メタボリックシンドロームと言えば、今や子どもでさえ”メタボ”と略して通用するようになった言葉である。
さて、このメタボリックシンドロームとは何ぞや?
肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症等々の病気は単独でもリスクがある。
その上、互いに重複して発症することがわかってきた。
また、複数の疾患が重なったほうが心筋梗塞や脳卒中を起こしやすいこともわかってきた。
住友病院院長の松澤佑次氏は、蓄積された内臓脂肪を主因とし、「内臓脂肪症候群」と定義づけた。
そして、これが1999年にWHOによって「メタボリックシンドローム」という名前に統一されたのである。
2008年4月には、特定健診制度(糖尿病等の生活習慣病に関する健康診査)が始まった。
特定健診制度とは、メタボリックシンドロームの概念を応用して糖尿病対策を行う事を目的としたものである。
対象は、40歳から74歳までの中高年保険加入者。
これらに、特定健診の実施を義務化すると共に、メタボリックシンドローム該当者、または予備軍と判定されたものに対して特定保健指導を行うことを義務づけるものとしている。
では、メタボリックシンドロームの診断基準は次のようになっている。
ウエスト回りで測定して、男性は85cm以上、女性は90cm以上。
更に、高血圧、糖尿病、高脂血症の3つのうち2つの疾患があれば、メタボリックシンドロームと診断される
ここで疑問に思うのは、第一にウェストサイズで決められてしまうことである。
海外に目を向けてみよう。
アメリカでは、男性は102cm以上、女性は88cm以上。
中国やその他のアジアでは、ウエスト(腹囲)は男性で90cm以上、女性は85cm以上。
多くの国が男性の方がウェストサイズは大きく指定されている。
疫学上では、日本人男性は腹囲85cm以上の人は51.9%と半数以上が該当する。
しかし、この51.9%の人間のBMIを見てみると43%は肥満基準から外れる。
日本人女性はと言うと、腹囲90cm以上の人は18・9%と約2割が該当する。
しかし、腹囲90cm以上の中に肥満でない人が25%しか含まれない。
本来は、内臓脂肪を問題視していたのに、これでは肥満でない人がメタボリックと診断されたり、内臓脂肪があるにも関わらず健康と診断されかねない。
2006年8月NEJMで報告された韓国の大規模調査では以下のようになった。
BMI 25以上では、増えてくる高血圧、糖尿病による分だけ死亡リスクが上昇。
BM I30以上で、はじめて肥満(脂肪)そのもののリスクが加重。
本来、人間は年を重ねると、基礎代謝が減り、省エネになりそのために皮下脂肪を付けていくのである。
痩せ型よりも、BMI23~25の端からみると少し小太りかな?と思われる人の方が病気はしないというデータは出ているにも関わらず、厚生省はこのような基準を国民に押しつけ、医療費削減を叫んでいるのである。
健康診断で、メタボリックシンドロームと診断されて落ち込んでいる人もいるのだろうが、BMI 30を超えていなければそこまで不安になることはない。
健康な人間を病人にして、逆に医療費が跳ね上がるだけに過ぎない。
これも、どこかで利権の絡んだ決定が否めない。
我々は太ると脂肪が付いたという。
では、この脂肪とは何かというと、過酸化脂質である。
過酸化脂質とは、コレステロールや中性脂肪といった脂質が、活性酸素によって酸化されたものである。
活性酸素と来れば、このブログの読者は抗酸化が有効とピンと来るはずである。
酸化されたものであるであれば、その酸化の輪を外せばいいことである。
つまり、既に付いた過酸化脂質の鎖を外すことも可能である。
抗酸化生活で、メタボリックとは無縁の生活が送れるのであればこんな安上がりなことはない。
かく言う私も、BMI 25 を維持するように心がけている。
しかし、ストレスがかかるとこれを若干上回ってしまうので、そこは自個管理ですぐに戻すようにしている。
ところで、健康診断を受けると必ず、日常的に運動をしているかどうか聞かれる。
メタボリックシンドロームと診断された日には、ジョギングでもして退場を落とさねばと思いこむ人もいるだろうが、その運動が実は危ないということを次回は書かせていただく。