉が痛くて赤い
▶ 鏡でみると扁桃腺に白いものがついている
▶ 首のリンパ節が腫れてのどの痛みがとても強い

ここで、全国の感染状況を見てみると、 2023 年 1 月 23 日 ~ 1 月 29 日の去年同時期は、 1 医療機関あたり 0.40 だった。

対して、今年は、 2024 年 1 月 22 日 ~ 1 月 28 日の全国の感染状況は、 1 医療機関あたり 4.35 となっている。

都道府県別にみると・・・。

1. 鳥取県・・・ 9.95
2. 山形県・・・ 8.71
3. 富山県・・・ 8.10
4. 福岡県・・・ 8.07
5. 北海道・・・ 7.92
6. 新潟県・・・ 6.33
7. 愛媛県・・・ 6.27
8. 佐賀県・・・ 6.26
9. 千葉県・・・ 5.85
10. 埼玉県・・・ 5.73

都市部や都市部以外、寒冷地や温暖地の境は無く、全国的に広がっているようだ。

日本では、毎年「 6 月 ~ 8 月」と「 11 月 ~ 3 月」に流行することが多かったようだが、 2023 年は、今までよりも少し早い 10 月中旬から感染拡大の兆候を見せ、 2023 年 12 月 11 日 ~ 12 月 17 日の期間に 1 医療機関あたり 5.04 とピークを迎え、その後、縮小傾向になったのだが、 2024 年 1 月 1 日 ~ 1 月 7 日の期間には 1 医療機関あたり 1.73 まで減っていたのだが、一転、増加へと転じて現在に至っている。

新型コロナウィルス感染症が流行し感染防止対策がとられていた 2020 年~ 2022 年までは、ほとんど感染者がいなかったにも関わらず、 2023 年 5 月に 5 類移行して以降、他のウィルスや細菌感染症同様、A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎も感染者数を増やしている。

大人が溶連菌に感染すると、どのような症状がでるのだろうか?

溶連菌感染症の主な症状は、発熱( 38℃ 以上)・のどの痛み・リンパ節の腫れ・倦怠感である。

溶連菌感染症の潜伏期間は 2 ~ 5 日。

その後、突然、発熱と喉の痛み、倦怠感がでてくるそうだ。

特に、以下の症状がみられる場合は、溶連菌感染症の特徴となるそうだ。

▶ リンパ節の腫れ:特に首の前側のリンパ節が腫れる
▶ イチゴ舌:イチゴのように舌に赤いブツブツが出る
▶ 扁桃腺部分の腫れや白苔:扁桃腺に白くブツブツが付着している
▶ 喉の赤い点状の出血
▶ 口蓋垂の腫れ:炎症が強い場合には、いわゆる「のどちんこ」の部分が腫れる

また溶連菌感染症は、のどだけの症状が主でくしゃみや鼻水・咳なども出にくいのが特徴らしい。

溶連菌感染症を診断する基準として「溶連菌性咽頭炎スコア( Centor criteria)」というものがあるらしい。

〇 年齢: 3 歳 ~ 14 歳だと +1 点、 15 歳 ~ 44 歳 0 点、 45 歳以上だと -1 点
〇 扁桃腺の腫れ:腫れがあると +1 点
〇 前側の首のリンパ節の腫れ:腫れていると +1 点
〇 発熱: 38℃ 以上だと +1 点
〇 咳:咳があると -1 点

加算した結果・・・。

▶ -1 ~ 0 点・・・溶連菌性咽頭炎の可能性 1%
 ➡ 他の原因を考える

▶ 1 ~ 3 点・・・ 溶連菌性咽頭炎の可能性 18%
 ➡ 迅速抗原テスト行う

▶ 4 ~ 5 点・・・ 溶連菌性咽頭炎の可能性 51%
 ➡抗生剤投与

医師はこのように診断するらしい。

次回、大人が A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎に感染した際の合併症について寄稿する。