「真実の口」2,042 感染列島・中編

前回、現在流行中の新型コロナウィルス染症、サル痘、 RS ウィルスという感染症の状況を寄稿した。

今回は、インフルエンザを取り上げてみよう。

インフルエンザといえば冬季の感染所のイメージだが、今年に限っては季節外れの流行が拡大している。

例年だと、この時期の 1 医療機関あたりの感染者数は 0.00 人である。

しかし、今年第 25 周期( 6 月 19 日~ 6 月 25 日)は 1.20 人(患者報告数 5,896 人)となっている。

全国の感染状況を見てみると・・・。

インフルエンザ感染状況

前週の定点当たり報告数 1.29 人(患者報告数 6,344 人)よりも減少している。

都道府県別では・・・。

鹿児島県・・・ 18.09 人
宮崎県・・・ 6.81 人
長崎県・・・ 2.94 人
愛媛県・・・ 2.48 人
熊本県・・・ 2.35 人
高知県・・・ 1.84 人
三重県・・・ 1.78 人
大分県・・・ 1.50 人
愛知県・・・ 1.42 人
山口県・・・ 1.40 人

九州を中心に西日本で中高が続いているようだ。

13 都道府県では前週の報告数よりも増加し、 33 都道府県では前週の報告数よりも減少している。

厚生労働省・感染症サーベランスによる注意報レベルや警報レベルでは、全国の保健所管轄区域で、警報レベルを超えている区域は 3 ケ所で、注意報レベルを超えている区域は 6 ケ所だった。

鹿児島県が警報レベルで、宮崎県が注意報レベルとなっている。

鹿児島県では上記のように全国最多の 18.09 人となっているが、新型コロナでも 11.71 人と、全国で 2 番目の多さとなっている。

保健所別では、伊集院 46 人、西之表 40 人、川薩 38.14 人などとなっていて、流行発生警報の目安となる 30 人を超えているところもでてきている。

学校への影響も出ていて、今月 25 日までの 1 週間でインフルエンザによる学級閉鎖が、小学校 13 校と高校 3 校のあわせて 16 校で、学年閉鎖が小学校 9 校で行われている。

全国的には、 5 月中旬~ 6 月前半がピークだったようだが、何時全国的に拡大するか分からない状況でもある。

次いで、ヘルパンギーナだが、発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性の発疹を特徴とした急性のウィルス性咽頭炎であり、乳幼児を中心に夏季に流行する。

いわゆる夏かぜの代表的疾患である。

これも例年だと、この時期の 1 医療機関あたりの感染者数は 0.1 人を切る状況である。

しかし、今年第 25 周期( 6 月 19 日~ 6 月 25 日)は 5.79 人となっている。

全国の感染状況を見てみると・・・。

ヘルパンギーナ感染状況

推移を見てみると・・・。

2023 年 6 月 19 日〜 6 月 25 日・・・ 5.79 人
2023 年 6 月 12 日〜 6 月 18 日・・・ 4.50 人
2023 年 6 月 5 日〜 6 月 11 日・・・ 3.00 人
2023 年 5 月 29 日〜 6 月 4 日・・・ 1.87 人
2023 年 5 月 22 日〜 6 月 28 日・・・ 1.33 人
2023 年 5 月 15 日〜 6 月 21 日・・・ 0.73 人
2023 年 5 月 8 日〜 5 月 14 日・・・ 0.03 人

これもコロナ 5 類移行に感染が拡大しているのがわかる。

県別に見てみると・・・。

宮城県・・・ 14.00 人
鹿児島県・・・ 12.25 人
静岡県・・・ 10.12 人
三重県・・・ 9.82 人
和歌山県・・・ 9.47 人
群馬県・・・ 8.39 人
愛媛県・・・ 7.76 人
東京都・・・ 7.75 人
滋賀県・・・ 7.72 人
大阪府・・・ 7.65 人

全国的に感染が爆発しているのが分かる。

ヘルパンギーナには予防接種はなく、また発病を予防できる薬もない。

しかし、発病しても重症化することはほとんどない。

大人の感染はまれだが、抵抗力が落ちていれば大人もヘルパンギーナに感染する。

症状が出ている期間が長いと、子どもと比べて重症化する傾向があるので要注意といえる。

また、大人の感染のほとんどは、先に感染した子供からの二次感染なので、子供がヘルパンギーナの診断を受けた場合には、マスク着用の上、世話をし、うがい手洗いを徹底して、タオル類・食器類の共用は避けることが大切である。

次いで、感染性胃腸炎だが、なんらかの微生物が原因となって引き起こされる腸の病気の総称で、突然の嘔吐・下痢・腹痛や発熱などの症状を起こす。

梅雨の時期から高温多湿となる夏期には多くなる感染症である。

今年第 25 周期( 6 月 19 日~ 6 月 25 日)は 4.98 人となっている。

昨年同期( 6 月 20 日~ 6 月 26 日)は 5.31 人となっているので、毎年恒例といえるだろう。

ただし。前年と今年を比すると、面白いことが分かる。

2023 年 6 月 19 日〜 6 月 25 日・・・ 4.98 人(前年同期 5.31 人)
2023 年 6 月 12 日〜 6 月 18 日・・・ 5.77 人(前年同期 5.72 人)
2023 年 6 月 5 日〜 6 月 11 日・・・ 6.29 人(前年同期 5.42 人)
2023 年 5 月 29 日〜 6 月 4 日・・・ 6.61 人(前年同期 5.32 人)
2023 年 5 月 22 日〜 6 月 28 日・・・ 6.48 人(前年同期 5.30 人)
2023 年 5 月 15 日〜 6 月 21 日・・・ 6.54 人(前年同期 4.94 人)
2023 年 5 月 8 日〜 5 月 14 日・・・ 5.28 人(前年同期 4.15 人)

昨年は、左程変動が無かったのだが、今年は、コロナ 5 類移行に急拡大しているのだ。

人の移動が原因だろうか?

ウィルスによる胃腸炎に抗菌薬は無効なので、いわゆる特効薬というのはない。

主な治療は、胃腸炎の症状を緩和する対症療法となる。

嘔吐・下痢がひどい場合であれば、水分摂取を促したり、飲水もできなければ病院で点滴を行ったりするしかない。

細菌性胃腸炎に対しては、感染した細菌の種類に応じて抗菌薬の使用も考慮されるが、症状が軽ければ、ウィルス性胃腸炎と同じく対処療法になる。

ウィルス性でも細菌性でも、もっとも重要な予防方法は手洗いや消毒を行うこととなっているので、食事や調理の前、トイレの後はしっかり手洗いをするようにしよう。

また、生の肉や魚、二枚貝などに付着した細菌やウィルスを口にすることでも感染するため、生鮮食品はよく加熱してから食べ、細菌は高温多湿の状態だと増殖が活発になるため、外に放置したりせずに購入後はすぐに冷蔵庫に入れて保存するよう心がけよう!

次回へ・・・。