Coffee Brake 36 として故・水島新司氏のドカベンプロ野球編を寄稿しようと思ったが、合同部会が開催されたので、後日、寄稿し直すことにする。
1 月 21 日(金)に、第 75 回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和 3 年度第 26 回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)が開催された(以下、合同部会)。
今回は、“アナフィラキシー事例”を寄稿する。
≪アナフィラキシー報告事例≫
【ファイザー社製】
1.報告状況
○ 前回の集計対象期間( 12 月 5 日)以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告において、製造販売業者からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに 32 件あり、令和 3 年 2 月 17 日から令和 4 年 1 月 2 日までに報告されたアナフィラキシー事例は計 3,114 件(うち、 3 回目接種後の事例は 3 件)、総副反応事例は計 17,091 件となった。
2.専門家の評価
○ 令和 4 年 1 月 2 日までに報告された 3,114 事例を対象に、専門家の評価を実施。
○ 評価結果の概要は、以下のとおり。
ブライトン 分類レベル |
報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | 3回目接種時 | ||
1 | 117(+2) | 90(±0) | 27(+2) | 0(±0) |
2 | 459(+6) | 336(+4) | 122(+1) | 1(+1) |
3 | 24(-1) | 21(±0) | 3(-1) | 0(±0) |
4 | 2,411(+26) | 1,773(+21) | 636(+3) | 2(+2) |
5 | 103(-1) | 70(+1) | 33(-2) | 0(±0) |
合計 | 3,114(+32) | 2,290(+26) | 821(+3) | 3(+3) |
○アナフィラキシーの症例定義として国際的な指標になっている「ブライトン分類」での評価は、 3,114 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 600 ( +7 ) 例となっている。
●レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数注・・・600 件/ 168,296,343 回接種
● 100 万回あたりの報告件数・・・ 3.6 件
○ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数も見てみる。
年齢(歳) | 報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 性別不明 | ||
0~4 | 0 | 0 | 0 | 0 |
5~9 | 0 | 0 | 0 | 0 |
10~14 | 4(+1) | 2(+1) | 2 | 0 |
15~19 | 13 | 6 | 7 | 0 |
20~24 | 46(+1) | 11(+1) | 34 | 1 |
25~29 | 50 | 6 | 44 | 0 |
30~34 | 54(+1) | 12(+1) | 42 | 0 |
35~39 | 82 | 8 | 74 | 0 |
40~44 | 81 | 8 | 73 | 0 |
45~49 | 92(+3) | 8(+1) | 84(+2) | 0 |
50~54 | 55(+2) | 2 | 53(+2) | 0 |
55~59 | 41 | 5 | 36 | 0 |
60~64 | 19 | 1 | 18 | 0 |
65~69 | 25 | 6 | 19 | 0 |
70~74 | 12 | 4 | 8 | 0 |
75~79 | 4(-1) | 0 | 4(-1) | 0 |
80歳以上 | 21(+1) | 3(+1) | 18 | 0 |
不明 | 1 | 0 | 1 | 0 |
合計 | 600(+7) | 82(+5) | 517(+2) | 1(±0) |
(参考) 65歳以上 |
62(±0) | 13(+1) | 49(-1) | 0(±0) |
表から見て取れることは・・・。
【年齢】
65 歳未満・・・ 538 ( +7 )例
65 歳以上・・・ 62 ( ±0 )例
〔考察〕 7 例増加分の 1 例が 3 回目摂取時に起こっているが、頻度としては 1 ~ 2 回目摂取時と変わらないようだ。
【性別】
男性・・・ 82 ( +5 )例
女性・・・ 517 ( +2 )例
〔考察〕 ファイザー社の報告通り、副反応は圧倒的に女性が多いのが分かる。
〔考察〕 前回までは、アレルギーの有無も報告されていたのだが、今回からは割愛されたようである。
【モデルナ社製】
1.報告状況
○ 前回の合同部会( 12月 5 日)以降、スパイクバックス筋注の副反応疑い報告において、医療機関からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに 3 件(うち、 3 回目接種後の事例は 0 件)あり、令和 3 年 5 月 22 日から令和 4 年 1 月 2 日までに報告された副反応事例は、計 518 件、総副反応事例は計 2,287 件となった。
(※注) 旧販売名:COVID-19ワクチンモデルナ筋注
2.専門家の評価
○ 令和 4 年 1 月 2 日までに報告された 518 件のうち、アナフィラキシーの疑いのある事例を対象に、専門家の評価を実施し、評価結果の概要は、以下のとおり。
ブライトン 分類レベル |
報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | 3回目接種時 | ||
1 | 8(±0) | 7(±0) | 1(±0) | 0(±0) |
2 | 44(+1) | 32(+1) | 12(±0) | 0(±0) |
3 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
4 | 441(+2) | 331(+4) | 110(-2) | 0(±0) |
