「真実の口」2,144 東日本大震災から 13 年

今日で、東日本大震災から 13 年の月日が経過したことになる。

死者は、15,900人

2022 年 12 月以降、新たに遺体が発見されたり、身元が判明したりしたケースはなく、昨年公表数と変わらない。

内訳は・・・

▽宮城県・・・ 9,544 人
▽岩手県・・・ 4,675 人
▽福島県・・・ 1,614 人
▽茨城県・・・ 24 人
▽千葉県・・・ 21 人
▽東京都・・・ 7 人
▽神奈川県・・ 4 人
▽栃木県・・・ 4 人
▽青森県・・・ 3 人
▽山形県・・・ 2 人
▽北海道・・・ 1 人
▽群馬県・・・ 1 人

行方不明は、2,520 人

昨年公表数から 3 人減った。

見つかった遺体の一部を DNA 鑑定した結果、岩手県の女性 2 人、男性 1 人のあわせて 3 人が特定されたそうだ。

ご遺族はようやく帰って来たという思いだろうか?

13 年という歳月がどのようなものだったのかは想像もできない。

内訳は・・・。

▽宮城県・・・ 1,213 人
▽岩手県・・・ 1,113 人
▽福島県・・・ 196 人
▽千葉県・・・ 2 人
▽青森県・・・ 1 人
▽茨城県・・・ 1 人

岩手県警は震災後、身元不明者の特定に向けた「身元追跡班」を設置し、昨年 6 月、母系の親族にまで範囲を広げて血縁関係をたどる「ミトコンドリア DNA 型鑑定」を活用し、上の 3 人の特定に至ったらしい。

岩手県内で身元が特定されていないご遺体が 47 人残っている。

宮城県では、 6 人の特定に至っていないが、県警捜査 1 課に「身元不明・行方不明者捜査班」を設置し、身元解明に取り組んでいる。

遺体の発見場所から被災地点を推定する「マッピングポインティング」と呼ばれる捜査手法なども採用し、2020 年には 2 人の身元特定に至ったそうだ。

県警は震災後から、身元不明者に関する情報を求める相談会を実施しているが、近年はなかなか人が集まらないと言うのが実情で、今年 1 月には 4 年ぶりに相談会を実施したものの、相談件数はゼロだったという。

そして、 13 年経った現在も避難生活を余儀なくされている方たちもいらっしゃる。

2024 年 2 月 1 日現在、避難者数は 29,328 人(前年比 -405 人)。

県外避難は 21,713 人(福島県 20,279 人、宮城県 889 人、岩手県 545 人)。

内訳は・・・。

応急仮設等及びそれ以外の民間賃貸等・・・ 10,856 人(前年比 -199 人)
親族・知人宅等・・・ 18,361 人(前年比 -186 人)
病院等・・・ 111 人(前年比 -20 人)

災害関連死も前年度から 8 人増えて、 3,802 人になった。

福島県では、福島第一原発事故以来、除染が進められている。

当初、学校の校庭や住宅の敷地内などに仮置きされていた除染廃棄物は、福島県の大熊町・双葉町にまたがる中間貯蔵施設に搬入されている。

これまでに除染で出た土は、 1,375 万m3 ( 2023 年 12 月末時点)。

実に、東京ドーム約 11 杯分が保管されていることになる。

その一方、除染廃棄物の行方をめぐっては、いまだ明確な道筋が見えていないのが現状である。

「中間貯蔵施設」に一時保管された除染廃棄物は「 30 年以内に福島県外で最終処分」と法律に定められている。

最終処分に向けて、放射能の濃度が基準値以下の除染土を再利用する実証事業が行われるものの、福島県外では住民の反対があり進んでいない。

当然と言えば当然だろう・・・。

搬入開始から約 9 年が経過し、約束の期限まであと 21 年・・・。

どこに着地点を見出すのだろうか?

