「真実の口」1,988 新型コロナウィルス・・・474

前回の続き・・・。

コロナウィルス感染症の後遺症は、継続的に報告されているが、「 5 類」から「 2 類」へ移行する前に、再度、認識しておいた方が良い記事を見つけのたので紹介する。

2 月 2 日時点、我が国の感染者は、累計 32,633,741 人となっている。

ただ、 2022 年 9 月 27 日から全数把握でなくなっているから、実数はこれよりもはるかに多いことは間違いない。

コロナウィルスに感染して、長い間、後遺症がのこる症状を総称して『ロング・コビッド( Long COVID )』と呼ばれている。

世界保健機関( WHO)では、感染 3 ヶ月、アメリカでは 4 週間以上続く症状をコロナ後遺症と定義している。

東京都 iCDC ( Tokyo Center for Infectious Disease Control and Prevention)の後遺症タスクフォース座長を務める東北大学大学院の小坂健教授によると・・・。

「コロナ後遺症が非常に厄介なのは症状が多様なことに加えて、その症状が続く期間も、人によって数週間から数ヵ月単位、長いものだと数年単位と幅広いことです。

何をもってコロナ後遺症とするかによってデータの見方も変わるのですが、海外の研究報告を基にざっくりと言うなら、感染者の『約 1 割』がなんらかの形でコロナ後遺症を経験、あるいは今も苦しんでいると考えていいでしょう。

これを累計で、 3,250 万人を超える感染者が出ている日本に当てはめれば、数百万人がコロナ後遺症を経験しているはずで、これから日本社会が with コロナの日常に向かう中、コロナ後遺症は無視できない重要な課題になっています。」

感染者の 1 割が経験する後遺症とは・・・?

報道でよく聞かれていたのは、味覚障害、倦怠感、長引く咳、痰、頭がボーっとして集中力が続かない‟ブレインフォグ(脳の霧)”などだが、それ以外にも、さまざまな症状が報告されている。

大阪大学免疫学フロンティア研究センター招聘教授・宮坂昌之氏(感染学):

「心臓、肺、膵臓(すいぞう)、免疫系、腸管、脳、肝臓、腎臓、それから血管、生殖器などに関わる不調から、うつ病などの気分障害まで、コロナ後遺症の症状は本当に多様です。

私自身も、昨年 12 月にコロナの感染を経験したのですが、それから 1 ヶ月以上たった今も咳や痰の症状が残っていますし、長期間、息苦しさが続く人も多いようです。

また、大きな問題となっているのが心機能の低下や心筋炎、動悸、胸の痛み、頻脈などの心血管系の異常と、脳の萎縮や認知機能の低下、味覚、嗅覚障害などの神経系の異常です。

全体の中では約 1 割程度と少ないですが、免疫系の異常も見られます。

それ以外にも、筋肉痛や慢性の疲労感、生殖器系では男性の場合、勃起不全や精子の減少、女性では生理不順など、さらには長期間にわたるメンタルの不調で苦しんでいる人も多いようです。」

コロナウィルスは季節性インフルエンザと違い様々な後遺症が残るのだろうか?

前述、宮坂昌之教授:

「普通の風邪やインフルエンザと新型コロナウィルスの大きな違いのひとつが、新型コロナは感染力が強く、喉や鼻などの上気道だけなく、肺やそのほかの臓器、神経細胞や血管など全身に感染が広がることもあるという点です。

そのため、コロナ感染が重症化するなどしてほかの組織や臓器に感染が広がったケースでは、その後、ウィルスによる感染が収まってもその部分には深刻なダメージが残り、それが後遺症につながる可能性がある。

また、コロナ後遺症との関係で注目されているのが、感染によって血管内にできる『微小な血栓』がもたらす影響です。

新型コロナウィルスに血管の内壁(内皮細胞)が感染すると、血栓という血の塊ができることがあります。これが脳や心臓の血管に詰まると、脳梗塞や心筋梗塞などの症状を引き起こすことがあるのですが、それより小さな血栓でも体のどこかで細い血管を詰まらせれば、その部分の血流が悪化して臓器の機能が低下してしまう。こうした微小な血栓が詰まる場所によって、さまざまな症状を引き起こしている可能性が考えられています。」

前出、小坂健教授:

「新型コロナウィルスの場合、いったん喉や鼻などの粘膜からウィルスがいなくなり感染から回復したと思っても、実際にはまだウィルスや死滅したウィルスの RNA (遺伝子の一種)の破片が体内に残っている「持続感染」が起きていることがあり、これが後遺症の原因になっている可能性もあります。

記憶力や思考力、集中力が低下する‟ブレインフォグ”と呼ばれる症状では、これらの持続感染が、記憶をつかさどる脳の海馬の神経細胞に影響を与えているのではないかと指摘されています。

また、持続感染が私たちの免疫を刺激して、免疫の暴走を引き起こしているのではないか、との見方もあります。

もちろん、気分障害などのメンタルな症状は、コロナ禍での社会的な要因が関係している場合もあるでしょう。

いずれにせよ、コロナ後遺症と呼んでいる、さまざまな症状にはいくつもの異なる要因があると考えられますから、当然、その治療法や対処法もひとつではないはずです。」

『ロング・コビッド( Long COVID )』については、次回も寄稿する。

先週、金曜日の感染動向を追う。

1 月 27 日(金曜日)

次回へ・・・。