「真実の口」1,468 新型コロナウィルス・・・⑧

前回の続き・・・。

その後のダイヤモンド・プリンセス号の動向を追う。

2 月 10 日、新たに新型コロナウィルスに関する検査結果が判明した 103 名のうち、65 名について新型コロナウィルスの陽性が確認され、今後、感染症病棟を有する医療機関に搬送予定。

陽性が確認されたのは、延べ 439 名の検査中 135 名となった。

2 月 11 日は建国記念の日で祝日のため、政府から、ダイヤモンド・プリンス号に関する詳報がなかったのだが、この頃から、日本政府の対応への各国の批判が上がって来たので紹介しよう・・・。

時期を同じくして、香港発の大型クルーズ船の「ウエステルダム号」が、沖縄などを経由して 15 日に横浜に入港する予定だったのだが、日本政府が、 6 日、「新型コロナウィルスの感染症を発症したおそれのある人が確認された」として、乗船している外国人の入国を拒否することを決めたことも批判を強める一因になったかもしれないのだが・・・。

船の乗客は 1,455人、乗員は 802 人で、日本人はこのうち乗客 4 人と乗員 1 人だった。

仏国際ニュース専門テレビ局フランス 24 は、 6 日、「豪華なクルーズじゃない。まるで『浮かぶ監獄』だ」。乗客の英国人男性が SNSで発信した言葉を紹介。

ロシア外務省のザハロワ報道官は、 10 日、ロシアのラジオ番組で「日本の対応は混沌として場当たり的だ」と批判。

米有力紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、 11 日の記事で、「公衆衛生の危機対応として、教科書に載るような悪い例」と批判。

アメリカの TIME 紙は、「乗員乗客の約 6% が感染しているこのクルーズ船は、世界中のどこよりもコロナウィルスの感染率が高い。現在の検疫手順が船内での感染拡大を防げていないばかりか、感染していない健康な乗客の感染リスクが高まる可能性もある」という感染症の専門家の言葉を紹介。

ABCニュースは、「クルーズ船の検疫は、利益よりも害をもたらしているのではないかと疑問視する専門家もいる」と指摘し、
専門家のコメントを引用し、「このように閉鎖された環境で感染拡大を防ぐための対策を続けるには、現在の検疫手順では不十分だ」として、「(感染者の)数が劇的に増加していることは、船内でウイルスが拡散し続けていることを意味している可能性があります。日本の港で感染の第2の震源地が作り出されている懸念がある」と伝えた。

ニューヨーク・タイムズ紙は『乗客には多くの疑問がある。日本はほとんど回答がない』と題し、日本政府が情報発信に消極的だとして「新型コロナウィルスをめぐる状況を悪化させている」と批判する記事を公開し、危機管理の専門家の言葉を引用し、日本政府の対応を「公衆衛生の危機対応で『こうしてはいけません』という教科書の見本のような対応」と評した。

これらを見て、どうお感じになるだろうか?

イギリス船籍でアメリカの会社が運営している船である。

声:「日本は、感謝されることはあっても、批判される筋合いなど全く無ないわ!四の五の言うなら、とっとと、自国で処理シロ!!」

私は、この時、このように憤っていた。

2 月 12 日、新たに新型コロナウィルスに関する検査結果が判明した 53 名のうち、39 名について新型コロナウィルスの陽性が確認され、感染症病棟を有する医療機関へ搬送予定。

陽性が確認されたのは、延べ 492 名中 174 名となった。

2 月 13 日、船内での長期間にわたる滞在により健康障害のリスクが高いと考えられる方を中心に、新たに新型コロナウィルスに関する検査を実施し、結果が判明した 221 名のうち、 44 名について新型コロナウィルスの陽性が確認され、医療機関等に搬送予定。

陽性が確認されたのは、延べ 713 名の検査中 218 名となった。

2 月 14 日、厚生労働省からの要請に基づき、民間企業・総務省の協力により、アプリをインストールしたスマートフォン(合計約 2,000 台)を船内の全室(客室及びクルー部屋)に 1 台ずつ提供することとし、同日、全客室へ配布済み。

アプリに入れてあるアカウント(乗客・クルー専用)の内容は以下のとおりらしい・・・。

1.「よくある質問」(日本語のみ、英語準備中)

・厚生労働省の専用アプリにリンクして、 FAQ から回答を提供。

2.薬に関する要望受付(日英対応)

・薬に関する要望(薬についての質問、配達状況の確認等)を受け付け。
・また、情報は船内薬剤師と共有され、必要があれば船内薬剤師が客室に内線で連絡。

3.心のケア相談(日英対応)

