「真実の口」2,124 能登半島地震 ⑨

前回の続き・・・。

石川県は 22 日、能登半島地震で被災した建物の倒壊危険度を調べる「応急危険度判定」を終え、結果を発表した。

「応急危険度判定」は、余震による建物の倒壊など 2 次被害を防ぐため、自治体職員ら判定士が実施するもので、「罹災証明書の発行」に関して、被災した建物を「全壊」「半壊」などと区分するための調査とは性格が異なる。

対象となった建物のうち 4 割にあたる 10,2615 棟が「危険」と判定されたと発表した。

甚大な被害を受けた珠洲市は 2,686 棟( 58% )、輪島市は 4,559 棟( 53% )でいずれも 5 割を超える結果だった。

前回寄稿した半島の特性にも関係するが、過疎化、高齢化、孤立化という条件も含め、古い木造住宅が多く、耐震化が進んでいなかったことが背景にあるとみられる。

県によると、県内 11 市町の住宅やマンション、公共施設など 31,600 棟が対象となった。

この中には、一部の全壊した建物も含んでいる。

地震後の 1/4 ~ 1/21 日にかけて行われた。

▽立ち入るのが危ない「危険(赤)」
判定ステッカー・赤
▽十分に気を付ける必要がある「要注意(黄)」
判定ステッカー・黄
▽当面は安全な「調査済み(緑)」
判定ステッカー・緑

上記の 3 段階で判定し、該当の色の紙が建物に貼られる。

「危険」・・・ 12,615 棟( 39.9% )
「要注意」・・・ 8,790棟( 27.8% )
「調査済み」・・・ 10,195 棟( 32.3% )

市町別では、輪島市が最も多く 4,559 件、次いで、珠洲市で 2,686 件となっている。

珠洲市と輪島市の他にも、「危険」判定されたのは、穴水町 2,310棟( 36% )、七尾市 682 棟( 44% )、能登町 744 棟( 30% )で、それぞれ 500 棟を超えた。

「応急危険度判定」の体制が全国的に 作られ始めたのは 1995 年の阪神淡路大震災以後である。

それ以降の地震の「危険」の割合は、熊本地震で 27% 、阪神大震災で 14% 、東日本大震災 12% となっており、津波や火災で被災した建物は判定の対象外のため単純比較は難しいが、能登半島地震は突出して高い割合となっているようだ。

22 日の県のまとめでは、一部破損を含む住宅被害は計 37,119 棟に上るが、全壊棟数などの全容は今も分かっていない。

死者数は、前日から能登町で災害関連死が 1 人増え、 233 人(うち災害関連死 15 人)となった。

町によると、 80 代の女性が 19 日に避難所で体調が悪化し、搬送先の病院で亡くなったという。

また、避難所で生活している最中、新型コロナウィルスに感染した珠洲市若山町の女性( 87 )が 16 日に亡くなっていたことが分かった。

1 日の地震後、新型コロナウィルスに感染した被災者の死亡が確認されるのは初めてで、災害関連死の可能性があると見ている。

女性は、地震後、避難所の珠洲市飯田小に身を寄せていた。

肝臓に持病があり、 7 日に治療のため金沢市内の病院を受診したところ、新型コロナウィルスの陽性と診断されて専用病棟に移った。

その後、高熱を出すなどし、 9 日後の 16 日に息を引き取った。

女性が入院直前まで過ごしていた飯田小は 21 日時点で 107 人が避難生活を送り、同日までに計12人の新型コロナウィルス感染が確認されている。

陽性の住民は別室に隔離し、トイレ、食事も別にして他の避難者と接触がないようにしている。

現在、感染者以外の避難者が過ごすスペースに間仕切りはないが、来週以降は屋内にテントを設営するなどして対策を強化するという。

次回へ・・・。