前回の続き・・・。
11 月 29 日(金)。
朝 6 時に一斉に照明が点く。
しばらくすると、看護師さんがやってくる。
コンコンコン♪
看:「おはようございま~す。」
私:「おはようございます。」
いつものように、体温、酸素濃度、血圧という順番で検診を終える。
看:「特に変わりはないですね~。」
私:「はい。」
看:「今日からお食事が始まりますけど、慣れない間は、注意して召し上がってくださいね~。」
私:「はい。」
看:「お薬も出ていますので、食後に服用して下さい。」
私:「はい。」
看護師さんが部屋を出た後、メールチエックをして、問い合わせの回答等をこなし、簡単な朝の仕事を終える。
8 時少し前・・・。
コンコンコン♪
配:「おはようございます。ササダキョウイチさん。お食事をお持ちしました。」
私:「おはようございます。」
配:「お名前を確認します。」
私:「はい。」
術後食事開始一回目がこれ☟
≪メニュー≫ 軟菜食(刻み)
七分粥 220g
ハンペンと野菜の煮物 三分
南京のサラダ 三分
巻き麩と三つ葉の清汁 三分
たいみそ
牛乳 200ml
≪栄養成分の表示≫
熱量: 396kcal
たんぱく質: 12.5g
脂質: 11.2g
炭水化物: 58.7g
塩分: 2.6g
二日ぶりの食事である。
お粥の厚さを舌が認知できにくいようだ。
そんなに熱いものが運ばれているわけではないが、舌の中央部と周辺部で熱さの感じ方が違う。
三分仕上げの副菜もカボチャがやや飲み込みにくい。
お粥に使うであろう“たいみそ”が意外にも美味しい・・・(笑)。
ただ、三分に刻まれた副菜たちが、歯茎と唇の内側に残り、すごく不快感を覚える。
舌をうまく使いこなせないので、簡単には食物残渣が取れない・・・。
食後の薬を飲む・・・。
声:「ん・・・?あれ・・・??どこ行った・・・???」
今度は、薬が舌の下に入り込んだのが分かる。
舌をうまく使えないので、薬を見つけ出すことが出来ない。
仕方なく、指を舌下に入れて、薬をかき出す。
歯磨きをしてうがい薬でうがいをする。
うがい薬のくだりをすっかり忘れていたが、看護師さんに教えてもらったうがい薬の作り方。
500ml のペットボトルに 5 袋を溶き、1 日 5 回に分けてうがいをすると良いらしい。
歯磨きでは、想像以上に食物残渣が掻き出された。
更に、うがいをした後に吐き出した水の中には大量の食物残渣が洗面台に・・・。
声:「こりや、口の中が気持ち悪いわ・・・。」
食べ終わったトレーを下膳車へと運ぶ。
食事も終わり、しばらくすると「エーデル・ワイス」が病棟に鳴り響いた。
昨日も鳴っていたのだが、どうやら 9 時に鳴るようだ・・・。
声:「なんで、エーデル・ワイスなんやろ?」
映画「サウンド・オブ・ミュージック」の主題歌として日本でも知っている人が多いと思う。
メロディが流れれば、多くの人が、「エーデル・ワイス ♪ エーデル・ワイス ♪ 」と口ずさめるくらい馴染みのある曲ではある。
調べてみた・・・□_ヾ(・_・ )カタカタ
この、「エーデル・ワイス」だが、作詞家の遺言らしい。
「エーデル・ワイス」( Edelweiss ) とは、ドイツ語で Edel =「気高い」「高貴な」「品位ある」、Weiss =「白」という意味で「エーデル・ワイス」は「気高く白い花」という意味で、礼節をわきまえながら「けがれのない潔さ」を備えている花に託して、そうした精神をもって祖国を担ってゆく人であれということを歌っているらしい。
「サウンド・オブ・ミュージック」の時代背景は、ナチスドイツが、オーストリアを併合した 1938 年、即ち第二次世界大戦前夜のザルツブルグである。
ナチスに反抗する愛国者トラップ大佐が、スイスへ亡命する前の音楽コンクールで、ギターを奏でながら一人静かに歌い始めたのが「エーデル・ワイス」である。
ナチスの侵攻により存亡の危機に瀕した祖国オーストリアへの想いが高まるあまり、途中から声をつまらせて歌えなくなってしまう。
それを助けるようにして妻マリアと 7 人の子供たちが大佐のもとへ歩み寄り歌に加わる。
その時、トラップ大佐が観衆に向かって手を振り上げ、共に歌うようにと誘いかける。
「エーデル・ワイス」は大合唱へと変わる。
その力強い歌声が会場中に響き渡り、観衆の心をひとつにしていく。
・・・こんなストーリーである。
そして、奇しくも、作詞したオスカー・ハマースタイン 2 世は、この頃、胃がんで闘病中だった。
「エーデル・ワイス」の花言葉は、“奥ゆかしい美しさ”、“高貴”、“崇高”、“勇気”、“忍耐”、“初恋の感動”、“大切な思い出”などである。
まあ、色んな意味が込められての「エーデル・ワイス」なんかなと一人解釈。
お昼少し前・・・。
コンコンコン♪
看:「ササダさん。」
私:「はい。」
看:「食事は摂れましたか?」
私:「はい。一応、完食しました。」
看:「え~っ。凄い。」
私:「・・・。」
看:「しばらくは軟菜食ですが、食べられなかったりしたら言ってくださいね~。点滴が出ていますので、腕をお願いします。」
私:「はい。・・・因みになんですけど、エーデル・ワイスが掛かるのって意味あるんですか?」
看:「えっ?何ででしょうね~?(笑)。」
私:「(笑)。」
若い彼女は知らないらしい・・・。
次回へ・・・。