「真実の口」2,096 ‟がん”という病 ㊸~がん治療による様々な症状・不眠編~

前回の続き・・・。

《がん治療による様々な症状》

【 全身に起こる症状 】

🔟 不眠

( 1 ) 不眠について

● 睡眠は、疲れた心身を回復させ、体調を整えるために大切である。

● ‟がん”と診断された直後や治療中、治療が終わったあとなどに、不眠で悩む人は少なくない。

● “がん”患者の 20 ~ 50% が不眠を経験するといわれている。

● 不眠には、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早くに目が覚める、よく眠れたと思えないといったいくつかのタイプがある。

● 不眠が続くと、日中にだるさを感じたり、集中力が低下したり、イライラしたりするなど、さまざまな体の不調につながることがある。

( 2 ) 原因

● 不眠は、さまざまな原因によって起こり、複数の原因が関わっていることもある。

~‟がん”や‟がん”の治療による症状~

・痛み、吐き気、下痢、息苦しさ、発熱、かゆみなど
・ステロイド薬などの不眠を引き起こすことがある薬の使用
・抗不安薬・睡眠薬・医療用麻薬などの退薬症状(長期間薬を使ったあとに中止することで起きる症状)

~環境の変化~

・入院・通院などの環境の変化
・休職などの社会生活の変化
・睡眠習慣(寝る時間や起きる時間など)の変化

~心理的な負担~

・がんと診断されたことによるショックやストレス
・病気の進行に関する不安
・家族関係、職場の人間関係などの悩み

~その他~

・がんとは関係のない体の不調
・うつ病、適応障害、せん妄などの精神疾患

( 3 ) 眠れないときには

● 眠れないときには、担当医に相談して、改善する方法を探すようにする。

● ショックやストレス、不安な思いにより眠れない場合には、医師や看護師などの医療のスタッフに相談することで、適切な対処方法が見つかったり、気持ちが軽くなったりすることがある。

● 痛みや吐き気などの症状が原因で眠れない場合には、その症状を取り除く薬(鎮痛薬や医療用麻薬、吐き気止めの薬など)を使うことで不眠を和らげる。

● 不眠が続く場合には、不眠のタイプに応じて睡眠薬や抗不安薬などを使うこともある。

● 薬の依存症になるのではないかと抵抗を感じる人もいるが、短期間の使用では問題になることはほとんどないので、 医師の指示通りに適切に服用することが大切である。

● 依存症になりにくい睡眠薬も出てきているので、どのように困っているかを具体的に医師に伝える。

● 最適な睡眠時間は人それぞれなので、睡眠の時間を気にしすぎず、起きたときによく眠れたと思えることが大切である。

( 4 ) 本人や周囲の人が出来る工夫

● ‟がん”と告げられた直後では、ショックやストレスで 2 ~ 3 日眠れない日が続くことはまれではない。

● 眠れないときは、眠ろうとすればするほど逆に目がさえてしまうこともある。

● 眠れないときは、ベッドから離れてリラックスし眠気を感じてからベッドに戻る、眠くなってから横になることを勧める。

● 日常生活を送る上で、以下のような工夫の例がある。

~寝る前には~

・夕方以降にカフェイン入りの飲み物や食べ物を取らない。
・寝る前の飲酒を控える。
・軽い読書、音楽、ぬるめのお風呂、アロマ、軽いマッサージなどでリラックスする。
・寝室の照明を暗くする。
・スマートフォンなどを寝室に持ち込まない

~起きるときには~

・なるべく毎日同じ時刻に起きる。
・寝床で長時間過ごさない。
・朝、起きたら日光を浴びる

~日中の過ごし方~

・規則正しい食事を心がける。
・体調の許す範囲で運動を行う。
・昼寝をする場合は 15 時前に 20 ~ 30 分の短いものとする。

( 5 ) こんなときは相談する

● ‟がん”と診断された直後や治療中、治療が終わったあとなどに不眠で困った場合には、担当医に相談する。

● 必要があれば心療内科医や心理職などの心の専門家が紹介される。

● 睡眠中に激しくいびきをかく・呼吸が止まると言われた場合や、不眠に加えて足にむずむずした感じがある場合には、他の病気の可能性があるので、担当医に相談する。

● 担当医への聞き方が分からないときには、看護師やがん相談支援センターに相談することもできる。

● その他にも、入院や通院、仕事などの環境の変化による困りごとがある場合には、ソーシャルワーカーやがん相談支援センターへ相談する。

次回へ・・・。