「真実の口」1,851 新型コロナウィルス・・・339

前回の続き・・・。

前回( 3/25 )は、 2 月 18 日(金)及び 3 月 18 日(金)に開催された 2 回分の合同部会の“アナフィラキシー事例”を取り上げたが、今回は、“心筋炎”、“心膜炎”について寄稿する。

〔 2 月 18 日・第 76 回分〕

〇 心筋炎及び心膜炎を副反応疑い報告基準に定めた令和 3 年 12 月 6 日から対象期間までに、ファイザー社ワクチン、武田/モデルナ社ワクチンについて、心筋炎(ブライトン分類 1 ~ 3 )として評価された事例は、ファイザー社は(疑いとしての報告 67 件中) 22 件モデルナ社は(疑いとしての報告 23 件中) 10 件だった。心膜炎(ブライトン分類 1 ~ 3 )として評価された事例は、ファイザー社は(疑いとしての報告 19 件中) 7 件モデルナ社は(疑いとしての報告 2 件中) 1 件だった。アストラゼネカ社ワクチン接種後の報告はなかった。また、報告例のうち 3 回目接種後の事例については、ファイザー社ワクチン接種後の心膜炎(疑いとしての報告 1 件中) 1 件だった。 3 回目接種後の事例を含め、引き続きブライトン分類の評価も踏まえ、評価・分析を行っていくこととされた。

〔 3 月 18 日・第 77 回分〕

〇 心筋炎及び心膜炎を副反応疑い報告基準に定めた令和 3 年 12 月 6 日から対象期間までに、ファイザー社ワクチン、武田/モデルナ社ワクチンについて、心筋炎(ブライトン分類 1 ~ 3 )として評価された事例は、ファイザー社は(疑いとしての報告 93 件中) 28 件モデルナ社は(疑いとしての報告 31 件中) 18 件だった。心膜炎(ブライトン分類 1 ~ 3 )として評価された事例は、ファイザー社は(疑いとしての報告 30 件中) 11 件モデルナ社は(疑いとしての報告 4 件中) 1 件だった。アストラゼネカ社ワクチン接種後の報告はなかった。また、報告例のうち 3 回目接種後の事例については、ファイザー社ワクチンは心筋炎(疑いとしての報告 10 件中) 0 件、心膜炎(疑いとしての報告 4 件中) 1 件であり、武田/モデルナ社ワクチンは心筋炎(疑いとしての報告 1 件中) 0 件、心膜炎(疑いとしての報告 2 件中) 1 件だった。

≪心筋炎・心膜炎関連症例≫

【ファイザー社製】

1. 報告状況

○ 前々回( 第 75 回)の集計対象期間( 1 月 2 日)以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告において、製造販売業者から心筋炎疑いとして報告された事例が第 76 回は 15 件、第 77 回は 26 件増加し(うち、 3 回目接種後の事例はそれぞれ 1 件、 9 件)増加し、心膜炎疑いとして報告された事例が第 76 回は 4 件、第 77 回は 11 件増加し(うち、 3 回目接種後の事例はそれぞれ 1 件、 3 件)増加した。

○ 令和 3 年  12 月 6 日から令和 4 年 2 月 20 日までに報告された心筋炎疑い事例は計 93 件(うち、 3 回目接種後の事例は 10 件)、心膜炎疑い事例は計 30 件(うち、 3 回目接種後の事例は 4 件)となった。

2. 専門家の評価

( 1 ) 心筋炎疑い

因果関係
評価
総数 ブライトンレベル
1 2 3 4 5
α 0 0 0 0 0 0
β 0 0 0 0 0 0
γ 93(+41) 18(+9) 9(+5) 1(±0) 65(+27) 0

( 2 ) 心膜炎疑い

因果関係
評価
総数 ブライトンレベル
1 2 3 4 5
α 0 0 0 0 0 0
β 0 0 0 0 0 0
γ 30(+15) 0 11(+6) 0 19(+9) 0

《 接種回数別報告件数 》

( 1 ) 心筋炎疑い事例

接種回数 レベル 1 ~ 3 の報告件数
1回目 3(+3)
2回目 25(+11)
3回目 0(±0)
合計 28(+14)

( 2 ) 心膜炎疑い事例

接種回数 レベル 1 ~ 3 の報告件数
1回目 2(+1)
2回目 8(+4)
3回目 1(+1)
合計 11(+6)

《 発生頻度 》

( 1 ) 心筋炎疑い事例

・期間:2021 年 2 月 17 日~ 2022 年 2 月 20 日
・ 1 回目接種: 120 件/ 85,254,221 回  1.4 件/ 100 万回
・ 2 回目接種: 226 件/ 83,944,653 回 2.7 件/ 100 万回
・ 3 回目接種: 10 件/ 12,969,602 回  0.8 件/100 万回

( 2 ) 心膜炎疑い事例

・期間:2021 年 2 月 17 日~ 2022 年 2 月 20 日
・ 1 回目接種: 48 件/ 85,254,221 回  0.6 件/ 100 万回
・ 2 回目接種: 95 件/ 83,944,653 回 1.1 件/ 100 万回
・ 3 回目接種: 4 件/ 12,969,602 回  0.3 件/100 万回

