「真実の口」2,156 来るべき大地震に備えて ⑱

前回の続き・・・。

前回、出張前に台湾で地震があり、沖縄県に津波警報が発令された話を寄稿した。

3 日午前 7 時 58 分(日本時間午前 8 時 58 分)に発しした台湾東部沖地震は、 M7.4 という規模で、台湾で起きた地震としては、過去 25 年で最大級だったようだ。

これまで( 2024 年 4 月 7 日 19 時 00 分時点)に 13 人の死亡が確認され、負傷者は 1,140 人に上っている。

確認された死者 13 人のうち多くが、花蓮県の観光地「太魯閣国立公園」の公園内で見つかり、また、道路の寸断で最大時に約 700 人が孤立状態となっていたが、 7 日に解消された。

未だに連絡の取れない安否不明者が 6 人もいらっしゃるようだ。

生存率が下がる 72 時間の壁を越えてしまったが、一刻も早く発見されることを祈るしかない。

そういう私は、今回の出張は、宮城県だったのだが、 4 日 12 時 16 分頃、福島県沖を震源とする M6.0 の地震を経験することとなった。

岩手県矢巾町、宮城県登米市・大崎市・涌谷町・美里町・名取市・角田市・亘理町・石巻市、福島県田村市・伊達市・国見町・相馬市・広野町・楢葉町・富岡町・大熊町・双葉町・浪江町・新地町では震度 4 の揺れが観測された。

私は、石巻市にいたので、震度 4 だったのだが、今まで経験した地震の中でも揺れている時間が長く、結構な恐怖を味わった。

多くの方が、今年に入り地震が多いなあと感じているのではないだろうか?

最大震度 5 弱以上の地震は以下の通りだ。

1 月 1 日 16 時 06 分ごろ 石川県能登地方 最大震度 5 強( M5.7 )
1 月 1 日 16 時 10 分ごろ 石川県能登地方 最大震度 7 ( M7.6 )
1 月 1 日 16 時 18 分ごろ 石川県能登地方 最大震度 5 強( M6.1 )
1 月 1 日 16 時 56 分ごろ 石川県能登地方 最大震度 5 強( M5.7 )
1 月 1 日 17 時 22 分ごろ 能登半島沖 最大震度 5 弱( M4.8 )
1 月 1 日 18 時 03 分ごろ 能登半島沖 最大震度 5 弱( M5.3 )
1 月 1 日 18 時 08 分ごろ 能登半島沖 最大震度 5 弱( M5.6 )
1 月 1 日 18 時 40 分ごろ 能登半島沖 最大震度 5 弱( M4.7 )
1 月 1 日 20 時 35 分ごろ 石川県能登地方 最大震度 5 強( M4.6 )
1 月 2 日 10 時 17 分ごろ 石川県能登地方 最大震度 5 強( M5.6 )
1 月 2 日 17 時 13 分ごろ 能登半島沖 最大震度 5 強( M5.6 )
1 月 3 日 2 時 21 分ごろ 石川県能登地方 最大震度 5 強( M5.0 )
1 月 3 日 10 時 54 分ごろ 石川県能登地方 最大震度 5 強( M5.5 )
1 月 6 日 5 時 26 分ごろ 石川県能登地方 最大震度 5 強( M5.3 )
1 月 6 日 23 時 20 分ごろ 能登半島沖 最大震度 6 弱( M4.4)
1 月 9 日 17 時 59 分ごろ 佐渡付近 最大震度 5 弱( M6.0 )
1 月 16 日 18 時 42 分ごろ 石川県能登地方 最大震度 5 弱( M4.8 )
3 月 15 日 0 時 14 分ごろ 福島県沖 最大震度 5 弱( M5.8)
3 月 21 日 9 時 08 分ごろ 茨城県南部 最大震度 5 弱( M5.3 )
4 月 2 日 4 時 24 分ごろ 岩手県沿岸北部 最大震度 5 弱( M6.1 )
4 月 8 日 10 時 25 分ごろ 大隅半島東方沖 最大震度 5 弱( M5.2 )

大半は、 1 月 1 日に発生した能登半島地震に起因するものだが、 3 月以降の 4 つの地震は違うエリアだ。

一番下の地震は、この Blog を書いている最中に、大隅半島東方沖を震源とする M5.2 の地震が発生し、宮崎県で最大震度 5 弱が観測されたというニュースが飛び込んできたものである。

