「真実の口」2,099 ‟がん”という病 ㊻~がん治療による様々な症状・もの忘れ、認知機能の低下編~

前回の続き・・・。

《がん治療による様々な症状》

【体の一部に起こる症状】

3⃣ 認知機能の低下

( 1 ) 認知機能の低下とは

● ‟がん”の治療に伴って、認知機能という脳のはたらきが低下することがある。

・もの忘れしやすい
・集中力が続かない
・同時に複数のことができない
・仕事に時間がかかる
・適切な言葉が使えない
・判断力が低下する

・・・等々の症状が出る。

‟薬物療法”などによって起こる場合には、ケモブレインと呼ぶこともあります。ある。

● このような症状が出るかどうかや、どのような症状が出るか、いつから始まりいつまで続くかは人によってさまざまである。

● 治療中に症状が出始める人もいれば、治療が終わってから症状が出る人もいる。

● 短期間で症状がなくなることもあれば、反対に長く続くこともある。

( 2 ) 原因

● ‟がん”そのもの(脳腫瘍や脳転移など)や‟薬物療法”、脳への‟放射線治療”などが原因になることがあるが、はっきりとわからないこともある。

・ステロイド薬
・痛み止め
・吐き気止めの薬の使用
・不眠
・疲労感
・うつ状態
・感染症
・糖尿病
・栄養不足
・高年齢
・ストレス

・・・等々、さまざまなことが組み合わさって起こるのではないかと考えられている。

( 3 ) 症状が起きたときには

● 原因を調べるために、診察や検査を行い、治療の方針を検討する。

● ‟がん”そのものによって認知機能が低下していると考えられる場合には、‟がん”の治療を行い、症状の軽減を目指す。

‟薬物療法”などの‟がん”の治療によって認知機能の低下がみられている場合、専門医を紹介したり、治療スケジュールを調整したりすることがある。

● 完全に治すことが難しい場合には、少しでも症状を改善し、生活の中でうまく付き合っていけるようにしていく。

( 4 ) 本人や周囲の人が出来る工夫

● 認知機能の低下についての症状は、ほかの人に理解してもらうことが難しいこともあり、落ち込んでしまうこともあるかもしれない。

● すぐに‟がん”と診断される前の生活に戻そうとはせずに、ゆっくりと戻していくようにする。

● 日常生活を送る上で、以下のような工夫の例があり、どのような工夫ができるかを担当医と相談してみる。

~ 症状についての記録をつける ~

● 症状や症状が起きた時間帯を記録するのも良い方法である。

● 使用している薬などがある場合にも記録する。

● 客観的に振り返ることで、症状とうまく付き合うためのヒントが見つかるかもしれない。

● 医師にも症状を伝えやすくするように以下のことを記録する。

・どのような症状を感じるか?
・症状は朝起きるのか、夜起きるのか?
・症状はどのようなときに起きるのか?(例:おなかがすいているとき、疲れているとき)
・使っている薬はあるか?(例:使っている薬の名前を記載)

~ やるべきことなどの、忘れそうなことをメモする ~

● メモ帳やスケジュール帳を利用して、やるべきことや、忘れそうなことについてメモをとってみることも良い方法である。

● その際、体調が良い時間帯に大事なことを行う、

● 一度に行うことを 1 つに絞るなど工夫できることを考えてる。

● 付箋に書いて身近な場所に貼っておくこともおすすめである。

~ 運動やリラクセーションを行う ~

● 体調が許す範囲で軽い運動を行うことで、気分転換になったり、疲労感が軽減できたりすることがある。

● ウォーキングやスイミング、ガーデニングなども良いといわれている。

● 十分な休息をとり、音楽を聴いたり、ヨガをしたりするなどのリラクセーションを行うことで、ストレスを軽減する。

~ 家族や友人、職場の人と話す ~

● 認知機能の低下は、痛みなどの症状と比べて自分でもわかりにくいこ。

● 日常生活で違和感がある場合には、どのようなことが起こったか、自分がどのように感じているのかなどを、家族や友人に話してみると、新たな気づきがあるかもしれない。

● 職場の上司や同僚とコミュニケーションをとることで、理解してもらいやすくなったり、仕事の調整がうまくいきやすくなったりするので、必要なときには遠慮せずサポートをお願いする。

● 周りの人は、本人が困っていることがないか聞き、症状があるときにはサポートしてあげるよう心がける。

( 5 ) こんなときは相談する

● もの忘れしやすい、集中力が続かない、同時に複数のことができないなどの症状を感じた場合や、急に症状が増えた場合には、遠慮せず担当医や看護師に相談する。

● これらの症状のほかに、強い頭痛や吐き気・嘔吐の症状があるときは急いで受診する。

● 相談の際には、症状を記録した日記などを持っていくと良い。

● 家族や友人と一緒に診察を受けることで、症状が伝えやすくなることもある。

● 診察の前には、聞きたいことをリスト化しておくことも効果的である。

【 例 】
・受けている治療は、認知機能の低下を引き起こしますか?
・この症状はどれくらい続くでしょうか?
・この症状を減らすために何かできることがありますか?
・ソーシャルワーカーやカウンセラーなどから経済的な相談や、仕事、生活などのサポートは受けられますか?
・患者会やサロンなどで経験者と話してみることはできますか?

次回へ・・・。