「真実の口」412 命のちから(リアル入院編)・・・その五

前回の続き・・・。

救急専用の入り口から、処置室へ搬送された私には、数々の試練が待ち受けていた。

まず、最初の試練である。

看護師は、いとも簡単な調子で、「ベッドへ移ってください」というのである。

救急車のストレッチャーは、救急隊員が持って帰るのだから、当たり前のことではある。

しかし、救急車から降ろされる時に、危険だという理由で、リクライニング状態から、完全に仰向けにされた状態で、動こうにも身体が全く動かないのである。

腹筋にも力が入らないので、起き上がることが出来ない・・・。

右腰に激痛が走り、横向きになることも出来ない・・・。

それでも、看護師等は、「何とかして移ってくださいね~」というばかりである。

私の意識がなかったらどうするんだろう・・・?

私の被害妄想に過ぎないのだろうが、看護師等の冷たい視線と無言のプレッシャーに耐えかねて、ようやく、右を下にして、横向きになることが出来た。

しかし、どの位の時間を要したのだろう???

今考えてみれば、前、右、左と試して、右ならなんとか向けるかも知れないと言っていたのだから、ほんの少し手助けしてくれれば良かったのでは(?)と思って仕方がない。

あるいは、ストレッチャーをリクライニングして、少し起こしてくれれば、もっと簡単に移動できたのでは(?)とも・・・。

しかし、横向きの状態から、今度は、病院のベッドに移らなければいけない。

私は、左手でバーを掴んで、どうにかこうにかベッドに移ることが出来た。

・・・というより、腰で支えることが出来ない私は、身体の右側を支点に、うつ伏せの状態に転がり落ちたと言うのが正確な状況である。

そこに、また、看護師の冷たい一言が響く。

看護師(以下:看):「はい、上向きになってくださいね~」

私:「無理!」

看:「それじゃ、診察できませんから、頑張ってくださいね~」

年配の人だったので、師長クラスの人なのだろうが、私には鬼に見えた。

私は、更に数分(?)をかけて、左回りに上向きになった。

看護師が、体温と血圧を測り、私に質問してくる。

看:「足に感覚はありますか?」

私:「はい・・・。」

看:「足に痺れはありませんか?」

私:「いいえ・・・。」

看:「血圧が高いですが、普段、何か言われてますか?」

この時、180-112だったらしい・・・。

私:「いいえ。」

看:「かなり、高いですね~」

私:「・・・。」

声:「また、私を寄って集って、高血圧症にしようと思っているのか?」

その後、二人の看護師が、私の両足の甲を触り比べながら、ボソボソと会話を交わしている。

看A:「右足の方が、■#&%$・・・。」

看B:「いや、△♪%&$・・・。」

声:「おいおい、気になるからハッキリ喋れよ・・・。」

そして、血圧が下がらないからか、再度、私に言ってくる。

看:「血圧が高いですね~。頭がボーっとしたり、身体が火照ったりしていませんか?」

私:「いいえ。」

声:「否が応でも、俺を高血圧症にしたいみたいだな(-_-#)小心者なんだから、仕方ないべ!」

処置室で横になって、暫くすると、医師が出勤してきた。

医師と看護師が、何やら会話を交わしている・・・。

しかし、その時の私の心の声は・・・。

声:「あちゃ~、また。頼りなさそうなのがやって来たぞ・・・。」

次回へ・・・。