《 ブライトン分類レベル1~3の年齢別性別報告件数 》

( 1 ) 心筋炎疑い事例

年齢(歳) 報告件数
男性 女性 性別不明
0~4 0 0 0 0
5~9 0 0 0 0
10~14 6(+2) 4(+2) 2(±0) 0
15~19 10(+4) 10(+4) 0 0
20~24 3(+1) 3(+1) 0 0
25~29 1(+1) 1(+1) 0 0
30~34 1(+1) 1(+1) 0 0
35~39 2(+1) 1(+1) 1(±0) 0
40~44 1(+1) 1(+1) 0 0
45~49 0 0 0 0
50~54 0 0 0 0
55~59 0 0 0 0
60~64 0 0 0 0
65~69 1(+1) 0 1(+1) 0
70~74 0 0 0 0
75~79 0 0 0 0
80歳以上 1(+1) 1(+1) 0 0
不明 2(+1) 2(+1) 0 0
合計 28(+14) 24(+13) 4(+1) 0
(参考)
65歳以上
2(+2) 1(+1) 1(+1) 0

( 2 ) 心膜炎疑い事例

年齢(歳) 報告件数
男性 女性 性別不明
0~4 0 0 0 0
5~9 0 0 0 0
10~14 1(+1) 1(+1) 0 0
15~19 2(±0) 2(±0) 0 0
20~24 0 0 0 0
25~29 0 0 0 0
30~34 1(+1) 1(+1) 0 0
35~39 0 0 0 0
40~44 0 0 0 0
45~49 1(±0) 1(±0) 0 0
50~54 2(+1) 1(±0) 1(+1) 0
55~59 0 0 0 0
60~64 0 0 0 0
65~69 0 0 0 0
70~74 1(+1) 1(+1) 0 0
75~79 1(±0) 1(±0) 0 0
80歳以上 0 0 0 0
不明 0 0 0 0
合計 11(+6) 10(+5) 1(+1) 0
(参考)
65歳以上
3(+2) 3(+2) 0 0

【モデルナ社製】

1. 報告状況

○ 前々回( 第 75 回)の集計対象期間( 1 月 2 日)以降、スパイクバックス筋注の副反応疑い報告において、製造販売業者から心筋炎疑いとして報告された事例が第 76 回は 6 件、第 77 回は 8 件増加し(うち、 3 回目接種後の事例はそれぞれ 0 件、 1 件)増加し、心膜炎疑いとして報告された事例が第 76 回は 0 件、第 77 回は 2 件増加し(うち、 3 回目接種後の事例はそれぞれ 0 件、 1 件)増加した。

○ 令和 3 年  12 月 6 日から令和 4 年 2 月 20 日までに報告された心筋炎疑い事例は計 31 件(うち、 3 回目接種後の事例は 1 件)、心膜炎疑い事例は計 4 件(うち、 3 回目接種後の事例は  2 件)となった。

2. 専門家の評価

( 1 ) 心筋炎疑い

因果関係
評価
総数 ブライトンレベル
1 2 3 4 5
α 0 0 0 0 0 0
β 0 0 0 0 0 0
γ 31(+14) 14(+9) 4(+4) 0 13(+1) 0

( 2 ) 心膜炎疑い

因果関係
評価
総数 ブライトンレベル
1 2 3 4 5
α 0 0 0 0 0 0
β 0 0 0 0 0 0
γ 4(+2) 0 2(+1) 0 2(+1) 0

《 接種回数別報告件数 》

( 1 ) 心筋炎疑い事例

接種回数 レベル 1 ~ 3 の報告件数
1回目 6(+4)
2回目 12(+9)
3回目 0
合計 18(+13)

( 2 ) 心膜炎疑い事例

接種回数 レベル 1 ~ 3 の報告件数
1回目 1(±0)
2回目 0
3回目 1(+1)
合計 2(+1)

《 発生頻度 》

( 1 ) 心筋炎疑い事例

・期間:2021 年 2 月 17 日~ 2022 年 2 月 20 日
(※注) 厚生労働省の転記ミスなのか、前回総接種回数より、今回総接種回数が減っているので記載に値しないと判断する。

( 2 ) 心膜炎疑い事例

・期間:2021 年 2 月 17 日~ 2022 年 2 月 20 日
(※注) 厚生労働省の転記ミスなのか、前回総接種回数より、今回総接種回数が減っているので記載に値しないと判断する。

《 ブライトン分類レベル1~3の年齢別性別報告件数 》

( 1 ) 心筋炎疑い事例

年齢(歳) 報告件数
男性 女性 性別不明
0~4 0 0 0 0
5~9 0 0 0 0
10~14 1(±0) 1(±0) 0 0
15~19 4(+2) 4(+2) 0 0
20~24 5(+4) 4(+3) 1(+1) 0
25~29 4(+4) 4(+4) 0 0
30~34 0 0 0 0
35~39 4(+3) 4(+3) 0 0
40~44 0 0 0 0
45~49 0 0 0 0
50~54 0 0 0 0
55~59 0 0 0 0
60~64 0 0 0 0
65~69 0 0 0 0
70~74 0 0 0 0
75~79 0 0 0 0
80歳以上 0 0 0 0
不明 0 0 0 0
合計 18(+13) 17(+12) 1(+1) 0
(参考)
65歳以上
0 0 0 0

