前回の続き・・・。
1 月 1 日に発生した能登半島地震では、震度 5 強の地震が 3 回発生した。
1⃣ 1 月 1 日 16 時 6 分頃 最大震度 5 強(石川県:珠洲市
2⃣ 1 月 1 日 16 時 10 分頃 最大震度 7 (石川県:志賀町)
3⃣ 1 月 1 日 16 時 18 分頃 最大震度 5 強(石川県:七尾市、穴水町)
そして、 16 時 22 分に石川県能登地方に対して、大津波警報が発令された。
その他、同時刻に、山形県、新潟県上中下越、佐渡、富山県、石川県加賀、 福井県、兵庫県北部へ津波警報が発令されている。
また、石川県能登地方へ発令されていた大津波警報も 20 時 30 分には津波警報へ切り替えられた。
大津波警報が発令されたのは東日本大震災以降、初めてである。
私もそうだが、あの悪夢が再び起こるのだろうかと不安を抱いたのではないだろうか?
ただ、テレビに流れてくる映像では、津波の被害があまりないような感じで胸をなでおろした。
しかし、現実には、最大 5.1m 浸水 輪島や珠洲では 4m 超の津波が襲っていたことが分かった。
地震発生時、気象庁によると、珠洲市に設置した潮位計は地震直後に観測不能になったほか、輪島市の観測点では潮位が 1.2mまで上昇した後にデータが途切れたらしい。
いったい何が起こったのだろうか?
京都大学防災研究所の森信人教授と関西大学の安田誠宏教授等のグループが、津波の被害状況を詳しく把握するために、 5 日か~ 7 日にかけて能登半島で現地調査を行った。
5 日 ・・・ 志賀町~輪島市門前町
6 日 ・・・ 珠洲市と能登町北部
7 日 ・・・ 珠洲市
調査の結果、津波の最大の浸水高は以下の通りだったそうだ。
(※数値は潮位補正前の速報値で今後変更となる場合もある)
<珠洲市>
▶三崎町 ・・・ 4.7m
▶川浦町・折戸町・宝立町 ・・・ 4.3m
▶飯田町 ・・・ 3.7m
▶蛸島町 ・・・ 3.0m
<能登町>
▶布浦・松波地区 ・・・ 3.2m
<輪島市>
▶琴ヶ浜地区 ・・・ 2.3m
▶門前町黒島から北 ・・・ 浸水痕なし
<志賀町>
▶赤崎・鹿頭地区 ・・・ 5.1m
このうち、最大 4.7m の浸水高があった珠洲市三崎町の寺家地区周辺では、護岸の近くに道路や住宅があり、海岸に面した多くの住宅は全壊や半壊の被害が出ていた。
また、最大 4.3m の浸水高があった珠洲市宝立町鵜飼や春日野地区では川からも氾濫があったとみられ、津波に伴う火災も発生したため建物の被害が大きかった。
何故、大津波警報、津波警報の際に表示された津波の高さと実際に襲ってきた津波の高さがずれたのだろうか?
能登半島の海岸線が隆起したことが一因のようだ。
上の写真は、輪島市皆月湾の航空写真だが、海中にあった消波ブロックが砂上にさらけ出されている。
衛星画像大手のアメリカ・プラネット・ラボが、 7 日、地震前後の能登半島の衛星画像を公開している。
石川県輪島市の皆月湾や名舟町などで、海岸線が沖に向かって大きく前進したのが確認される。
国土地理院が判読したところ、皆月湾周辺では海岸線が沖に約 200m 進んだ場所があったという。
総延長では約 85km (暫定値)にわたって海岸線が前進したらしい。
国土地理院と判読範囲は異なるが、日本地理学会のグループの調べでは、陸地の面積は計 2.4km3 ほど増えたとみられているようだ。
津波警報はどのようにして判断・発令されているのだろうか?
次回へ・・・。