「真実の口」2,134 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎・後編

前回の続き・・・。

大人が A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎に感染した場合、放置すると様々な合併症を生じることがあるので注意が必要のようだ。

例えば、肺炎や髄膜炎・敗血症などの重症化やリウマチ熱・急性糸球体腎炎・結節性紅斑・中耳炎・血管性紫斑病などの様々な合併症がでることお考えられるという。

特に、溶連菌特有であり、注意が必要な合併症が、「リウマチ熱」「急性糸球体腎炎」「結節性紅斑」だそうだ。

以下、解説。

【 リウマチ熱 】

リウマチ熱は、溶連菌感染症で治療を行わなかった場合に出てくる全身の合併症の 1 つ。

関節痛やけいれんのような意志を介さない運動発作・胸痛や動悸・発疹などが組み合わさって発症する。

特に、心臓などに炎症が起こっていると、後遺症が残る可能性もあり、後遺症が残らないように「いかに早く溶連菌感染症を治療するか」が重要になる。

主に開発途上国などで見られる。

【 急性糸球体腎炎 】

急性糸球体腎炎とは、溶連菌感染症が治ってから発症する腎炎(糸球体の炎症)のこと。

多くの場合、 10 日 ~ 14 日くらいたってから発症する。

腎臓に炎症が起きて、コーラのような尿がでる、尿が出ない、体がむくむなどの症状が出ることがあり、顔面・まぶた・足のむくみ・血尿・高血圧などが主な症状になる。

発症後、時間の経過とともに自然に改善していくが、時に尿所見異常が持続し腎機能障害が残ることもあり、注意が必要な疾患である。

そのため、溶連菌感染症が判明した場合、腎機能障害が残っていないか注意観察する必要がある。

【 結節性紅斑 】

結節性紅斑とは、主に「スネ」にでる痛みを伴う赤色の皮疹のこと。

多くは、特発性といって原因不明なこともあるが、続発性のなかで最も多いのは溶連菌感染症によるものになります。

数週間の経過で色素沈着としこりを残して治癒するが、長い時間がかかることと慢性型に移行することがあるので、注意が必要な疾患になる。

感染しないに越したことはないのだが、 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎は流行感染症の 1 つなので、うつりやすい細菌感染症である。

1. 溶連菌感染症の主な感染経路は・・・?

唾液などが口に入ることで生じる「飛沫感染」
感染者と物を共有することで生じる「接触感染」

もし、溶連菌感染症の人が近くにいる場合は・・・。

▶ 手洗いやうがいを徹底する
▶ 感染している人と距離を保つオルやコップを別々のものにする
▶ マスクを着用し、咳・くしゃみなどによる飛沫感染を予防する

どこかで聞いたことのある対策法だが・・・(笑)

一応、感染拡大を予防することができるらしい。

飛沫感染ということからわかる通り、人と接触しやすい方や学童期の子供が最も感染しやすくなるで、家族で溶連菌感染が判明した場合は、特に感染防止対策を徹底したほうが良い。

2. 溶連菌感染症の診断方法は?

溶連菌感染症の診断は、臨床所見と迅速検査を組み合わせて行われ、検査としては以下の3種類が一般的らしい。

迅速検査
培養検査
血液抗体検査( ASO・ASK )

この中で、もっとも用いられる方法は「迅速検査」だそうだ。

迅速検査では、5 ~ 10 分程度で結果が判明するため、すぐに治療方針に反映することが可能となり、陽性例の場合 90% は 2 分以内に検出することができるという。

喉の奥の部分から検体を採取して行われ、新型コロナやインフルエンザの迅速検査など、他の検査と同時に行うことも可能らしい。

これに対して、培養検査は、結果がでるのに数日を要するそうだ。

また、血液抗体検査は、喉の細菌を培養し、目で確認する等の方法のため、時間がかかり外来診療ではあまり用いられないようだ。

3. 溶連菌感染症の治療法は?

溶連菌感染症の治療の主役は抗生剤治療だそうだ。

ペニシリン系の抗生剤(薬剤名:サワシリン、オーグメンチン)
マクロライド系(薬剤名:エリスロマイシン・クラリスなど)
セフェム系(薬剤名:メイアクト)
この中で第一に選択されるのは、ペニシリン系の抗生物質になるそうだ。

ペニシリン系の抗生物質への感受性は 100% で、耐性は報告されていないという。

1 日 3 回 10 日間内服する必要があるらししいのだが、過去 50 年以上使用されても耐性菌がでていないらしい。

第二の選択として、ペニシリンでアレルギーがある場合などはマクロライド系を使うことが推奨されている。

近年、耐性菌対策の観点からセフェム系などの抗生物質の使用は推奨されていないそうだ。

どちらも効く点では同じだが、セフェム系など抗生物質は、関係のない体内の菌まで殺してしまうために耐性菌で問題が生じる可能性があるからだという。

通常、服薬により症状が改善するが、リウマチ熱の合併症を予防するためには、指定された日数( 10 日程度)の抗生物質を飲み切ることが重要である。

ありがちだが、例え症状がよくなっても、自己判断で服用を中止してはいけない。

典型的には、薬を飲みはじめて 1 ~ 2 日以内に改善を見ることが多いらしい。

喉の痛みや発熱に対応するために、解熱鎮痛剤が併用されることもあるそうだ。

4. 溶連菌感染症にかかった場合の休業規制は?

学校保健法によると「適正な抗菌剤治療開始後 24 時間を経て全身状態が良ければ登校可能」としており、これに準じて会社の規定が決められているところが多いようだで。

基本、溶連菌感染症は抗生剤治療すれば速やかに感染性は失われていく。

「仕事を何日間休まなければならない」という法律はないので、各々の会社の規定にしたがい、感染が判明した場合、電話連絡で相談した方がよいというのがベターな回答ではないだろ?

しかし、 1 日ではなかなか症状は回復しないと言うのが現実ではないだろうか?

症状がつらい場合は、 2 ~ 3 日は静養したほうがいいのでは?

▶ 十分安静にし、睡眠時間を確保すること
▶ なるべくのどを使わず、炎症を誘発させないこと
▶ 加湿し、トローチや飴などを使って炎症を和らげること

これらの対策で、早く治すことに心がけよう!