前回の生物の授業の続きだが・・・陸・海どちらの生態系の栄養循環にも人間は入っていない。
・・・と言って、全ての生物の長として君臨しているわけでも、それを許された訳でも何でもない。
自然のサイクルの中では、何かしらのバランスを崩せば、全てが歪んでしまい、崩壊を引き起こす可能性を秘めている。
例えば、人間が森林に道路を通したとしよう。
そうすると、今まで行き来できていた生物は道路により、分断されてしまうことになる。
羽を持つ昆虫や鳥であれば、問題なく横断することが出来るかもしれない。
しかし、例えば、カニ、カエル、ミミズ等は渡ることが出来ない。
我々が、道路で良く目にする光景である。
車に挽きつぶされたカニやカエル、干からびたミミズ・・・
しかし、これらの小動物は、彼らを捕食する動物の重要な餌になっているのである。
羽を持つ昆虫や鳥でさえ、餌の多い方に居着いて、生活する場所が偏る可能性さえ出てくる。
そうすると、分断された両方の森林では、今まで循環していた栄養が、循環できなくなり、森林の消滅ということさえ考え得るのである。
一つの礼を出してみよう。
1953年、イギリス南部でアナウサギが増え過ぎたため、ある対策を講じた。
アナウサギ退治のために、ブラジルから「ミクソーマウイルス」という病原菌を持ち込み使用したのである。
当然、アナウサギは姿を消していった。
すると、不思議な現象が、起きたのである。
それまでのイギリス南部は主に草原で、森は点在していたのだが、森が広がりだしたのである。
しかし、自然の面白さはこれだけでは終わらない。
絶滅寸前に追い込まれたアナウサギの中で「ミクソーマウイルス」に耐性を持つものが現れ、再び、増え始めたのである。
そうすると、森の拡大も、停止したのである。
如何に生物同士が連ながりあっているかがわかる。
話は変わるが、アマゾンの熱帯雨林が減少し続けているというニュースが時々流れる。
多くの方は、伐採が原因だと考えていると思う。
だが、実際には、森林の一部を伐採しようと林道を作ったことに起因する。
そこから何が行われるかというと、林道を中心に違法に森林を焼き払い、農地に変えてしまうために森林が減少しているのである。
森林を不法に焼き払い、そこで作物を作り、“金”に変えているのである。
それも、以前とは違い、機械化しているので、工作範囲もとてつもなく広大に出来るようになり、より、多くの“金”を産む方法を先進国が教えたのである。
森林の減少というニュースを聞けば、先進国と発展途上国のどちらも森林が減っていると言う風に捉えてしまいがちである。
しかし、現在、奇妙な現象が起きている。
先進国であるアメリカの沿岸部、ヨーロッパ、日本、そして中国(先進国と捉えていいかどうかは定かでないが・・・)では、森林は増えているのである。
減っているのは、アフリカ、アマゾンの熱帯雨林なのである。
この理由は、先進国の農業従事者の減少にある。
第一次産業→第二次産業→第三次産業へというお金の流れが、森林の増減と同じとは皮肉なものである。