とりあえず、 4 月 8 日正午時点で、最大震度 5 弱以を 21 回観測したのは、ここ 10 年で一番多いらしい。

また、能登半島地震に起因しない最大震度 4 以上を調べてみると・・・。

1 月 13 日 15 時 56 分ごろ 釧路地方北部 最大震度 4 ( M3.9 )
1 月 28 日 8 時 59 分ごろ 東京湾 最大震度 4 ( M4.8 )
2 月 7 日 20 時 59 分ごろ 和歌山県北部 最大震度 4 ( M4.1 )
2 月 26 日 15 時 24 分ごろ 愛媛県南予 最大震度 4 ( M5.1 )
3 月 1 日 5 時 43 分ごろ 千葉県東方沖 最大震度 4 ( M5.2 )
3 月 2 日 1 時 49 分ごろ 千葉県南部 最大震度 4 ( M5.0 )
3 月 2 日 23 時 00 分ごろ 宮崎県北部平野部 最大震度 4 ( M4.3 )
3 月 9 日 4 時 26 分ごろ 千葉県東方沖 最大震度 4 ( M4.5 )
3 月 13 日 20 時 24 分ごろ 福島県沖 最大震度 4 ( M4.7 )
3 月 15 日 19 時 32 分ごろ 鹿児島県奄美大島近海 最大震度 4 ( M5.5 )
3 月 17 日 6 時 17 分ごろ 福島県沖 最大震度 4 ( M5.4 )
3 月 23 日 8 時 31 分ごろ 岐阜県美濃中西部 最大震度 4 ( M4.7 )
4 月 3 日 8 時 58 分ごろ 台湾付近 最大震度 4 ( M7.5 )
4 月 4 日 12 時 16 分ごろ 福島県沖 最大震度 4 ( M6.0 )

如何だろうか、北海道~東北~関東~東海~関西~四国~九州~九州南部~台湾と満遍なく地震が発生しているのが分かる。

こんなに地震が発生しているとなると、やはり気になるのが南海トラフ地震ではないだろうか?

今更だが、南海トラフ地震の発生確率はご存じだろうか?

2018 年(平成 30 年) 1 月 1 日時点
➡ 30 年以内の発生確率 70 ~ 80%

2024 年(令和 6 年) 1 月 1 日時点
➡ 10 年以内の発生確率 30% 程度
➡ 30 年以内の発生確率 70 ~ 80% 程度
➡ 40 年以内の発生確率 90% 程度

こういう風に示されと、かなり危機意識が上がるのではないだろうか?

ところがこの数字にカラクリがあったとしたらどうだろう?

私もワザとミスリードするようにこの数字を使ってきたのだが、実は、カラクリを知ってしまうとちょっと様相が変わってくるのである。

昨年発刊された『南海トラフ地震の真実』という著書は話題になったので、知っている人もいるかもしれない。

南海トラフ地震の真実

この著書は、中日新聞(東京新聞)の記者である小沢慧一氏が、新聞連載していた特集記事で、「科学ジャーナリスト賞」受賞をしたものを書籍化されたものである。

著によると、南海トラフ地震だけが、他の地震発生予測とは違うモデルが採用されているということだ。

一般的には、地震発生を予測する計算方法には、「単純平均モデル」と呼ばれるものが採用されている。

過去に起きた地震発生間隔の平均から確率を割り出すというものだ。

しかし、一方、南海トラフ地震だけは「時間予測モデル」という計算方法で、過去の地震の時期の間隔を推定し次を予測すると言うモデルが採用されているらしい。

このなかで一番問題になっているのは、高知県室津港の地震の際の中企庁と地震発生間隔との関係である。

時間予測モデル(高知室津港)

これは、断層のずれの量の代わりに高知県の室津港の港内の海底の隆起量を用いているものである。

室津港では、宝永地震( 1707 年)、安政南海地震( 1854 年)、昭和南海地震( 1946 年)の 3 回の地震での海底が隆起したことが判明しているとされたものである。

宝永地震( 1707 年)では、海底が 1.8m 隆起。

安政南海地震( 1854 年)では、海底が 1.2m 隆起。

つまり、地震の規模が大きくて海底の隆起が大きければ、ひずみが解消され、次の地震発生は長くなり、地震の規模が小さくて海底の隆起が小さければ、次の地震の間隔が狭まるということらしい。

これによると、南海トラフ地震は 2034 年前後が一番発生確率が高くなると言う計算らしい。

時間予測モデルを使うと、次の地震までの間隔は 88.2 年となり、これまでの 3 つの地震の平均発生間隔( 119.5 年)よりかなり短くなっていることが分かる。

さて、真相は如何に・・・。

次回へ・・・。