「真実の口」2,036 はしか

先週末 5/12 (金)に、 After Corona として人々の移動と共に大人しくしていた感染症が拡がる再燃するかもしれないということを寄稿した。

そして、同じ日に東京都内で 3 年ぶりに、はしかの感染が確認されたということが報道された。

報道によると、 5 月 3 日、都内在住の 30 代女性と 40 代男性がはしかに感染していることが確認されたらしい。

現在、 2 人は都内の病院に入院しているそうだ。

都内確認のはしか患者

都内ではしかが確認されたのは 2020 年 2 月以来 3 年ぶり。

2 人は 4 月 23 日、東海道・山陽新幹線のぞみ 50 号の 9 号車(グリーン車・新神戸駅 18:52 発 ➡ 東京駅 21:33 着)を利用していたという。

2 人に面識はない。

先月、茨城県内の 30 代男性が、インドから帰国後、感染が確認されており、 2 人は、この男性が乗っていた 4 月 23 日の同じ新幹線を利用していたようだ。

この茨城県の男性は、つくばみらい市在住で、 4 月 28 日に感染が確認され、茨城県内の感染者の確認は 2019 年 7 月以来、約 4 年ぶりだった。

経過:
・ 4 月 14 日、インドから帰国。
・ 4 月 21 日、発熱、咳。神戸市に移動。
・ 4 月 23 日、発疹が出現。神戸市から移動。
茨城県確認のはしか患者の移動経路
・ 4 月 24 日、発疹継続のため、 JA とりで総合医療センターを受診。
・ 4 月 26 日、同医療機関から竜ヶ崎保健所へ検査依頼あり。
・ 4 月 27 日、県衛星研究所の遺伝子検査により麻疹陽性と判明し、発生届けあり。状態軽快し、退院。

また、都内で確認された男性は発症後の 5 月 4 日、東海道新幹線こだま 740 号の 10 号車(グリーン車・三島駅 18:54 発 ➡ 新横浜駅 19:29 着)にも乗車していたらしい。

都は、 2 人が乗っていた新幹線の情報をホームページで公開していて、 13 日と 14 日に発熱や発疹などはしかを疑う症状が出た人などの相談を受け付けることにしている。

はしかは、発熱や発疹が出るウィルス性の感染症で、空気感染で広がり、感染力が極めて強く、免疫を持っていない人が感染している人に接すると、ほぼ 100% の人が感染し、合併症として肺炎、中耳炎、まれに、脳炎、失明等などを引き起こし、肺炎や脳炎は、重症化すると死亡することもある。

具体的には・・・。

はしかは、感染すると約 10 日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れ、 2 ~ 3 日熱が続いた後、 39℃ 以上の高熱と発疹が出現する。

肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者 1,000 人に 1 人の割合で脳炎が発症すると言われている。

死亡する割合も、先進国であっても 1,000 人に 1 人と言われている。

その他の合併症として、 10 万人に 1 人程度と頻度は高くないものの、麻しんウィルスに感染後、特に学童期に亜急性硬化性全脳炎( SSPE )と呼ばれる中枢神経疾患を発症することもあるという。

はしかは、感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできない。

一番の予防策は予防接種が最も有効な予防法といえる。

また、はしかの患者さんに接触した場合、 72 時間以内にワクチンの接種をすることで、はしかの発症を予防できる可能性がある。

接触後 5 ~ 6 日以内であれば、 γ-グロブリンの注射で発症を抑えることができる可能性があるが、安易にとれる方法ではないという。

現在、厚生労働省は。定期接種の対象者だけではなく、医療・教育関係者や海外渡航を計画している成人も、麻しんの罹患歴がなく、2 回の予防接種歴が明らかでない場合は予防接種を奨めている。