「真実の口」2,050 新型コロナウィルス・・・516

前回の続き・・・。

多くの医療機関関係者の間でも、第 9 波に関する認識のずれを肌で感じているようだ。

女子プロレスラー・ジャガー横田の夫で、さいたま新都心ジャガークリニック及び麻布十番ジャガークリニックの理事長を務める医師の木下博勝氏は、 22 日、SNSを更新し以下のように訴えている。

「今朝のニュースで、第九波のピークが8 月下旬と見ました。えっ、今まだピークじゃ無いの?が個人的感想です。今も毎日、こんなに陽性者がいるのに?予想が外れる事を願います。」

クリニックでは発熱外来でコロナ検査もしており、 6 月 19 日の時点で「我々は既にピークが近いのではと考えているのですが」と現場レベルで感じる感染率の高さなどを報告し、今月 17 日にも「コロナ陽性の方が激増しています」と警戒をしていた。

一方、日本医師会は、5 日の会見で、釜萢敏(かまやち・さとし)常任理事が、「現状は第9波になっている」と発言している。

しかし、厚生労働省は、全国の流行状況について、「感染者数の伸び幅は横ばいで、全国的には緩やかな増加傾向が続いているが、特に九州や中国、四国では前の週より増加幅が大きい県が多い。一方で、沖縄県では 2 週連続で減少となった。各都道府県には夏の感染拡大に備えて医療機関の間の連携などの準備を進めるよう呼びかけていて、引き続き感染状況を注視したい。」と楽観的である。

データを見てみよう。

第 21 週( 5/15 ~ 5/21 )・・・ 3.55
第 22 週( 5/29 ~ 6/4 )・・・ 4.56
第 23 週( 6/5 ~ 6/11 )・・・ 5.12
第 24 週( 6/12 ~ 6/18 )・・・ 5.61
第 25 週( 6/19 ~ 6/25 )・・・ 6.14
第 26 週( 6/26 ~ 7/2 )・・・ 7.25
第 27 週( 7/3 ~ 7/9 )・・・ 9.14

第 8 のグラフと比較してみよう。

1医療機関あたり平均院患者数

11 月の第 8 波入りと同じくらいの感じがするのだが・・・。

「全数把握」と「定点把握」の違いがの如実に現れるのは今後ではないだろうか?

先週、所用で福岡~佐賀に行ってきた。

大阪伊丹空港では、空港スタッフは二人に一人がマスク着用、利用者は 3 割程度がマスク着用という感じだった。

福岡空港では、街中では 6 割程度がマスク着用だった。

5 類に移行して人々の感覚が変わるのは致し方ない。

少し前になるが、週間プレイボーイの公式ニュースサイトである‟週プレNEWS”に面白い記事が掲載されていたので紹介する。

世間の風潮が以下のようになっているのではないかという警鐘である。

■勘違い ① コロナ禍は終わった。第 9 波はもう来ない!

東京都新型コロナ対策アドバイザリーボードメンバー・東北大学大学院・小坂健教授:

「全数把握が行なわれていた第 8 波のときのように『今日の新規感染者数は〇万人』という形で連日、メディアが報じるわけでもないので、一般の人たちが感染状況を実感しにくいと思いますが、残念ながら、この夏、日本がコロナ第 9 波に直面するのは避けられません。一部ではすでに始まっています。」

■勘違い ② 第 8 波の大流行で集団免疫ができた。

大阪大学免疫学・宮坂昌之名誉教授:

「一度感染したり、ワクチン接種を受けたりすると、ほぼ一生にわたって免疫が続く『はしか』や『おたふく風邪』などと異なり、新型コロナに対する集団免疫は期待できないということが相変わらず理解されていません。日本のワクチン接種率は比較的高いので、第8波の収束からこの春先までの期間は、日本人の多くがこのハイブリッド免疫の高い感染防御効果に守られていたから、感染者数も落ち着いていたのです。ただし、それは一時的な免疫によるものだったワケです。その防御力の”期限切れ”と、従来株よりもさらに免疫をすり抜ける力を高めたオミクロン XBB 系統の広がりが重なったために感染が広がりつつある。第 9 波の感染拡大が起きるのは、ある意味必然。『 5 類移行でコロナ禍は終わった』と思っている人がいれば、それは大きな勘違いなんです。」

■勘違い ③ コロナは怖くない。かかっても大丈夫!

前述・宮坂名誉教授:

「コロナ感染から 44 週間後までの脳卒中、心不全、狭心症といった脳や心臓の血管の障害の発症リスクについて調べたイギリスの調査によると、感染から約 1ケ月間は心不全のリスクが最大で約 10 倍、脳卒中に至っては 30 倍も発症リスクが高まっていて、その後も長期間にわたって、通常より発症リスクが高くなるという結果が出ています。ただし、これはイギリスのデータなので、これをそのまま日本に当てはめることはできないという意見もあります。しかし、日本でもコロナが重症化していなくて、その後、 PCR 検査で陰性になった人が、オミクロン株感染の影響でほかの重篤な病気が引き起こされるケースがしばしば起きています。実際、前回の第 8 波で死亡した高齢者や基礎疾患のある人の中には、コロナ肺炎のようなコロナそのものの重症化ではなく、感染後にこれらの病気で亡くなった方が少なくないのです。」

前述・小坂教授:

「日本でのワクチン接種の広がりや、実際に感染を経験した人が増えた今、ほとんどの人たちにとってコロナは、かかってもインフルエンザ並みの病気になったのは事実で、コロナ肺炎などの重症化を引き起こすケースはかなり少なくなっています。ただし、コロナとしては軽症や中等症の扱いでも、実際に感染した人の話を聞くと『症状としては重いインフルに近くて、かなりしんどかった』という声も多い。もちろん症状には個人差がありますが、重症化しないならかかっちゃったほうがいいとは、さすがに言えません。別名”ロング・コービッド”とも呼ばれるコロナ後遺症には多様な症状があります。味やにおいがわからなくなる味覚・嗅覚障害が有名ですが、中には、感染後、約1年たっても強烈な倦怠(けんたい)感で立っていられず寝たきりになるケースも。お風呂に入るのもままならず、幼稚園児の子供に髪の毛を洗ってもらっているという方もいました。そういったことが感染者の約 1 割に起きているというのは、決して無視できません。」

■勘違い ④ まあ、ワクチンを打てば収まるんでしょ?

前述・小坂教授:

「現在は基本的に高齢者と基礎疾患のある人だけが接種対象になっている上に、管理が面倒なワクチンを扱う医療機関は 5 類移行後に著しく減っているので、高齢者や基礎疾患のある者以外は以前のように打ちたいときにパッと打てる状況ではないんです。しかも、現行の 2 価ワクチンでもオミクロン XBB 系に対する感染防御効果があまり期待できないかもしれません。そのため、ワクチンの追加接種をしても、重症化予防の効果はありますが、第 9 波の感染拡大を抑え込む効果は限定的でしょう。オミクロン XBB 系対応のワクチンは 9 月以降に導入される予定なので、高齢者や基礎疾患のある方以外は、そのときに検討するのでもいいかもしれません。」

正しい知識を持たない人が闊歩しているのが現状である。

我々にできる対策は限りなく少ない。

基本的にこれまでの感染対策と同じである。

エアロゾル感染を防ぐための換気・・・。

必要に応じてマスクの着用・・・。

体調不良の場合は不要な外出を避け他人への感染を防止する・・・。

何ら、 3 年前と変わらない(笑)。