「真実の口」1,897 新型コロナウィルス・・・385

前回の続き・・・。

6 月 10 日(金)に開催された第 80 回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和 4 年度第 5 回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)における“心筋炎”、“心膜炎”について寄稿する。

〇 心筋炎及び心膜炎を副反応疑い報告基準に定めた令和 3 年 12 月 6 日から対象期間までに、ファイザー社ワクチン、武田/モデルナ社ワクチンについて、心筋炎(ブライトン分類 1 ~ 3 )として評価された事例は、ファイザー社は(疑いとしての報告 167 件中) 49 件モデルナ社は(疑いとしての報告 86 件中) 36 件だった。心膜炎(ブライトン分類 1 ~ 3 )として評価された事例は、ファイザー社は(疑いとしての報告 59 件中) 27 件モデルナ社は(疑いとしての報告 22 件中) 13 件だった。アストラゼネカ社ワクチン接種後の報告はなかった

また、報告例のうち 3 回目接種後の事例については、ファイザー社ワクチンは心筋炎(疑いとしての報告 26 件中) 5 件、心膜炎(疑いとしての報告 15 件中) 6 件であり、武田/モデルナ社ワクチンは心筋炎(疑いとしての報告 35 件中) 8 件、心膜炎(疑いとしての報告 15 件中) 8 件だった。 3 回目接種後の事例を含め、引き続きブライトン分類の評価も踏まえ、評価・分析を行っていくこととされた。

≪心筋炎・心膜炎関連症例≫

【ファイザー社製】

1. 報告状況

○ 前回の集計対象期間( 4 月 17 日)以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告において、製造販売業者から心筋炎疑いとして報告された事例が 12 件増加し(うち、 3 回目接種後の事例 7 件)増加し、心膜炎疑いとして報告された事例 6 件増加し(うち、 3 回目接種後の事例はそれぞれ 4 件)増加した。

○ 令和 3 年  12 月 6 日から令和 4 年 5 月 15 日までに報告された心筋炎疑い事例は計 167 件(うち、 3 回目接種後の事例は 26 件)、心膜炎疑い事例は計 59 件(うち、 3 回目接種後の事例は 15 件)となった。

2. 専門家の評価

( 1 ) 心筋炎疑い

因果関係
評価
総数 ブライトンレベル
1 2 3 4 5
α 0 0 0 0 0 0
β 0 0 0 0 0 0
γ 167(+12) 33(+4) 14(+2) 2(+1) 118(+5) 0

( 2 ) 心膜炎疑い

因果関係
評価
総数 ブライトンレベル
1 2 3 4 5
α 0 0 0 0 0 0
β 0 0 0 0 0 0
γ 59(+6) 1(+1) 26(+2) 0 32(+3) 0

《 接種回数別報告件数 》

( 1 ) 心筋炎疑い事例

接種回数 レベル 1 ~ 3 の報告件数
1回目 7(±0)
2回目 37(+4)
3回目 5(+3)
合計 49(+7)

( 2 ) 心膜炎疑い事例

接種回数 レベル 1 ~ 3 の報告件数
1回目 6(+2)
2回目 15(±0)
3回目 6(+1)
合計 27(+3)

《 発生頻度 》

( 1 ) 心筋炎疑い事例

・期間:2021 年 2 月 17 日~ 2022 年 5 月 15 日
・ 1 回目接種: 126 件/ 85,814,203 回 1.5 件/ 100 万回
・ 2 回目接種: 270 件/ 84,679,372 回 3.2 件/ 100 万回
・ 3 回目接種: 26 件/ 40,923,719 回 0.6 件/100 万回

( 2 ) 心膜炎疑い事例

・期間:2021 年 2 月 17 日~ 2022 年 5 月 15 日
・ 1 回目接種: 54 件/ 85,814,203 回 0.6 件/ 100 万回
・ 2 回目接種: 108 件/ 84,679,372 回 1.3 件/ 100 万回
・ 3 回目接種: 15 件/ 40,923,719 回 0.4 件/100 万回

