「真実の口」107 我々は何をすべきか?⑤

農地と原生林では何が違うか?

原生林の木の根は、土の中のバクテリア、養分、水分を求めて、力一杯根を張ろうとする。

そのためには、適度に軟らかく、適度に水はけが良く、適度に保水できる土が必要である。

では、人間が作った農地ではどうだろう?

根を張ろうと思うところへ、過度な養分(肥料)が与えられる。

木は、自分で探し求めなくても、与えられるのだから根を張らなくなる。

更に、バクテリアを取り入れようと思ったら、農薬で殺されてしまうのだから、何のために根を張ろうとしているのかさえ解らなくなる

原生林に行った際に、土を少し掘ってみた。

すると、やはり柔らかい。

鬱蒼と木が生い茂っているので、土は冷たいのかと思うと、以外に表面から中の方まで結構温かい。

これは、バクテリアが有機物を分解して熱を出しているからだろうか?

土のことを書こうと思っていたら、タイミング良く、先週の土曜日に、NHKのサイエンZEROで、「つながる生物の謎 土の中の小宇宙」という番組が再放送された。

皆は、森林の土には、片足位の面積にどれくらいの生き物がいると思うだろう。

何と、1,000匹以上のダニやトビムシの仲間がいるらしい。

では、1gの土の中にどれくらいのバクテリアがいるか想像できるだろうか?

何と、50億匹のバクテリアが存在するということである。

今、地球上に36億人が生活している。

しかし、バクテリアの世界では、1gの中に50億以上が存在しているのである。

人間はこれを個々に培養できないかとまず考えた。

根粒菌。

これは、マメ科植物の根に根粒を形成し、植物の三代栄養素と言われる窒素を固定し、宿主であるマメ科植物に窒素を提供するバクテリアである。

根粒菌は、宿主であるマメ科植物から、光合成産物が供給されることにより、共生関係が成立している。

菌根菌。

陸上植物の8割に共生している。

土壌中に張り巡らした菌糸から、主にリン酸や窒素を吸収して宿主植物に供給するバクテリアである。

菌根菌は、代わりにエネルギー源として宿主となる植物が光合成により生産した炭素化合物を得ることで、菌自身が成長する。

マツタケをはじめとする多くのキノコ対が菌根菌にあたる。

では、こういう事が解っているのであれば、これらを個別に農地に利用すれば良いのではと考える人もいると思う。

しかし、残念ながら、バクテリアはその他のバクテリアと共生しながら、生存しているので、それだけをピックアップしても、その効果は得られない。

つまり、自然の作用は自然の中でしか活かせないと言うことである。

土を自然に戻せば、良いという結論になるのだが・・・

次回へ。