「真実の口」2,111 ‟がん”という病 58~療養生活のためのヒント③~

前回の続き・・・。

《療養生活のためのヒント》

【体調を整える】

● 規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動、感染予防、ストレス発散など、日常的な心がけで、体調の維持や回復を図ることができる。

1. 規則正しい生活が体調管理の基本

● 私たちの体は、おおよそ 24 時間を周期として規則的な働きを繰り返している。

● これは、概日リズム(サーカディアンリズム日周リズム)と呼ばれるもので、「一定の時刻がくると自然に眠くなり、一定時間眠ると自然に目が覚める」といった睡眠と目覚めをはじめとして、体温、血圧、脈、尿の量、ホルモンの分泌などが規則性をもって変動している。

● 規則正しい生活をすることが、人間の体にとって自然で、体調も整えやすくなる。

● 具体的には、朝起きて日中は活動し、夜はあまり遅くならないうちに床に就いて、十分な睡眠時間を取る、バランスの取れた食事をできるだけ決まった時間にとる、などである。

● こうした規則的な生活を送ることにより、疲労から回復しやすくなったり、胃腸の調子が整って食欲が増したり、排泄が規則的になるなど、体力の回復が促される。

2. 適度な運動は体力の維持・回復を助る

● 担当医から運動の許可が出たら、無理のないペースで、日中体を動かしてみる。

● 朝起きて着替える、トイレに行く、顔を洗う、食事をとる、簡単な家事をする、家の中の階段を上り下りする、入浴するといった日常的な動きから始めまる。

● がんの種類や‟手術”の方法によっては、機能回復を促すためのリハビリテーションや体操、装具の訓練などを組み合わせて行うこともあるので、自身に合ったことを毎日継続的に行うようにする。

● ‟がん”の種類や治療法、体力や年齢によって時期は異なるが、家の中の生活にも慣れ、体力が少し回復してきたら、外出を試みる。

● 最初は短時間の散歩で十分でえある。

● 天気の良い日中に動きやすい服装で出かけてみる。

● 体の抵抗力が弱まっていることもあるので、感染予防のため、多くの人が集まる場所を避け、マスクを着用する。

● 帰宅後は必ず手洗いとうがいをする。

● ある程度体力と自信が回復するまでは、誰かと一緒に出かけると安心である。

● 適度な運動は気分転換にもなる。

● 徐々に行動範囲を広げ、日常生活への復帰を目指す。

3. 深呼吸や簡単なストレッチも有効

● 深い呼吸やストレッチは体の緊張を緩め、心身をリラックスさせる効果がある。

● はじめは力が入ったりしがちだが、こういったものを取り入れることで、日常生活にメリハリが生まれてくる。

● 例えば、朝起きたときと昼食後に深呼吸、夜寝る前にストレッチを行う、というように習慣づける。

● 緊張が続いた、少し疲れたと感じたときに行うと、すっきりして気分転換になる。

4. 体調の悪いときは無理をしない

● 治療直後や治療中は、治療による消耗や体力の低下による疲れ、気分的な落ち込みや不安などのために、やる気の起きないときもあるかもない。

● 急にあれもこれもと張り切りすぎると疲れてしまうので、そのようなときには無理をしないで、できることから始めるようにする。

● 強い疲れやだるさを感じたり、痛みなどの症状があるときは、無理をしないことも体調管理では大切なことである。

● 体調の悪いとき日は思い切って一日ゆっくり休むなど、体調に合わせた過ごし方をする。

● 体調や症状のことで気になることがあったら、『わたしの療養手帳』に記録しておくのもよい。
療養手帳

5. 体調管理のポイント

・規則正しい生活
・バランスのとれた食事
・適度な水分摂取
・十分な休養と睡眠
・適度な運動
・感染予防(手洗い・うがいなど)
・禁煙
・リラックス法(深呼吸など)
・気分転換
・ストレス発散
・悩みや不安の原因を取り除く
・身体的な苦痛を取り除く
・定期的な検査

6. こんなときは担当医に相談する

・休養や十分な睡眠を取っても疲れやだるさが続く
・眠れない、眠りが浅い 息苦しい症状が続く
・痛みが強い
・精神的な悩みや不安が強い
・むくみが強くなり、尿の量が減る
・熱が急に出た、熱が続く
・吐き気が強く、食欲がない
・下痢や便秘がひどい
・その他(特に気を付けることはないか、担当医に確認する)

次回へ・・・。