「真実の口」397 人命救助・・・その1

突然だが・・・、皆は、人命救助をしたことがあるだろうか?

医師、看護士はもとより、ライフセーバー、救急救命士等の職業に就いていなければ、多くの人間の答えはNoではないだろうか?

しかし、どういう訳か(?)、私はそう言う場面によく遭遇する・・・。

それも、1度や2度ではない。

印象的に覚えているものだけでも、10度を軽く越える・・・。

古くは、子供の頃の水難救助に始まり、大学時代の学祭の食中毒騒動、事故を起こした飲酒運転者の救出、etc・・・。

しかし、明らかに、会田総研を設立してから、この頻度が増しているような気がする。

まず、設立間もない頃、東京の塗料メーカーを訪問する途中で、大型ダンプに小学生の男の子が巻き込まれる事故に遭遇した。

私と同行者が横断歩道で待っていると、左後方で、急ブレーキの音とドンという音が聞こえた。

事故を目の前で見たわけではないが、大型ダンプの後輪近くで男の子が倒れている状況を見て、身体が勝手に動き出してしまった。

私は、近くの人に救急車と警察を呼ぶように指示し、男の子に駆け寄った。

足が折れて、あらぬ方向に向いている・・・。

意識がある事を確認し、どこが痛いかと聞くと、お腹と足が痛いという・・・。

これは、動かさない方が良いと判断し、同行している人間に、痛快かいきいきパックを持っていないか聞いた。

いきいきパックを持っていると言う事なので、骨折している足に軽く巻き付け、腹部には軽く載せるだけにした。

しばらくして、救急車が到着したので、状況を説明した。

その時に感心したのは、救急隊員に、「このビニールは何ですか?」と聞かれたのだが、「これで、痛みが軽減するはずです」と答えると、救急隊員は、疑問も持たず、きちんと巻き直してくれたのが、印象的だった。

そして、現場を後にしようとしたところへ、救急車のサイレンを聞き、孫の帰りが遅いのを不安に思い、駆けつけた祖母がおろおろとしているのが目に入った。

私は、「命に別状はないようだから、貴女がしっかりしなくてどうする」と、一喝して、救急車に同乗させて、現場を後にした。

翌日、現場近くの警察署に電話してみると、男の子は骨折以外には、外傷がないということで胸をなで下ろした。

困ったのは、私の立場を説明することだった。

とりあえず、事故の現場で、救急活動をしていたものと伝えると、結構、あっさりと教えていただく事が出来た。

事故の状況について、詳しく聞く事があるかも知れないので、電話番号を教えて欲しいと言われて、教えはしたのだが、当時、我々以外にも目撃者が数十人いたので、電話が来ることはなかった。

そして、会田氏と二人で飛行機に乗っている時にも、現場に遭遇・・・。

会田氏と私は、最前列に座っていただのが、飛行機が駐機場から離れて、滑走路へ向かう途中に、3人掛けの右端に座っていた男性が、ガクンと意識を無くしたように、前方にうなだれた。

異常に気付いた客室乗務員が、駆けつけて、その男性に声をかけると、意識を取り戻したようで、客室乗務員が、「駐機場に引き返して、飛行機を降りるよう」に勧めるのだが、男性が、「大丈夫」と頑なに降機を拒否するので、そのまま、滑走路に入り、離陸することとなった。

離陸して、しばらくすると、その男性が、今度ははっきり解るように、半身をガクンと通路側にはみ出すように、気絶してしまった。

再度、客室乗務員が駆けつけて声をかけるが、今度はなかなか意識が戻らない。

テレビや映画で良く見かける光景だが、客室乗務員が、「お客様の中で、お医者様はいらっしゃいませんか?」と後方の客席に声をかけていた。

私らから、2列後方に医師が一人いたようだが、医療器具を何も持っていないので、何もする事が出来ないと言っている。

何も出来ないにしても、状況を見に来るくらいしろよと思いながらも、会田氏と私は、自分らにできることをすることにした。

「会長、クロス持ってましたよね?」

「うん」

・・・という、全てを語るまでもなく、阿吽の呼吸で、会田氏は抗酸化クロス(抗酸化溶液入りの糊でクロスを貼り合わせた物)を、その男性の腰にあて、左手をさすり続けた。

一時は、顔面蒼白になり、意識がもうろうとしていた男性も、徐々に意識を取り戻してきて、水平飛行に移るくらいには、正常に戻った。

男性に、持病があったのかと聞くと、今まで、こんな経験は一度もないという・・・。

我々が、居合わせていなかったら、どうなったことだろう???

次回へ・・・。