( 2 ) 心膜炎疑い事例

年齢(歳) 報告件数
男性 女性 性別不明
0~4 0 0 0 0
5~9 0 0 0 0
10~14 0 0 0 0
15~19 0 0 0 0
20~24 0 0 0 0
25~29 1(+1) 1(+1) 0 0
30~34 0 0 0 0
35~39 1(±0) 1(±0) 0 0
40~44 0 0 0 0
45~49 0 0 0 0
50~54 0 0 0 0
55~59 0 0 0 0
60~64 0 0 0 0
65~69 0 0 0 0
70~74 0 0 0 0
75~79 0 0 0 0
80歳以上 0 0 0 0
不明 0 0 0 0
合計 2(+1) 2(+1) 0 0
(参考)
65歳以上
0 0 0 0

≪心筋炎及び心膜炎に関する考え方≫

★心筋炎・心膜炎についてのまとめ

○ 心筋炎及び心膜炎を副反応疑い報告基準に定めた 2021 年 12 月 6 日から今回の審議会( 2022 年 2 月 20 日時点)までに、ファイザー社ワクチンで(疑いとして報告のあった 93 件中) 28 件(うち、 3 回目接種後の事例は 10 件)、武田/モデルナ社ワクチンで(疑いとして報告のあった 31 件中) 18 件(うち、 3 回目接種後の事例は 0 件)が心筋炎(ブライトン分類 1-3 )と評価された。

○ 心膜炎については、ファイザー社ワクチンにおいて(疑いとして報告のあった 30 件中) 11 件(うち、 3 回目接種後の事例は 1 件)、武田/モデルナ社ワクチンにおいて(疑いとして報告のあった 4 件中) 2 件(うち、 3 回目接種後の事例は 1 件)が心膜炎(ブライトン分類 1-3 )と評価された。

○ 心筋炎及び心膜炎を副反応疑い報告基準として定めた 2021 年 12 月 6 日から2022年 2 月20日までに、製造販売業者報告において、アストラゼネカ社ワクチン接種後に、心筋炎又は心膜炎疑いとして報告された事例はなかった。

★ワクチン接種後の心筋炎・心膜炎に関する論点のまとめ

○ 3 回目接種後の事例も含め、国内外における報告状況を注視していくとともに、調査票に基づくブライトン分類の評価も踏まえ、引き続き評価・分析を行っていく。
○ 引き続き、最新の情報を周知するとともに、接種後には無理をせず、胸痛等の症状出現時には早期の受診を勧める等の注意喚起を行っていく。
○ 3 回目接種後の事例も含め、心筋炎・心膜炎に係るこれまでの検討結果を踏まえても、現時点においては、引き続き、ワクチンの接種体制に影響を与える程の重大な懸念は認められないと考えてよい。

★心筋炎関連事象(心筋炎及び心膜炎)に関する考え方

○ 個別の事例としての分析に関しては、国内で報告があった心筋炎関連事象に係る副反応疑い報告事例について、現時点においては引き続き、専門家評価により「因果関係が否定できない」とされた事例はない。
○ 集団としての分析に関しては、以下の状況が認められた。
i. COVID-19 感染症により心筋炎関連事象を合併する確率は、ワクチン接種後に心筋炎関連事象を発症する確率と比較して高い。
ii. 新型コロナワクチン接種後の心筋炎については、国内外において、若年男性で2回目接種後4日以内の発症報告が多い。
iii. ファイザー社ワクチン、モデルナ社ワクチンともに、 10 歳代及び 20 歳代の男性においては、他の年代や女性に比べて報告頻度は高い。
iv. ワクチン間の被接種者の属性が異なることに留意が必要であるが、 10 歳代及び 20 歳代男性については、ファイザー社ワクチンに比べて、モデルナ社ワクチン接種後の報告頻度が高い。
v. 新型コロナワクチン接種後に劇症型心筋炎が疑われた事例は極めて稀であり、年齢・性別・接種回数・接種から発症までの日数について、一定の傾向は見られず、非接種群における劇症型心筋炎の発症頻度との比較において、接種後の報告率は概ね同等以下であった。
vi. 心筋炎関連事象の転帰は、発症しても軽症であることが多い。
vii. 心筋炎関連事象疑い事例の死亡については、ファイザー社ワクチン、モデルナ社ワクチンともに報告頻度は極めて稀ではあるものの、特に若年者については一般人口と比べて高いが、若年者の死亡全体の報告頻度は一般人口と比べて低かった。

《考察》 心筋炎・心膜炎に関しては若い世代に偏る傾向があるのは両社の報告通りだが、若干名、高齢者にも発症報告が散見されるようになった。また、1 回目より 2 回目接種の方が、発症報告が多く、 3 回目接種を拙速に進める現状では、検証する間もなく 3 回目接種時報告例が増えていくのは目に見えている。打たなくていいものは打たない方が良い。

次回へ・・・。