前回の続き・・・。
前回、遺伝子について、少し解説させて頂いた。
前回の解説通り、「がん遺伝子」と「がん抑制遺伝子」というものは、遺伝的に、誰でも体内に組み込まれている。
つまり、誰もががんに成りうると言うことである。
絶対、がんにならないという人間は存在しないと言うことである。
では、がんは遺伝するのか???
前回解説したように、がんは遺伝子の変質が重なり、初めてがん化する。
それは、遺伝子固有の問題なので、その遺伝子異常が遺伝することはあり得ない。
しかし、例えば、家族の誰もが喫煙して、小さな頃から受動喫煙の環境下に置かれ、自身も喫煙をするのであれば、全く、喫煙と無縁の人間に比べれば、がんになりやすさは比較しなくても判ることと思う。
あるいは、食生活に置いて、家族誰もが野菜嫌いで、自身も野菜を食べないという生活を送れば、がんだけではなく、何らかの似たような病気になっていくということは、自ずと判るだろう・・・。
つまり、がんは遺伝しないが、生活環境に置いて、その傾向を引き継ぐ可能性は十分にあるということだろう。
では、アンジェリーナ・ジョリーの選択は、どうだったのだろう???
・・・と、その回答をする前に、私の恐れていた事態が起こり始めているようだ。
私は、今週、月曜から水曜にかけて、福岡~熊本~鹿児島とレンタカーで、九州を縦断していた。
いつもであれば、CDを持って行って、それを聴きながら運転するのだが、今回は失念して、持って行くのを忘れていた。
仕方がないので、NHKのラジオを流していたのだが、「健康な人が、乳がんを防ぐために、乳房を事前に切除する手術が国内でも始まる。」ということを伝えているではないか・・・。
http://apital.asahi.com/article/news/2013052000002.html
がん研有明病院と聖路加国際病院の都内にある2つの施設である。
アンジェリーナ・ジョリーに賛同の声が多いのを見越して、この機に便乗して、日本でも遺伝子検査を定着させて、新たな収入源の確保を謀ろうとでもしているのだろう・・・。
しかも、どちらの病院課かは不明だが、記者会見らしきものの答弁の中で、「現在は、それが有効かは不明であり、生存率も調査しなればいけない。」とのたまわっていた・・・オイオイ・・ (;´д`)ノ
患者の命を、人体実験するかのごとく、平然と・・・ヽ(*`Д´)ノ
次のニュースリンクを読んで欲しい。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130517-00010000-takaraj-hlth
皆の頭の中にも、“乳がん=乳房全摘出”というイメージはないだろうか?
この乳房からその裏側の筋肉までを切除する手術は、19世紀末に「世界最高の外科医」と評されたウィリアム・ハルステッドが考案し、その名前を取り、ハルステッド手術と言われている。
更に、間の悪いことに、ハルステッドが余りにも著名な医者だったため、どれだけ延命するかという科学的根拠が確かめられないままに、一般化してしまったのである。
しかし、1970年代に入り、欧米でハルステッド手術の科学的な検証がなされ、「ハルステッド手術は意味がなく、体にも有害である」ということが立証される。
このため、胸の筋肉を残して乳房だけを切除する「胸筋保存乳切術」や、より小さな範囲での切除ですまして、なるべく乳房を残したまま放射線を照射する「乳房温存療法」へと移行するようになり、結果、1980年代のアメリカではこのハルステッド手術は姿を消すことになる。
一方、我が国では、欧米から姿を消したハルステッド手術が当たり前という時代が続いていく。
それも、上記のニュースソースのように、切らなくても良い手術が大多数を占めていたのではないだろうか???
日本では、2000年代に入り、ようやく50%を越え、近年では、70~80%を占めるようになってきた。
ただ、このハルステッド手術が残した悪しき思考回路が、未だに、我が国を席巻しているのである。
がん病巣部とその周辺リンパ節を切除すれば、がんに有効であるという思考である。
我が国では、がん摘出手術を、全てのがんに適応させてしまったのである。
欧米では、決して、臓器の摘出手術は主流ではない。
放射線治療やその他療法を組み合わせた上で、総合的な治療法を考えている。
日本みたいに、「じゃあ、切りましょう!」と軽いノリは通用しないのである。
皆も、「じゃあ、切りましょう!」と言われたら、治りたい一心で、同意しない方が身のためである。
次回へ・・・。