「真実の口」2,129 能登半島地震 ⑫

前回の続き・・・。

元日に起きた M7.6 の能登半島地震は、 M7.3 相当の二つの地震が震源域近くでわずか 13 秒差で発生した可能性があるということ京都大学防災研究所の解析でが分かった。

京都大防災研究所の解析

1 回の地震と比べ、地震のエネルギーは約 2 倍に増大したと推計されている。

最初の揺れが収まる前に 2 回目の地震が起き、 1 分程度の激しい揺れとなって甚大な被害につながったとみられている。

今回の地震について、政府の地震調査委員会は 15 日、「複数の断層帯が連動した可能性が高い」との見解を公表していた。

長年能登半島の地震活動を研究している金沢大学・平松良浩教授(理工研究域地球社会基盤学系教授 専門・地震学)が以下のように解説している。

各地の震度

平松良浩教授:

20240101

地震とは地下の断層が急激にずれることにより起こります。

16 時 10 分 9 秒に「 M7.3 相当の地震」が発生し、南西側の断層が次々とずれました。

特にこの断層の浅いところで大きなズレが発生し、大きな地殻変動、すなわち輪島市西部の最大 4m に及ぶ「大きな海岸隆起」が生じました。

さらに最初の地震から13秒後、午後4時10分22秒に最初の震源とほぼ同じ場所で「M7.3」相当の地震が発生。

こちらは北東側の断層を次々に破壊していきまして、断層の浅い部分で大きなずれが発生しました。

これが海底での地殻変動を引き起こし、大きな被害をもたらした「津波の発生源」となりました。

結果的に全体を通して M7.6 という巨大な地震活動になったと考えられます。

面的推定震度分布・防災科学技術研究所

上図は、防災科学技術研究所が公表している「面的推定震度分布」ですが、茶色の部分は「震度7」だったと推定される場所ですが、ご覧のように志賀町と輪島市だけではなく、珠洲市、穴水町、七尾市、能登島などでも震度 7 の揺れだったと推定される場所があります。

このようなことからも、今回の地震は『奥能登の多くの地域で震度 7 を記録する』ような、まさに未曽有の大地震だったと言えると思います。

震度 7 の揺れを観測した地震は以下のようになっている。

1995 年・・・兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)
2004 年・・・新潟県中越地震
2011 年・・・東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)
2016 年・・・熊本地震
2018 年・・・北海道胆振東部地震がありますが、2度も震度7を記録したのは熊本地震だけです。

この中で震度 7 を 2度記録したのは熊本地震だけである。

熊本地震は・・・。

2016 年 4 月 14 日 21 時 26 分、熊本県の日奈久断層帯の北端で、深さ 11km を震源とするマグニチュード M6.5 の地震が発生し、益城町で震度 7 を観測。

さらに、約 28 時間後の 4 月 16 日 1 時 25 分に、日奈久断層帯の北東に隣接する布田川断層帯で、深さ 12 km を震源とする M7.3 の地震が発生し、西原村と益城町で震度 7 を観測。

熊本地震

また、 2 つの地震の間には、 4 月 15 日 0 時 3 分に、最初の震源の南西側で M6.4 の地震が起き、震度 6 強の揺れを観測。

15 日と 16 日の地震では、初めて長周期地震動階級 4 を記録しており、色々初めてのことが多い地震だった。

熊本地震の後、日奈久断層帯や布田川断層帯に加え、阿蘇地方や大分県中部の別府-万年山断層帯でも数多くの地震が発生した。

日奈久断層帯、布田川断層帯、別府-万年山断層帯という隣接した断層帯が連動して、活発な地震活動が続き、 8 月までの 5 ケ月間に、最大震度が 7 の地震が 2 回、 6 強が 2 回、 6 弱が 3 回、 5 強が 5 回、 5 弱 12 回もあった。

また、震源の近くにある阿蘇山では、本震が起きた 4 月 16 日に小規模な噴火があり、さらに 10 月 8 日に 36 年ぶりの爆発的噴火があった。

一つの地震において 2 度の震度 7 の地震を誘発し、火山噴火まで引き起こしたという災害に災害を重ねた地震だった。

熊本地震では、 28 時間の間隔があっての 2 度の震度 7 だったが、能登半島地震においては 、わずか 13 秒差で発生したのだから、そのエネルギーの強大さは想像に難くない。