《 ブライトン分類レベル1~3の年齢別性別報告件数 》

( 1 ) 心筋炎疑い事例

年齢(歳) 報告件数
男性 女性 性別不明
0~4 0 0 0 0
5~9 0 0 0 0
10~14 10(+2) 8(+2) 2 0
15~19 15(+1) 15(+1) 0 0
20~24 5(+2) 5(+2) 0 0
25~29 4(+1) 3 1(+1) 0
30~34 1 1 0 0
35~39 3 2 1 0
40~44 1 1 0 0
45~49 0 0 0 0
50~54 2 2 0 0
55~59 1 1 0 0
60~64 0 0 0 0
65~69 1 0 1 0
70~74 0 0 0 0
75~79 2 2 0 0
80歳以上 2(+1) 1 1(+1) 0
不明 2 2 0 0
合計 49(+7) 43(+5) 6(+2) 0
(参考)
65歳以上
5(+1) 3 2(+1) 0
12~17 20(+2) 18(+2) 2 0
18~24 10(+3) 10(+3) 0 0

( 2 ) 心膜炎疑い事例

年齢(歳) 報告件数
男性 女性 性別不明
0~4 0 0 0 0
5~9 0 0 0 0
10~14 5(-1) 5(-1) 0 0
15~19 5(+2) 4(+1) 1(+1) 0
20~24 4(+1) 2(+1) 2 0
25~29 0 0 0 0
30~34 1 1 0 0
35~39 1 1 0 0
40~44 0 0 0 0
45~49 2 1 1 0
50~54 2 1 1 0
55~59 2 2 0 0
60~64 0 0 0 0
65~69 0 0 0 0
70~74 1 1 0 0
75~79 2 2 0 0
80歳以上 2(+1) 2(+1) 0 0
不明 0 0 0 0
合計 24(+5) 20(+5) 4 0
(参考)
65歳以上
5(+1) 5(+1) 0 0
12~17 7 6(-1) 1(+1) 0
18~24 7(+1) 5(-1) 2(+2) 0

【モデルナ社製】

1. 報告状況

○ 前回の集計対象期間( 4 月 17 日)降、スパイクバックス筋注の副反応疑い報告において、製造販売業者から心筋炎疑いとして報告された事例が 15件、増加し(うち、 3 回目接種後の事例は 12 件)増加し、心膜炎疑いとして報告された事例 3 件増加し(うち、 3 回目接種後の事例は 3 件)増加した。

○ 令和 3 年 12 月 6 日から令和 4 年 5 月 15 日までに報告された心筋炎疑い事例は計 89 件(うち、 3 回目接種後の事例は 35 件)、心膜炎疑い事例は計 22 件(うち、 3 回目接種後の事例は 15 件)となった。

2. 専門家の評価

( 1 ) 心筋炎疑い

因果関係
評価
総数 ブライトンレベル
1 2 3 4 5
α 0 0 0 0 0 0
β 0 0 0 0 0 0
γ 89(+15) 27(+3) 8(+2) 1 53(+10) 0

( 2 ) 心膜炎疑い

因果関係
評価
総数 ブライトンレベル
1 2 3 4 5
α 0 0 0 0 0 0
β 0 0 0 0 0 0
γ 22(+3) 2 11(+1) 0 9(+2) 0

《 接種回数別報告件数 》

( 1 ) 心筋炎疑い事例

接種回数 レベル 1 ~ 3 の報告件数
1回目 7(+1)
2回目 21(±0)
3回目 8(+4)
合計 36(+5)

( 2 ) 心膜炎疑い事例

接種回数 レベル 1 ~ 3 の報告件数
1回目 1(±0)
2回目 4(±0)
3回目 8(+1)
合計 13(+1)

《 発生頻度 》

( 1 ) 心筋炎疑い事例

・期間:2021 年 5 月 22 日~ 2022 年 5 月 15 日
・ 1 回目接種: 43 件/ 16,397,849 回 2.6 件/ 100 万回
・ 2 回目接種: 209 件/ 16,228,058 回 12.8 件/ 100 万回
・ 3 回目接種: 35 件/ 30,597,546 回(※注) 1.1 件/100 万回

( 2 ) 心膜炎疑い事例

・期間:2021 年 2 月 17 日~ 2022 年 3 月 20 日
・ 1 回目接種: 10 件/ 16,397,849 回 0.6 件/ 100 万回
・ 2 回目接種: 42 件/ 16,228,058 回 2.6 件/ 100 万回
・ 3 回目接種: 12 件/ 30,597,546 回(※注) 0.5 件/100 万回

(※注) 毎回断るが、 1 ・ 2 回目接種より 3 回目接種の回数が多いのはおかしい。好い加減、厚労省報告者は気付いて欲しい!

