「真実の口」2,074 ‟がん”という病 ㉑~集学的治療(その6)・内視鏡治療編(2)~

前回の続き・・・。

3⃣ 大腸がんの‟内視鏡治療”の実際

大腸がんの内視鏡治療

ⅰ ) 治療を受けるまでの準備

・大腸がんの‟内視鏡治療”では、多くは前日に入院するが、内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)内視鏡的粘膜切除術( EMR )は外来で受けることができる場合もある。

‟内視鏡治療”前には、大腸に便が残っていない状態にする必要があるため、前日の食事は繊維質の少ない物を食べ、夕食後からは絶食し、夜に下剤を服用する。

‟内視鏡治療”当日は約 2 ㍑の腸管洗浄液を飲み、腸管内をきれいにする。

・または、前日の昼食に流動食を取ったあと絶食し、約 2 ㍑の腸管洗浄液を飲み、当日さらに約 1 ㍑の腸管洗浄液を飲むこともある。

ⅱ ) 治療の流れ

・ほとんどの場合、‟内視鏡治療”前には大腸の動きを抑える薬の注射を受ける。

・肛門から内視鏡を挿入するときは、痛みを和らげるために、局所麻酔用のゼリーや潤滑用のゼリーを使う。

EMRESD の場合には、‟内視鏡治療”中に医師の指示で体の向きを変えることもある。

‟内視鏡治療”中は、不快感や不安を和らげるための鎮静剤や、痛みを和らげるための鎮痛剤を使う。

‟内視鏡治療”中から‟内視鏡治療”後にかけては、心電図血圧計血中酸素濃度モニターを装着する。

ⅲ ) 合併症

合併症として、‟内視鏡治療”後に出血することや、大腸に穴が開く穿孔が起こることがある。

‟内視鏡治療”中の出血は少量であることがほとんどである。

‟内視鏡治療”後に出血が起こると、血便が出ることがある。

穿孔が起こったときには、腹痛や発熱などの症状が出てくる。

・その他、‟内視鏡治療”後に何らかの体調の変化を感じたときには、医師や看護師に伝えることが必要である。

・入院中に出血や穿孔などの合併症が起こった場合には、止血や穴をふさぐための内視鏡による治療が行われる。

・ごくまれに手術が必要になる場合もある。

ⅳ ) 経過観察

合併症が起こる可能性があるため、‟内視鏡治療”後は 3 日 ~ 1 週間程度入院する。

‟内視鏡治療”を受けた当日は、点滴を受けながらベッドの上で安静にして過ごす。

‟内視鏡治療”の状況や合併症の有無によるが、2 ~ 3 日目から食事が始まる。

・退院するまでに徐々に普通の食事に戻していく。

・切除した病変は、‟がん”の進行度を顕微鏡で調べ、‟がん”の進行度によっては、追加の治療が必要となることがある。

・追加の治療が必要ない場合は、退院後に定期的に受診して、‟がん”が再発転移していないかどうか調べる検査を受ける。

‟がん”の進行度や‟内視鏡治療”の状況などによって、受診の頻度や検査の内容は異なるが、治療後、3 年以内に大腸内視鏡検査を受けことがほとんどである。

4⃣ 膀胱がんの‟内視鏡治療”の実際

膀胱がんの内視鏡治療

・膀胱がんの‟内視鏡治療”は、 TURBT (経尿道的膀胱腫瘍切除術)という方法で行う。

・診断のための検査と同時に行うこともある。

・尿道から内視鏡を挿入して、‟がん”を電気メスで切除する。

ⅰ ) 治療を受けるまでの準備

・膀胱がんの‟内視鏡治療”では、ほとんどの場合、前日に入院し、夕食後から絶食する。

ⅱ ) 治療の流れ

‟内視鏡治療”の前に、腰椎麻酔または全身麻酔をする。

腰椎麻酔では意識がなくなることはないが、全身麻酔では意識がなくなり眠ったような状態になる。

・ 麻酔がかかったら、医師が尿道から内視鏡を挿入し、電気メスで‟がん”を切除してい。

‟内視鏡治療”が終わったら、尿道カテーテルと呼ばれるゴムやシリコンでできた管を尿道に留置する。

‟内視鏡治療”のあとに、膀胱の中に薬を注入する膀胱内注入療法を行うこともある。

ⅲ ) 合併症

TURBT 合併症として、出血(血尿)頻尿などが起こることがある。

血尿がひどい場合は、特殊なカテーテルで膀胱内を洗浄する。

・重度の場合は、緊急で止血術が必要になることもある。

‟内視鏡治療”後に出血が起こると、血便が出ることがある。

・膀胱に穴があく膀胱穿孔が起きることもあるが、カテーテルを長期に留置することで、多くの場合は改善する。

・その他の症状としては、発熱や、腰椎麻酔の影響で頭痛が起こることがある。

尿道カテーテルが挿入されていることによる痛みを感じることもある。

ⅳ ) 経過観察

‟内視鏡治療”を受けた当日は、尿道カテーテルが入った状態で、点滴を受けながらベッドの上で安静にして過ごす。

‟内視鏡治療”の状況や合併症の有無によるが、‟内視鏡治療”後、血尿などの具合を見ながら、尿道カテーテルを抜く。

・食事は‟内視鏡治療”の翌日から普通の食事を食べられる。

・‟がん”の大きさや‟内視鏡治療”後の血尿の具合によるが、‟内視鏡治療”後 2 ~  3 日で退院できることが多い。

・早ければ翌日に退院できることもあるが、‟内視鏡治療”後 1 週間程度入院することもある。

・退院後に定期的に受診して、‟がん”が再発転移していないかどうか調べる検査を受ける。

‟がん”の進行度や‟内視鏡治療”の状況などによって、受診の頻度や検査の内容は異なるが、治療後、3 ヶ月以内に膀胱内視鏡検査を受けことがほとんどである。

次回へ・・・。