毎年恒例だが、東北 3 県の方たちへのアンケート結果である。

NHK が岩手・宮城・福島の沿岸と原発事故による避難指示が出された地域に住む 20 代~から 60 代の 1,000 人にインターネットでアンケートを行ったものである。

Q. 国からの支援は十分か?

▶ 十分だと思う・・・ 19%
▶ 不十分だと思う・・・ 32%
▶ どちらとも言えない・・・ 48%

Q. 今後も国からの支援は必要か?

▶ 重点的でなくても支援は続けるべき・・・ 54%
▶ 重点的な支援が必要・・・ 30%
▶ 特に支援する必要はない・・・ 16%

【支援が必要だと答えた理由(複数回答)】
◆「震災の影響で地域経済の厳しい状況が続いているから」・・・ 50%
◆「町が震災前のにぎわいを取り戻していないから」・・・ 37%
◆「被災者への心のケアが必要だから」・・・ 36%

【支援を求めている人の自由記述】
◆岩手県宮古市の男性( 59 )
「心に負った傷はなかなか癒やされない」
◆岩手県野田村の女性( 61 )
「何十年に一度という大きな被害を受け回復に向かっているとは言え100%ではない」
◆岩手県久慈市の男性( 56 )
「少子高齢化が深刻化するなか、新たに整備された道路なども徐々に古くなり、維持管理の負担が心配だ」

Q. 被災者同士の交流状況は?

▶ 増えた・・・ 2.2%
▶ やや増えた・・・ 8.7%
▶ 変わらない・・・ 55.5%
▶ やや減った・・・ 17.6%
▶ 減った・・・ 16.0%

【減った理由(複数回答)】
◆「新型コロナウィルスの感染拡大のため」・・・ 63%
◆「住民が高齢化し活動が維持できなくなったから」・・・ 54%
◆「人口流出で活動の担い手がいなくなったから」・・・ 50%

【減ったことの影響や懸念(複数回答)】
◆「町に暮らす魅力が減った」・・・ 50%
◆「伝統芸能など地域の文化が継承できていない」・・・ 30%
◆「震災への思いや被災経験について共有できない」・・・ 27%
◆「地域防災の体制が弱くなった」・・・ 26%
◆「精神的な孤立を感じている」・・・ 26%

Q. 震災の経験を周囲に話しているか?(自宅が損壊したり家族や友人を亡くしたりした被災経験のある735人へのアンケート)

▶ 聞かれれば話してい・・・ 64%
▶ 以前は話していたが今は話す機会がない・・・ 21%
▶ 以前は話せなかったが最近になって話せるようになった・・・ 2%
▶ まだ話せていない経験がある・・・5%
▶ 聞かれても話さない・・・ 6%

【回答した人から寄せられた意見】
◆仙台市若林区の男性( 66 )
「つらい気持ちをまだ整理できていない」
◆福島県南相馬市の女性( 51 )
「考えるだけでフラッシュバックする」
◆福島県いわき市の女性( 35 )
「時間が経過して、悲しみもあるがよかった思い出も話せるようになった」

Q. 原発事故 廃炉作業に伴う処理水放出後の「風評被害」はあったか?

▶ あった・・・ 5%
▶ 無かった・・・ 95%

【被害があった人の自由記述】

◆仙台市宮城野区の女性( 46 )
「福島に近い地方の野菜や魚が売れない」
◆福島県いわき市の女性( 41 )
「職場に中国から迷惑電話が来た」

兵庫県立大学の木村玲欧教授はアンケートの結果を受けて以下のように話している。

「震災 13 年でハードの復興支援はめどがたったが、復興の最終的な目的は人々の人生の再建だ。心のケアや町のにぎわいづくりなどソフト面での支援はまだまだ必要だが、国の予算も減少していて足りない状況なのではないか。交流の減少による地域社会の維持の課題や被災者の心身への影響、伝承の機会の減少など新たな問題も出ていて、被災地で暮らす人たちがどんな支援を求めているか今後も確認をしながら継続的に行っていくべきだ。」

まだまだ、心休まる日が訪れていない人が大勢いると言うこと忘れてはならない。

東日本大震災という一つの自然災害という認識ではなく、そこには、被災された人あるいはその親族にとって一つ一つの数万いや数十万と積み重なる体験である。

一日でも早く心休まる日が訪れることを望んでやまない。