《 ブライトン分類レベル1~3の年齢別性別報告件数 》

( 1 ) 心筋炎疑い事例

年齢(歳) 報告件数
男性 女性 性別不明
0~4 0 0 0 0
5~9 0 0 0 0
10~14 1 1 0 0
15~19 7 7 0 0
20~24 12(+5) 11(+4) 1 0
25~29 6 6 0 0
30~34 0 0 0 0
35~39 3 3 0 0
40~44 0 0 0 0
45~49 3 1 2 0
50~54 1 1 0 0
55~59 2(+1) 2(+1) 0 0
60~64 1 0 1 0
65~69 0 0 0 0
70~74 0 0 0 0
75~79 0 0 0 0
80歳以上 0 0 0 0
不明 0 0 0 0
合計 36(+5) 32(+5) 4 0
(参考)
65歳以上
0 0 0 0
12~17 4 4 0 0
18~24 16(+4) 15(+4) 1 0

( 2 ) 心膜炎疑い事例

年齢(歳) 報告件数
男性 女性 性別不明
0~4 0 0 0 0
5~9 0 0 0 0
10~14 0 0 0 0
15~19 3(-1) 3(-1) 0 0
20~24 3 3 0 0
25~29 2 2 0 0
30~34 1 0 1 0
35~39 1 1 0 0
40~44 1 1 0 0
45~49 1(+1) 0 1(+1) 0
50~54 1(+1) 1(+1) 0 0
55~59 0 0 0 0
60~64 0 0 0 0
65~69 0 0 0 0
70~74 0 0 0 0
75~79 0 0 0 0
80歳以上 0 0 0 0
不明 0 0 0 0
合計 13(+1) 11 2(+1) 0
(参考)
65歳以上
0 0 0 0
12~17 0 0 0 0
18~24 6(-1) 6(-1) 0 0

≪心筋炎及び心膜炎に関する考え方≫

★心筋炎・心膜炎についてのまとめ

○ 心筋炎及び心膜炎を副反応疑い報告基準に定めた 2021 年 12 月 6 日から今回の審議会( 2022 年 5 月 15日時点)までに、ファイザー社ワクチンで(疑いとして報告のあった 167 件中) 49 件武田/モデルナ社ワクチンで( 89 件中) 36 件心筋炎(ブライトン分類 1-3)と評価された。

また、心膜炎については、ファイザー社ワクチンにおいて(同 59 件中) 27 件武田/モデルナ社ワクチンにおいて(同 22 件) 13 件心膜炎(ブライトン分類 1-3 )と評価された。

このうち、 3 回目接種後の心筋炎疑いとして報告された事例は、ファイザー社ワクチンにおいて 26 件であり、同 5 件が心筋炎(ブライトン分類 1-3 )と評価された。武田/モデルナ社ワクチンにおいては 35 件であり、同 8 件が心筋炎(ブライトン分類 1-3 )と評価された。

また、 3 回目接種後の心膜炎疑いとして報告された事例はファイザー社ワクチンにおいて 15 件であり、同 6 件心膜炎(ブライトン分類 1-3 )と評価された。武田/モデルナ社ワクチンにおいては 15 件であり、同 8 件心膜炎ブライトン分類 1-3 )と評価された。

★ワクチン接種後の心筋炎・心膜炎に関する論点のまとめ

○ 3 回目接種後の事例も含め、国内外における報告状況を注視していくとともに、調査票に基づくブライトン分類の評価も踏まえ、引き続き評価・分析を行っていく。
○ 引き続き、最新の情報を周知するとともに、接種後には無理をせず、胸痛等の症状出現時には早期の受診を勧める等の注意喚起を行っていく。
○ 3 回目接種後の事例も含め、心筋炎・心膜炎に係るこれまでの検討結果を踏まえても、現時点においては、引き続き、ワクチンの接種体制に影響を与える程の重大な懸念は認められないと考えてよい。

《考察》 前回までは、中年層、高齢者層への広がりを見せていることを報告したが、今回は、若年層に偏りが見られた同様の傾向が見てとれた。接種回数が多い方が未接種者より新規感染者が多いことが報告されたが、 3 回目接種とその危険性を自身で天秤にかける必要がある。心筋炎、心膜炎、血栓症( TTS )、そして死亡例と併せて、3 回目接種の危険性を検証するべきである。

次回へ・・・。