「真実の口」2,147 来るべき大地震に備えて ⑨

前回の続き・・・。

内閣府は、南海トラフ地震が発生した際の津波の影響を検討している。

「南海トラフの巨大地震モデル検討会(2012)」において、津波断層モデル(津波用: M9.1 )として、「基本的な検討ケース」計 5 ケース(ケース ① ~ ⑤ まで:大すべり域 + 超大すべり域が各 1 ヶ所のパターン)と「その他派生的な検討ケース」計 6 ケース(ケース ⑥ ~ ⑪ まで:大すべり域 + 超大すべり域 + 分岐断層のパターン 2 ケース、大すべり域 + 超大すべり域が各 2 ヶ所のパターンが 4 ケース)の計 11 ケースの種類が検討されている。

南海トラフの巨大地震の津波断層モデルのすべり量の設定

これらの中で、東京都では、東京湾沿岸や島しょ部の各町村において、最大津波高が高い 5 ケース(ケース ① 、 ② 、 ⑤ 、 ⑥ および ⑧ )を警戒している。

南海トラフ巨大地震(M9.1)の津波断層モデル

【基本的な検討ケース】

● 大すべり域 + 超大すべり域が各 1 ヶ所の計 5 ケースのうちの 3 ケース

▶ 駿河湾~紀伊半島沖に「大すべり域 + 超大すべり域」を設定:被害想定 ➡ 区部、三宅島
駿河湾~紀伊半島沖に「大すべり域+超大すべり域」を設定

▶ 紀伊半島沖に「大すべり域 + 超大すべり域」を設定被害想定 ➡ 区部
紀伊半島沖に「大すべり域+超大すべり域」を設定

▶ 四国沖~九州沖に「大すべり域 + 超大すべり域」被害想定➡区部、三宅島
四国沖~九州沖に「大すべり域+超大すべり域」を設定

【その他派生的な検討ケース】

● 大すべり域 + 超大すべり域 + 分岐断層も考えるパターン

▶ 駿河湾~紀伊半島沖に「大すべり域 + (超大すべり域、分岐断層)」を設定:被害想定 ➡ 三宅島、八丈島、青ヶ島
駿河湾~紀伊半島沖に「大すべり域+(超大すべり域、分岐断層)」を設定

● 大すべり域 + 超大すべり域 2 ヶ所のパターン

▶ 駿河湾~紀伊半島沖に「大すべり域 + 超大すべり域 が 2 ヶ所のパターン」を設定:被害想定 ➡ 第島~神津島、御蔵島
 駿河湾~紀伊半島沖に「大すべり域 + (超大すべり域 2ヶ所のパターン」を設定:被害想定

下記表は、上記 5 ケースではなく、全 11 ケースの最大津波高を表にまとめたのが以下である。

都府県別ケース別 最大津波高(満潮位・地殻変動考慮)
拡大図☜クリック

これを見てみると、想定津波高は他府県では、凄まじいものになっている。

●[基本的な検討ケース](計 5 ケース)

▶ ケース ① 「駿河湾~紀伊半島沖」に「大すべり域+超大すべり」域を設定

東京都島しょ部、静岡県: 31m

▶ ケース ② 「紀伊半島沖」に「大すべり域+超大すべり域」を設定

三重県: 23m

▶ ケース ③ 「紀伊半島沖~四国沖」に「大すべり域+超大すべり域」を設定

徳島県: 24m

▶ ケース ④ 「四国沖」に「大すべり域+超大すべり域」を設定

高知県: 34m

▶ ケース ⑤ 「四国沖~九州沖」に「大すべり域+超大すべり域」を設定

高知県: 34m

●[その他派生的な検討ケース](計 6 ケース)

<大すべり域、超大すべり域に分岐断層も考えるパターン【 2 ケース】>

▶ ケース ⑥ 「駿河湾~紀伊半島沖」に「大すべり域+(超大すべり域、分岐断層)」を設定

東京都島しょ部、静岡県: 31m

▶ ケース ⑦ 「紀伊半島沖」に「大すべり域+(超大すべり域、分岐断層)」を設定

三重県: 26m

<大すべり域、超大すべり域が2箇所のパターン【 4 ケース】>

▶ ケース ⑧ 「駿河湾~愛知県東部沖」と「三重県南部沖~徳島県沖」に「大すべり域+超大すべり域」を 2 箇所設定

静岡県: 33m

▶ ケース ⑨ 「愛知県沖~三重県沖」と「室戸岬沖」に「大すべり域+超大すべり域」を 2 箇所設定

高知県: 25m

▶ ケース ⑩ 「三重県南部沖~徳島県沖」と「足摺岬沖」に「大すべり域+超大すべり域」を 2 箇所設定

高知県: 27m

▶ ケース ⑪ 「室戸岬沖」と「日向灘」に「大すべり域+超大すべり域」を 2 箇所設定

高知県: 34m

Check ☞ 市区町村別ケース別:最大津波高満潮位・地殻変動考慮)はここでご自身で調べて欲しい。

東日本大震災の最大津波高は、福島県富岡町が 21.1m の最大津波に襲われたことが明かとなっている。

東日本大震災の津波の記憶が薄れていない今でも、南海トラフ地震では、この 1.5 倍の最大津波高が想定されているのだから、どれだけの津波被害になるのか想像さえ難しいのではないだろうか?

また、津波が海岸に到 達後、陸地をはい上がり、最も高くなったところの平常潮位面からの高さである遡上高は、東日本大震災では以下のようになっている。

東日本大震災での遡上高

宮城県女川町では、遡上高 43.3m 岩手県宮古町では 40.5m の 40m 超が確認されている。

入り組んだ紀伊半島や四国沿岸部はいったいどうなるのだろう?

次回へ・・・。