「真実の口」2,154 来るべき大地震に備えて ⑯

前回の続き・・・。

【 行政の対応シナリオ】 

《地震発生直後》

◎ 防災体制:
・ 政府緊急参集チーム参集、緊急災害対策本部の設置
・ 被災した都府県庁等にリエゾンを派遣
・ 緊急災害現地対策本部の設置

◎ 情報収集・伝達及び広報:
・ J-ALERT で津波警報発信
・ DIS による被害推計結果を伝達
・ 国内外への情報発信
・ マスコミ等に国民への適切な情報提供を要請
・ 情報通信手段の確保支援(国所有の通信機器の貸与、事業者への確保要請)

◎ 捜索・救助:
・ 緊急消防援助隊、広域緊急援助隊(警察)、自衛隊・海上保安庁の部隊の派遣
・ 捜索救助のため各機関ヘリコプター等の派遣

◎ 救急・医療活動:
・ DMAT 派遣要請

◎ 交通・土木インフラ等の被害状況の把握、復旧対応:
・ 道路・橋梁・空港・港湾の被害状況把握
・ 道路啓開(応急復旧作業の開始)

◎ ライフライン対応:
・ ライフライン被害状況を把握

◎ 物資・燃料等の輸送、供給対策 :
・ 業界団体等に物資・燃料等の調達・輸送手段の確保依頼

◎ 海外からの支援申し入れの受け入れ:
・ 救助部隊の受け入れ調整
・ 支援物資の受け入れ調整
・ 義援金の受け入れ調整

《 1 日後の対応》

◎ 広域派遣:
・ 応援要員の広域派遣(国、都道府県)
・ ヘリコプター等による広域医療搬送
・ 被災地への医師・保健師等の派遣
・ TEC-FORCE 派遣(土砂崩れや落橋、防潮堤の破損の把握等)

◎ 物資等の調達 :
・ 建設業協会、土木工業会等と復旧工事に係る人員や資機材等を調整
・ 医薬品や発電所の燃料等の調達
・ 広域の停電に対応するため、病院、ライフライン機関等への燃料の供給

◎ 避難所生活、特別な配慮が必要な人等への対策:
・ 食料、生活物資を輸送
・ 配慮が必要な避難者のホテル・旅館等での受け入れ協力の要請
・ 税減免措置、金融機関への被災者の負債返済猶予等について要請

《 3 日後の対応 》

・ 応急危険度判定士の派遣(都道府県)
・ 被災者向けの情報発信手段としての臨時災害放送局(災害 FM )の設置申請を許可
・ 業界団体等に仮設住宅の大量供給を要請
・ 児童福祉関係職員を派遣する等の対応について調整
・ 女性や子育てに関するニーズへの配慮を県等に依頼
・ 被災地外に対し、被災市町村の災害廃棄物の処理の協力要請

《 1 週間後の対応 》

・ 被害認定調査、罹災証明の発行、復旧活動の本格化
・ 広域避難の受け入れ先における費用の取り扱い等について周知
・ みなし仮設の適用
・ 被災者向けの賃貸住宅等の情報提供
・ 避難生活時の医療・健康上の留意点を周知
・ 避難所の生活環境調査
・ 廃棄物処理のガイドライン等の発信、自動車や船舶の処理方法の情報提供等

《 1 ヶ月後の対応 》

・ 復興計画の策定等のノウハウを持つ職員の派遣調整・復興計画の検討
・ 災害関連死の認定基準等に係る助言
・ 広域応援に基づく災害廃棄物処理等の調整

私たちは、近年、阪神淡路大震災、平成 16 年新潟県中越地震、平成 19 年新潟県中越沖地震、平成 20 年岩手・宮城内陸地震、東日本大震災、平成 28 年熊本地震、大阪府北部地震、平成 30 年 北海道胆振東部地震、令和 6 年能登半島地震と大地震を経験してきた。

その度に、自衛隊は元より、消防隊、警察等々の方たちの無償の働きに助けられてきた。

また、国及び行政の支援の仕方も経験値を重ね、変化してきている。

東日本大震災の教訓を踏まえ、翌 24 年 6 月に改正された災害対策基本法に盛り込まれたプッシュ型支援は、平成 28 年熊本地震で初めて本格実施され大きな効果を発揮した。

そして、発災から数日が経ち、被災地ごとに不足している物などの要求やニーズがわかるようになると、被災者が求めている支援物資を必要数届けることが可能になり、それに対応してプル型支援へと移行していくようになってきた。

ただし、今回の令和 6 年能登半島地震では、主要道路が寸断され、プッシュ型支援を阻まれた格好になった。

基本、プッシュ型支援では、被災都道府県からの要請を待たずに、関係省庁による支援体制の構築と支援物資の調達が開始され、広域物資輸送拠点の整備が整い次第、輸送が開始される。

この過程で、国は民間企業に物資の調達依頼をする。

また、民間企業は広域物資輸送拠点への輸送手段の確保および輸送を担うことを要請されることになる。

輸送手段が確保できない場合は、物資関係省庁の要請を受けて国の緊急対策本部が輸送手段を調整するが、原則として企業側が確保する必要がある。

被災した都道府県にプッシュ型支援で供給する品目は、食料(調理不要食品が中心)、毛布、乳児用粉ミルクまたは乳児用液体ミルク、乳児・小児用おむつ、大人用おむつ、携帯トイレ・簡易トイレ、トイレットペーパー、生理用品の 8 品目を基本としている。

更に、これらの品目を取り扱う企業では、災害発生時の備えとして、国や自治体から突然の要請が入ることも想定し、有事の際の物資輸送方法について一度確認しておくことが求められている。

しかし、南海トラフ地震のように日本の主要な都市がダメージを受ける巨大地震の場合はこれらの筋書きが当てはまるのだろうか?

一般的には、災害を想定した備蓄食料は、最低 3 日分、できれば 1 週間分の用意が望ましいとされている。

農林水産省による大人 2 人の 1 週間分の備蓄食料の例は以下のとおりになっている。

水: 2 ㍑ × 6 本 × 4 箱
米: 4kg
乾麺(うどん、そば、パスタなど): 4 袋
レトルト食品(カレー、牛丼、パスタソースなど): 24 個
缶詰: 18 缶
日持ちする野菜(玉ねぎ、じゃがいもなど)
梅干し、のり、わかめなど
調味料(醤油、砂糖、塩など)
インスタント味噌汁等々

あなたの家では準備されているだろうか?

次回へ・・・。