前回の続き・・・。
救急専用の入り口から、処置室へ搬送された私には、数々の試練が待ち受けていた。
まず、最初の試練である。
看護師は、いとも簡単な調子で、「ベッドへ移ってください」というのである。
救急車のストレッチャーは、救急隊員が持って帰るのだから、当たり前のことではある。
しかし、救急車から降ろされる時に、危険だという理由で、リクライニング状態から、完全に仰向けにされた状態で、動こうにも身体が全く動かないのである。
腹筋にも力が入らないので、起き上がることが出来ない・・・。
右腰に激痛が走り、横向きになることも出来ない・・・。
それでも、看護師等は、「何とかして移ってくださいね~」というばかりである。
私の意識がなかったらどうするんだろう・・・?
私の被害妄想に過ぎないのだろうが、看護師等の冷たい視線と無言のプレッシャーに耐えかねて、ようやく、右を下にして、横向きになることが出来た。
しかし、どの位の時間を要したのだろう???
今考えてみれば、前、右、左と試して、右ならなんとか向けるかも知れないと言っていたのだから、ほんの少し手助けしてくれれば良かったのでは(?)と思って仕方がない。
あるいは、ストレッチャーをリクライニングして、少し起こしてくれれば、もっと簡単に移動できたのでは(?)とも・・・。
しかし、横向きの状態から、今度は、病院のベッドに移らなければいけない。
私は、左手でバーを掴んで、どうにかこうにかベッドに移ることが出来た。
・・・というより、腰で支えることが出来ない私は、身体の右側を支点に、うつ伏せの状態に転がり落ちたと言うのが正確な状況である。
そこに、また、看護師の冷たい一言が響く。
看護師(以下:看):「はい、上向きになってくださいね~」
私:「無理!」
看:「それじゃ、診察できませんから、頑張ってくださいね~」
年配の人だったので、師長クラスの人なのだろうが、私には鬼に見えた。
私は、更に数分(?)をかけて、左回りに上向きになった。
看護師が、体温と血圧を測り、私に質問してくる。
看:「足に感覚はありますか?」
私:「はい・・・。」
看:「足に痺れはありませんか?」
私:「いいえ・・・。」
看:「血圧が高いですが、普段、何か言われてますか?」
この時、180-112だったらしい・・・。
私:「いいえ。」
看:「かなり、高いですね~」
私:「・・・。」
声:「また、私を寄って集って、高血圧症にしようと思っているのか?」
その後、二人の看護師が、私の両足の甲を触り比べながら、ボソボソと会話を交わしている。
看A:「右足の方が、■#&%$・・・。」
看B:「いや、△♪%&$・・・。」
声:「おいおい、気になるからハッキリ喋れよ・・・。」
そして、血圧が下がらないからか、再度、私に言ってくる。
看:「血圧が高いですね~。頭がボーっとしたり、身体が火照ったりしていませんか?」
私:「いいえ。」
声:「否が応でも、俺を高血圧症にしたいみたいだな(-_-#)小心者なんだから、仕方ないべ!」
処置室で横になって、暫くすると、医師が出勤してきた。
医師と看護師が、何やら会話を交わしている・・・。
しかし、その時の私の心の声は・・・。
声:「あちゃ~、また。頼りなさそうなのがやって来たぞ・・・。」
次回へ・・・。