・チャットによる不安や悩みの相談に対応するほか、看護師または心理カウンセラーがチャットで対応(必要に応じ、電話に切り替え)。

4.医師への相談予約(日英対応)
・相談希望時間を予約し、予約時間に医師から電話し、相談に対応。
・場合によっては、船内メディカルセンターと連携。

同日、 80 歳以上の方について、以下の条件を満たし、本人が希望する場合は、新型コロナウィルス検査を実施し、陰性が確認された方については、本人が下船を希望するのであれば、下船し、潜伏期間が解消するまでの間、政府が用意する宿泊施設において経過観察をすることとした。

・船内で窓のない部屋と、窓はあっても開閉できない窓しかない部屋で生活されている方
・基礎疾患などを抱えている方

これにより、 11 名の方が下船。

同日、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例を実施が決定。

詳細:事業主の方へ

2 月 15 日、厚生労働省から、ダイヤモンド・プリンス号からの下船に対する方針が発表。

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1. 国立感染症研究所は、武漢からのチャーター便第 1 便から第 3 便までのPCR検査の結果( 540 人が陰性、陽性の 1 人についてもウィルス検出量は陰性に近いレベル)を踏まえ、 14 日間の健康観察期間中に発熱その他の呼吸器症状が無く、かつ、当該期間中に受けた PCR 検査の結果が陰性であれば、 14 日間経過後に公共交通機関等を用いて移動しても差し支えないとの見解を示しています。

2. クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客のうち、陽性者や陽性者と同室の方を除く 70 歳以上の高齢者については、 PCR 検査を実施済み又は実施中です。この PCR 検査で陰性の方については、上記 1 の見解に基づき、 14 日間の健康観察期間が終了する 2 月 19 日から、この 14 日間の健康状態を改めて確認し、問題が無い方については更なる PCR 検査を行わずに、順次下船していただくこととします。

3. さらに、陽性者や陽性者と同室の方を除く 70 歳未満の方については、 2 月 16日目途から順次 PCR 検査を実施し、その結果が陰性の方についても、上記 2 と同様の取扱いとします。

4. この間同室者が陽性であった方については、その方について感染拡大防止対策がとられた時点から、上記 2 に従って対応します。

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同日(日本時間)、アメリカ政府が、ダイヤモンド・プリンセス号に乗船している約 380人 のアメリカ国籍を持つ乗客とその家族を避難させるために 2 機の航空機を準備しているとウォールストリート・ジャーナルが報じた。

同日、カナダ政府は、ダイヤモンド・プリンセス」に乗船しているカナダ人を、チャーター機で帰国させると発表。

発表によると、帰国対象となるのは症状の出ていない人で、カナダ・オンタリオ州の軍施設に移送後、 14 日間以上の隔離を行う。

症状のある人は、日本国内で適切な治療を受けさせる方針で、 255 人のカナダ人乗客がおり、うち複数のカナダ人の感染が確認されている。

2 月 16 日、新たに新型コロナウィルスに関する検査結果が判明した 289 名のうち、70 名(うち無症状病原体保有者 38 名)について新型コロナウィルスの陽性が確認され、感染症病棟を有する医療機関等に搬送予定。

陽性が確認されたのは、延べ 1,219 名の検査中 355 名(うち無症状病原体保有者延べ 111 名)となった。

同日、自衛隊が、アメリカ人を帰国させるため、バス 20 台ほどを用意して羽田空港まで輸送する準備を整える。

同日(伊現地時間)、ルイジ・ディマイオ伊外相は「われわれは昨日、航空機を送って 35 人のイタリア人を帰国させることにした」とツイート。

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【厚生労働省より】

◆国民の皆様へのメッセージ

〇国民の皆様におかれては、風邪や季節性インフルエンザ対策と同様にお一人お一人の咳エチケットや手洗いなどの実施がとても重要です。感染症対策に努めていただくようお願いいたします。

〇次の症状がある方は「帰国者・接触者相談センター」にご相談ください。
・風邪の症状や 37.5℃ 以上の発熱が 4 日以上続いている。
(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。
※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が 2 日程度続く場合
センターでご相談の結果、新型コロナウィルス感染の疑いのある場合には、専門の「帰国者・接触者外来」をご紹介しています。マスクを着用し、公共交通機関の利用を避けて受診してください。

【多くの方が集まるイベントや行事等の参加・開催について】
〇多くの方が集まるイベントや行事等に参加される場合も、お一人お一人が咳エチケットや頻繁な手洗いなどの実施を心がけていただくとともに、イベントや行事等を主催する側においても、会場の入り口にアルコール消毒液を設置するなど、可能な範囲での対応を検討いただけますようお願いいたします。

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次回へ・・・。