5 | 25(±0) | 25(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
合計 | 515(+11) | 390(+4) | 125(+7) | 0(±0) |
○ 「ブライトン分類」での評価は、 518 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 52 例となっている。
・ レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 52 件/ 32,435,344 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 1.6 件
○ ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数
年齢(歳) | 報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 性別不明 | ||
0~4 | 0 | 0 | 0 | 0 |
5~9 | 0 | 0 | 0 | 0 |
10~14 | 1 | 0 | 1 | 0 |
15~19 | 3 | 0 | 3 | 0 |
20~24 | 14(+1) | 6 | 7(+1) | 1 |
25~29 | 9 | 2 | 7 | 0 |
30~34 | 9 | 0 | 9 | 0 |
35~39 | 5 | 3 | 2 | 0 |
40~44 | 3 | 0 | 3 | 0 |
45~49 | 3 | 1 | 2 | 0 |
50~54 | 3 | 0 | 3 | 0 |
55~59 | 1 | 0 | 1 | 0 |
60~64 | 0 | 0 | 0 | 0 |
65~69 | 1 | 0 | 1 | 0 |
70~74 | 0 | 0 | 0 | 0 |
75~79 | 0 | 0 | 0 | 0 |
80歳以上 | 0 | 0 | 0 | 0 |
不明 | 0 | 0 | 0 | 0 |
合計 | 51(+1) | 12(±0) | 39(+1) | 1(±0) |
(参考) 65歳以上 |
1(±0) | 0(±0) | 1(±0) | 0(±0) |
表から見て取れることは・・・。
【年齢】
65 歳未満・・・ 51 ( +1 ) 例
65 歳以上・・・ 1 ( ±0 )例
〔考察〕 前回、今回共にブライトンレベル 3 以上の報告が 1 件だったため、それ以外に偏った変化はなかった。
【性別】
男性・・・ 12 ( ±0 )例
女性・・・ 39 ( +1 )例
〔考察〕 ファイザー社同様、副反応は圧倒的に女性が多いのが分かる。
〔考察〕 前回までは、アレルギーの有無も報告されていたのだが、ファイザー社製同様、今回からは割愛されたようである。
【アストラゼネカ社製】
1.報告状況
○ 前回の集計対象期間( 12 月 5 日)以降、バキスゼブリア筋注の副反応疑い報告において、医療機関からアナフィラキシー疑いとして報告された事例が新たに報告はなく、令和 3 年 8 月 3 日から令和 4 年 1 月 2 日までに報告されたアナフィ ラキシー疑い事例は計 5 件のままである。
2.専門家の評価
○ 令和 3 年 12 月 5 日までに報告された 5 事例を対象に、専門家の評価を実施し、評価結果の概要は、以下のとおり。
ブライトン 分類レベル |
報告件数 | |||
---|---|---|---|---|
1回目接種時 | 2回目接種時 | 3回目接種時 | ||
1 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
2 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
3 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
4 | 5(±0) | 2(±0) | 3(±0) | 0(±0) |
5 | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) | 0(±0) |
合計 | 5(+2) | 2(±0) | 3(±0) | 0(±0) |
○ 「ブライトン分類」での評価は、 5 事例中、何らかの循環器症状か呼吸器症状を発症し、重篤とされている“ 3 ”以上に該当するのは 0 例となっている。
・ レベル 1 ~ 3 の報告件数/推定接種回数・・・ 0 件/ 115,501 回接種
・ 100 万回あたりの報告件数・・・ 0 件
○ ブライトン分類レベル 1 ~ 3 の年齢別・性別の報告件数は無し。
アナフィラキシーに関する考え方(副反応疑い報告の状況に関するまとめ)
【 3 回目接種についてのまとめ】
○ ファイザー社ワクチンの 3 回目接種については、接種開始後( 2021 年 12 月 1 日)より、今回の審議会( 2022 年 1 月 2 日時点)までにおいて、医療機関より 147 件( 3 回目推定接種回数のうち 0.03% )、製造販売業者より 10 件( 3 回目推定接種回数のうち 0.00% )の報告があり、 1 ・ 2 回目接種時と大きな変化はなかった。
また、 3 回目接種後の死亡として 1 件( 3 回目推定接種回数 100 万回あたり 1.9 件)の報告があった。
○ 武田/モデルナ社ワクチンの 3 回目接種については、今回の審議会までにおいて副反応疑い報告はなかった。
【 3 回目接種に関する論点のまとめ】
○ 国内の 3 回目接種後に係る副反応疑い報告状況については、現時点では重大な懸念は認められない。
○ 国内外の 3 回目接種後の係る副反応疑いの報告状況についても、引き続き注視していく。
〔考察〕 前回から、アナフィラキシーに関する状況整理やまとめ等が削除され、 3 回目接種をクローズアップしている。今回の報告では、死亡例が 1 例になっているが、厚生労働省の専門部会は、新型コロナウィルスの 3 回目のワクチン接種後に男女 2 人が死亡したと発表している。死亡したのは 70 歳の男性と 57 歳の女性である。男性はモデルナのワクチンを接種、女性はファイザーのワクチンを接種していたということでだが、相も変わらず、ワクチン接種と死亡との因果関係について、厚労省の専門部会は「情報不足で評価できない」としていて、今後、詳しく調べる方針としている。
次回へ・・・。