「真実の口」2,067 ‟がん”という病 ⑭~‟がん”治療編(その2)~

前回の続き・・・。

《治療にあたって》

治療を始めるにあたって、これまでの生活を変化させる必要があるかもしれない。

これからどのように治療に向き合っていったらいいのか?

家のこと、仕事のことなど、悩みはつきないことだろう。

気持ちが落ち込んでしまうのは無理はない。

但し、思い詰めてしまっては心身ともによくない。

ひとりで抱え込まず、周りの人の力も借りながら、‟がん”と向き合い、現実的かつ具体的に考えて行動していく心づもりが必要である。

大切なのは・・・。

「信頼できる情報を集めること」
「自身の病気に対する心構えを決めること」

以下は、‟がん”の疑いを持った後の「受診」から「経過観察」までのチャートである。

【‟がん”の診療の流れ】

〈‟がん”の疑い〉

▶ 「体調がおかしいな?」と思ったまま、放って置かず、なるべく早く受診しよう。

〈受診〉

▶ 受診のきっかけや、気になっていること、症状など、何でも担当医に伝える。
▶ メモをしておくと整理できる。
▶ いくつかの検査の予定や次の診察日が決まる。

〈検査・診断〉

▶ 担当医から検査結果や診断について説明がある。
▶ 検査や診断についてよく理解しておくことは、治療法を選択する際に大切である。
▶ 理解できないことは、繰り返し質問しよう。
▶ 検査が続くことや結果が出るまで時間がかかることもある。

〈治療法の選択〉

▶ ‟がん”や体の状態に合わせて、担当医から治療方針が説明される。
▶ ひとりで悩まずに、担当医と家族、周りの方と話し合い、あなたの希望に合った方法を見つけまよう。

〈治療〉

▶ 治療が始まったら、気が付いたことは担当医や看護師、薬剤師に話そう。
▶ 困ったことやつらいこと、小さなことでも、ひとつずつ、解決方法を見つけていけば不安は小さくなる。

〈経過観察〉

▶ 治療後の体調の変化や‟がん”の再発がないかなどを確認するために、しばらくの間、通院しなければいけない。
▶ 検査を伴うこともある。

《検査の種類》

1.画像検査

▶画像検査は、画像によって病気の有無や広がり、性質を調べる検査である。
▶画像検査には、 X 線検査(レントゲン検査)、 CT 検査、 MRI (磁気共鳴画像)検査、 PET 検査、超音波(エコー)検査などの検査がある。

【 X 線検査(レントゲン検査)】

ⅰ.検査の目的

▶ X 線検査はレントゲン検査ともいい、‟がん”の有無や形を確認するために行う検査で、多くの場合、肺や骨などの状態を調べるために最初に行う。

ⅱ.検査の方法

▶ X 線検査は、 X 線を使って行い、骨や水分、脂肪などの体の組織によって X 線の通りやすさが異なることを利用し、画像として映し出す。
▶ X 線を一方向から体にあてると、体を通過した X 線の差が濃淡の影としてモノクロ画像に現れる。
▶ 胃や大腸などの消化管や、尿管や膀胱などの尿路系を調べる場合には、病変をより分かりやすくするために造影剤を使用することもある。

ⅲ.検査の実際

X線検査(レントゲン検査)

▶ X 線検査では、金属やボタンなどが付いた衣類を着ていると、撮影する画像に映り込むため、検査着に着替える。
▶ 撮影部位によっては、体の位置を変えたり、息を止めたりすることが必要になる。
▶ 検査全体にかかる時間は 5 分程度である。
▶ 造影剤を使用する場合には、胃ではバリウムを飲み込み、大腸では肛門からバリウムを注入し、尿管や膀胱では造影剤を静脈から注射したり、尿道から注入したりする。

ⅳ.検査の特徴

▶ X 線検査にかかる時間は短く、撮影した部位は画像で比較的すぐに確認することができるため、一般的に広く行われている検査である。
▶ しかし、 X 線検査では体の中を一方向から画像にしているため、臓器が重なることによって、 CT 検査や MRI 検査に比べて詳しい診断ができない場合がある。

ⅴ.検査を行う主な‟がん”

▶ X 線検査には造影剤を使用しない方法と、造影剤を使用する方法がある。
▶ 造影剤を使わない場合では、肺がんや乳がん、骨のがんなどで検査することがある。
▶ 造影剤を使う場合では、食道がん、胃がん、大腸がんなどの消化管のがん、尿管や膀胱などの尿路系のがんで検査することがある。

ⅵ. Q & A

Q.1 : X 線検査での被ばく量は?
A.1 : 1 回の胸部 X 線検査で受ける放射線量は 0.06mSv(※注) 程度である。

(※注) Svとは、放射線が人間にあたったときにどれだけ健康に影響があるかを評価するために使う単位のこと。通常、人の健康に影響することが確認されている放射線量は 100mSv 以上である。

放射線による被ばくが心配になるかもしれないが、日常生活の中でも身の回りに存在する放射線を受けている。

例えば、東京からニューヨークまで飛行機を利用すると、 0.11 ~ 0.16mSv の放射線を受けている。

また、日本においては、 1 年間の日常生活の中で受ける放射線の線量は平均 2.1mSv といわれている。

不要な検査を繰り返すことはよくないが、医師が必要と判断した場合には検査を行い、‟がん”の発見や治療の効果を確認することが大切である。

ただし、妊娠している人、妊娠している可能性のある人は、胎児が放射線の影響を受けやすいため、必ず医師に伝えて相談した方が良い。

Q.2: X 線検査と CT 検査の違いは?
A.2 : どちらも X 線を使うが、 X 線検査は一方向から X 線をあて、体の中を 2 次元的に画像にしたもので、それに対して CT 検査は、体の周りから X 線をあて、 3 次元的に画像にするため、‟がん”の形や広がりがより詳しく分かる。

次回へ・・・。