前回の続き・・・。
《療養生活のためのヒント》
【医療者とよい関係をつくる】
● 治療・療養生活を送る上で、医療者との信頼関係はとても大切であり、医療者とよい関係を築いていくためのコツを紹介する。
1. 対話を重ねることで信頼関係を築く
● ‟がん”のという病気では、診断や治療、その後の療養など長く医療者とかかわり、話し合っていくことになる。
● 診断や治療などの医学的なことについて、あなたの病状を最もよく理解しているのは、担当医や看護師である。
● 一方で、あなたの自覚症状(痛みなど)や、困っていること、心配なことなどはあなた自身にしか分からない。
● 納得しながら治療を進めていけるように、あなた自身の状態について率直に伝え、関係を築いていくことが大切である。
● 初めは聞きたいことを思うように聞けないかもしれないが、焦らずに、何回かにわたって対話を重ねていくことで、より聞きやすくなるはずである。
● 病状や治療方針の説明についても、多くの場合、一度で全てを理解する必要はない。
● 「よく理解できなかった」「知りたいことを十分に聞けなかった」という場合には、あらためて時間を取ってもらうと良い。
● 日常の人間関係と同じように、担当医や担当看護師とも何度か顔を合わせるうちに、お互いに人柄や考え方が次第にわかってきて、自然に信頼関係が築かれていくはずである。
2. 質問事項はメモを持参する
● 担当医などへの質問事項や確認したい点は、あらかじめ箇条書きのメモとして書きとめておくとよい。
● 特に医師は 1 人で複数の患者を診察しているため、時間を取ってもらえたとしても、ゆっくり話し合う時間がないかもしれないので、あらかじめメモを用意しておくことで、自分が何を聞きたいのかをはっきりさせ、疑問点を整理することができる。
● メモにしておけば、短時間でも要領よく質問でき、聞き忘れることを少なくすることができる。
● 疑問点をうまく伝えられなければ、そのメモを担当医に示しながら質問するのも良いし、手渡すのも良い。
● ただし、 1 回の診察で 10 も 20 もの質問を聞こうとしても、その答えの全てを正しく理解するのは難しいことであり、聞く側も答える側も大変である。
● 質問したい項目に優先順位を付け、 2 ~ 3 に絞るなど無理のないように工夫したほうが良い。
● その時点ではわからないことでも、検査や治療が進むにつれて、少しずつ明らかになってくることもある。
● 可能であれば、家族や親しい友人などに同席してもらう。
● 医療者の説明をより冷静に受け止めてくれる人がそばにいることで、一人で聞くよりも精神的にも安心感があり、聞き漏らした説明の内容を後で確認できたり、代わりにメモを取ってもらえるなどの利点もある。
【参考:療養手帳】
ダウンロード用:https://ganjoho.jp/public/qa_links/book/public/pdf/T30_44-46.pdf
3. 当医とうまくいかないかな、と思ったとき
● 時には、「担当医にうまく質問できない」「つらい気持ちをわかってもらえない」と感じることがあるかもしれない。
● このような場合には、看護師などほかの医療スタッフや‟がん”相談支援センターに相談してみる。
● 看護師や‟がん”相談支援センターのスタッフは、あなたの抱えている問題点を整理し、担当医にどのように質問したらよいかを一緒に考えてくれ、また場合によっては、担当医との面談時に同席して、会話の調整役をしてくれることもある。
● 特に治療や療養の方針にかかわることについては、担当医だけではなく、別の医師の意見を聞くこともできるセカンドオピニオンを求め、担当医以外の医師の意見を聞いて参考にしてみるのも良い。
● その際には、担当医にセカンドオピニオンを受けることを伝え、紹介状や検査の資料をきちんともらうことが必要である。
● 医療者との信頼関係を築くには、お互いに正確な情報を伝えて、理解し合っていくことが欠かせない。
● 困ったことやわからないことがあれば、そのままにしないで、伝えていくことがとても大切である。
4. 医療者と上手に対話するコツ
● 困ったこと、わからないことは素直に伝える。
● 何度か対話を重ねていくうちに、信頼関係を築いていくことができるはずである。
● 診察のとき、信頼できる人に付き添ってもらい、知りたいことをしっかり聞きとる準備をする。
● 担当医との面談のときには、聞きたいことを箇条書きにしたメモを持参することにより、 聞き漏らすことがなく、効率的に質問できる。
● 看護師や‟がん”相談支援センターなどの協力を得ることも考える。
次回へ・・・。