「真実の口」2,153 来るべき大地震に備えて ⑮

前回の続き・・・。

【 生活への影響~帰宅困難者~ 】 

《地震発生直後》

◎膨大な数の滞留者の発生 :
平日の 12 時に地震が発生し、公共交通機関が広域的に停止した場合、一時的に外出先に滞留する人(自宅のあるゾーン外への外出者)は、中京都市圏で約 400 万人京阪神都市圏で約 660 万人に上る。
・ 夜間は滅灯により真っ暗な状況となり、信号が作動せず特に交差点等で人と車両の大混雑が発生する。
・ 車道を歩いて帰る人も多く、車道は自動車で大渋滞する。
・ むやみに移動を開始すると、路上では大混雑が発生し集団転倒などの危険性が高まる。

◎ 徒歩帰宅の困難:
・ 路上は建物損壊・落下物発生・延焼火災・道路被害等により危険な状況となる。
・ 断水等のためトイレが使えなくなるなどの事態が発生する。
・ 施設被害・ライフライン被害により、災害時帰宅支援ステーションとして機能する施設が限定され、休憩場所・トイレが不足する。

◎ 災害応急対策への支障:
・ 緊急輸送道路等にも徒歩帰宅者があふれ、救命・救急活動、消火活動、緊急輸送活動等に支障が生じる。

◎ 通信途絶等による安否確認困難等 :
・ 携帯電話の基地局の被災や基地局のバッテリー切れ等により通信できない状況となり、携帯電話のメールなども機能しづらくなる。
・ 災害用伝言ダイヤル 171 は容量に限界があるため、不必要な登録件数が増加すると、機能しなくなる。
・ 安否確認ができずに家族や自宅等の状況が心配で帰宅を急ぐ人が多く発生する。

◎ 一時滞在施設の不足:
・ 地震後の混乱が落ち着くまでの一定期間は、一時滞在施設等での待機が求められるが、耐震性の低い建物、家具類の転倒・落下防止対策が施されていない施設では、被害の発生、頻発する余震の不安等で安全なスペースが確保できない。
・ 停電時にはテレビ・インターネット・電話等の情報通信設備が使えず情報が寸断されるとともに、冷暖房が停止し、滞在することが困難となる。
・ 断水時には、水の備蓄のないところでは飲料水が確保できず、トイレも利用できない状況になる。

《概ね 1 日後~数日後》

◎ 膨大な数の帰宅困難者の発生 :
・ 地震後しばらくして混乱等が収まり、帰宅が可能となる状況になった場合において、遠距離等の理由により徒歩等の手段によっても当日中に帰宅が困難となる人(帰宅困難者)は、中京都市圏で約 100 万人~約 110 万人、京阪神都市圏で約 220 万人~約 270 万人に上る。

◎ 一時滞在の困難 :
・ 停電が復旧せず、情報の寸断や冷暖房の停止が継続する。
・ 断水が復旧せず、飲料水の確保やトイレ利用の困難が継続する。
・ 避難所において、避難者と帰宅困難者の区別がつけられず混乱が継続する。

《さらに厳しい被害様相》

● 被害拡大をもたらすその他の事象の発生 ・ 道路・鉄道の復旧が遅れ、停電・燃料不足が数日間以上に及び、帰宅困難者等が自宅に戻る交通手段を確保できずに一時滞在施設等にとどまる場合、避難者と併せて水や食料の支援が必要な対象者数が膨大な数に上る。
● 二次的な波及の拡大 ・ 一時滞在施設の生活環境の悪化により、帰宅困難者等の健康状態が悪化する。

【 生活への影響~物資~ 】 

① 飲料水・食料等

《地震発生直後》

◎ 膨大な物資の調達困難(被災地内外における):
・ 食料は必要量が膨大であり、都府県・市町村の公的備蓄物資や家庭内備蓄による対応では大幅に不足する
地震発生後の 3 日間の合計で約 1,400 万食~約 3,200 万食分の食料不足
・ また、こうした膨大な数の避難者等が発生する中で、被災地内への物資の供給が不足するとともに、被災地内外での買い占めが発生する。
・ 飲料水についても、都府県・市町村による災害用給水タンク等からの応急給水や備蓄飲料水、家庭内備蓄による対応では大幅に不足する。
地震発生後の 3 日間の合計で約 1,400 万リットル~約 4,800 万リットル分の飲料水不足
・ 生活必需品の毛布も、都府県・市町村の公的備蓄物資による対応では大幅に不足する。
約 230 万枚~約 520 万枚分の毛布不足
・ 災害により住居を失わないものの、生活必需品等の不足が生じるいわゆる在宅避難者が多数発生する。

《概ね 1 日後~数日後 》

◎ 膨大な物資の調達困難(被災地内外における):
・ 食料や飲料水が大幅に不足する。
地震発生後の 4 ~ 7 日目の合計で約 2,700 万食~ 約6,400 万食分の食料不足及び約 3,200 万㍑~約 9,900 万㍑分の飲料水不足

◎ 全国的な買占め等による物資の枯渇 :
・ 物資不足の報道が連日なされることで、被災地に支援するための購入や、自らの必要量以上の買占め等が全国的に発生する。

◎ 道路の寸断や渋滞等による物資の配送困難:
・ 被災地外から大量の支援物資が被災地に流入するため、道路渋滞が発生し、物資の確保及び配送が遅延する。
・ 道路の寸断により、輸送ルートが確保できず、被災地外からの商品供給や被災地内で店舗への配送が困難となる。

◎ 支援物資の管理上の混乱 :
・ 膨大な量の支援物資等が流入し、保管スペースが不足する。
・ 多様な支援物資が送られ、どこに何がどのくらいあるのか、適切な管理ができず効率的な作業ができない。

◎ 食料等の販売停止:
・ 被災を免れた被災地内外の大型小売店等では営業を継続し、食料等の物資の販売・供給を実施するものの、小型小売店等では被災し開店できずに食料等の販売ができなくなる。
・ 小売店等の物流センター等の被災により、店舗への商品供給が停止する。
・ 通信網の寸断や情報システムの損壊により、商品の受発注が困難になる。

《概ね 1 週間後 》

◎ 物資の生産・供給困難 :
・ 飲食料品の製造工場のみならず農産物の生産地や包装材等の工場が被災し、食料等の生産・供給が困難となる。
・ また、小売店等に供給できる商品量が減少する。

◎ 燃料不足による物資の調達・配送困難:
・ 道路・港湾等の交通インフラが復旧しても、物資を運ぶトラックの燃料が不足し、物資の調達・配送が困難となる。

《さらに厳しい被害様相》

● 人的・物的資源の不足
・ 道路・鉄道の復旧が遅れ、停電・燃料不足が数日間以上に及び、支援物資及び食料等の商品の輸送が十分に行えない状態が長期化すると、被災地で飲料水・食料や医薬品等の不足により著しく体調を崩す人が多数に上る。
・ 農産物の生産地や加工・包装等の工場等の被災、道路・鉄道の復旧遅れや停電・燃料不足による農産物・加工品等の輸送・供給の数日間以上の停止により、被災地以外でも物資不足が深刻になる。

今回は特に重要だと思われるポイントのみをピックアップしてみて。

その他にも、燃料、医療機能、保健衛生、防疫、遺体処理、災害廃棄物等々、問題が山積みになることは、今までの災害経験で理解を出来ていると思うが、南海トラフのような超巨大地震の場合は、その想定を数倍超えた問題が出て着ることを想像しておいた方が良いだろう。

次回へ・・・。