前回の続き・・・。
《がん治療による様々な症状》
【体の一部に起こる症状】
8⃣ リンパ浮腫
( 4 ) 本人や周囲の人が出来る工夫
~ リンパ浮腫を早く見つける ~
● リンパ浮腫を早く見つけて治療をするためには、自分の体のどこにむくみが生じやすいかを知り、むくんでいないかを確認することが大切である。
1 ) むくみやすい場所を知る
● むくみやすい場所は、‟がん”の種類や、治療をした場所によって異なるので、位置を確認する。
・わきの下(腋窩)のリンパ節を切除した場合
➡ 切除した側の腕、胸、背中、わきの下
・おなかや脚のつけ根(鼠径)のリンパ節を切除した場合
➡ 切除した側の脚または両脚、おなかの下側、陰部
・‟放射線治療”をした場合
➡ 治療した近くの場所
2 ) むくんでいないかを確認する
● リンパ浮腫になりやすい部位を、お風呂に入ったときなどに手で触り、むくんでいないかを確認する。
・皮膚のしわがなくなる、つまみにくい、硬い
・皮膚の上から指で軽く押すと、あとが残る
・袖口、下着、靴下のゴムや、指輪、腕時計、ブレスレットなどのあとが残る
3 ) 腕または脚の太さを測る
● 定期的に( 1 ケ月に 1 回程度)、両方の腕または脚の太さを測る。
● 入浴後などの時間を決めて、同じ姿勢で測る。
● 腕の場合は左右の太さの差が大きくなってきたり、脚の場合は片側または両側が太くなってきたりしたときには、担当医に相談する。
【腕や脚の太さの代表的な測る部位】
~ 適度に体を動かして、リンパ液の流れを促す ~
● リンパ浮腫を予防するためには、生活の中でリンパ液の流れを妨げないような工夫をし、適度に体を動かすことでリンパ液の流れを促がしていく。
1 ) リンパ液の流れを促す
・適度な運動は、リンパ浮腫の予防になるため、普段の生活の中でも体を動かすことを心がける
・セルフマッサージは自己判断で行わないで、担当医や看護師に相談する
・椅子に長時間座るときは、脚をのせる台を置いて、脚を高くする
・就寝時、疲れやむくみを感じるときは、腕や脚を少し高くして休む
2 ) 体の部分的な圧迫を防いで、リンパ液の流れを妨げない
・子宮がんや前立腺がんなどの治療のあとは、長時間の正座は避け、脚は組まない
・身に着けるもの(服・下着・靴下・腕時計・アクセサリー)は、ゆったりとしたものにする
~ 保湿などのスキンケアを行い、感染を予防する ~
● リンパ液の流れが滞ると、その部位に感染を生じやくなるため、皮膚の清潔と湿度を保つことで、感染を予防する。
1 ) 清潔を保つ
・せっけんを泡立てて皮膚(しわや指の間)を洗い、よく流してから水分を拭き取る
2 ) 皮膚からの感染を防ぐ
・保湿剤や保湿クリームを塗り、皮膚を常に潤いのある状態にする
・皮膚の病気(水虫など)は、皮膚科で治療する
・傷や虫刺され、やけどなどから、皮膚を守る
・揚げものや熱いものを持つときは、ミトン(鍋つかみ)や炊事用の手袋を使う
・野外活動やガーデニングをするときは、ゴム手袋や長袖、長ズボンなどで皮膚をおおう
~ 肥満を予防する ~
● 体重が増えると、リンパ浮腫になるリスクが高まるので、適切な体重を保つよう心がける。
・バランスよく食事をとる
・定期的に体重を測る
~ 身体に負担を掛けない ~
● リンパ浮腫を予防するためには、生活するうえで無理をしすぎないことが大切である。
● 周囲の人の力を上手に借りる。
・家事や仕事は、休憩を入れる
・長時間の入浴などで、過度に体を温めすぎないようにする
・重いものを長時間持ち続ける場合は、カートなどを利用する
( 5 ) こんなときは相談する
● 治療でリンパ節を切除した腕や脚、‟放射線治療”をした周りの部分が、むくんでいる、重い、だるいと感じたときには、いつから、どこが、どんな様子かを、担当医に相談する。
● 皮膚に赤い斑点が広がり熱いと感じる、高熱が出る、痛みがあるなどの症状があるときには、蜂窩織炎の可能性があるため、腫れた部分を冷やしながら、できるだけ早く医療機関を受診する。
次回へ・・・。