「真実の口」2,274 サバイバー ㉚

前回の続き・・・。

○○○ 番と電光掲示板に番号が掲示される。

診察室をノックして入る。

私:「よろしくお願いします。」

医:「こちらにお掛けください。」

歯科医にある診察椅子である。

私:「はい。」

医:「これからがんの治療に並行して口腔ケアを担当する歯科医の ◇◇ です。よろしくお願いします。」

私:「よろしくお願いします。」

医:「がんの治療に際して、何故、口腔ケアが重要なのかを説明しますね。」

私:「はい。」

医:「一つ目は、術後の肺炎リスクを下げることです。」

私:「はい。」

医:「全身麻酔で手術を受ける患者さんは、人工呼吸器のチューブを口から喉を通して気管の中に挿入しますが、この際、気管のチューブを通して肺に入り込んだ口の細菌が、術後肺炎の原因となることがあるので、そのリスクを下げるためです。」

私:「ああ・・・。」

医:「二つ目は、チューブを気管に入れる時に、歯を痛めてしまい抜けてしまうことがあり、手術後の食事開始の妨げになることもあります。」

私:「はい。」

医:「事前にグラグラしている歯はないかなどのチェックをするためです。」

私:「ああ・・・。」

医:「三つめは、手術後の食事開始を助けることで、回復を早める支援をするためです。」

私:「はい。」

医:「口や喉のがんの場合、手術前に口のケアを行い細菌を減らしておくことによって、手術後の傷の感染や肺炎などの合併症のリスクを下げるためです。」

私:「はい。」

医:「こういったことから、手術を行う前から、口腔ケアを取り組みことでがん治療の成果を上げることが期待できると考えています。」

私:「わかりました。」

医:「それでは。お口の中を見せていただきます。椅子を倒します。」

私:「はい。」

そして、例のごとく・・・。

呪文のような、 〇 番 C0 、 〇 番 C1 ・・・というチェックを受ける(笑)

医:「椅子を起こします。

私:「はい。」

医:「左下の欠損はどうされましたか?」

私:「以前、手術をした際に、虫歯があって、それが手術に悪影響ということで、抜歯して、その後は義歯を入れていたんですけど、どうも、それが舌に当たりだして、それが原因で腫瘍が出来たみたいで・・・。今は、違和感があるのでずっと外したままです。」

医:「はい。分かりました。今日は持ってきていらっしゃいますか?」

私:「いいえ・・・。必要だったですか?」

医:「いえ・・・。大丈夫ですよ。」

私:「・・・。」

医:「では、衛生士から磨き残しのチェックと口腔ケアの仕方を聞いてください。」

私:「はい。」

衛生士さんに代わる。

衛:「お椅子を倒しますね~。」

私:「はい。」

衛:「では、お口を開けてください。」

私:「はい。」

衛:「きれいに歯磨きは出来ていますけど、少し。磨き残しがあるので掃除していきますね~。」

私:「・・・。」

衛:「奥歯の裏側が、歯ブラシが届きにくいので、注意してブラッシングするようにしてくださいね~。」

私:「はい。」

歯のチェックが終わり・・・。

衛:「現在、どんな歯ブラシをお使いですか?」

私:「いや、市販の普通の歯ブラシですけど・・・。」

衛:「今日、使った歯ブラシをお渡ししますのでこれを使ってください。」

私:「はい。」

衛:「歯ブラシは軟らかめになっているので、歯磨きの後には、歯茎を優しくブラッシングしてください。」

私:「はい。」

衛:「もういちどお口を開けて頂けますか~。」

私:「はい。」

衛:「こんな感じですね~。」

私:「はい。」

衛:「椅子を起こします。」

衛:「こんな歯ブラシは使ったことがありますか?」

タフトブラシ

私:「いいえ。」

衛:「歯と歯の間、奥歯の 1 番後ろ側、ブリッジの歯なんかの歯ブラシでは磨きにくい部分を磨くブラシです。」

私:「へ~っ。」

衛:「これで、一番奥の歯やブリッジの部分をしっかりブラッシングしてください。」

私:「はい。」

衛:「最後に、舌はブラッシングしていますか?」

私:「はい。時々、歯ブラシでしています。」

衛:「舌ブラシの方が良いのですが、歯ブラシの場合、あまり強く磨くと逆に良くないので、歯ブラシの側面を優しく舌に当て、奥から手前に数回ブラッシングしてください。」

私:「はい。」

衛:「ごしごし力を入れたり、往復しないようにケアしてください。」

私:「はい。」

声:「あいちゃ~。結構、ゴシゴシと往復してやっていたぞ・・・(-_-;)。」

衛:「以上で、口腔ケアの仕方ですが何か質問はありますか?」

私:「いいえ。」

衛:「それではこれで終了です。しっかり、ケアしてくださいね。」

医:「佐々田さん。入院時にもお口の状況を見ていきますのでよろしくお願いします。」

私:「はい。よろしくお願いします。」

診察が終わり、診察室を後にする。

会計へ向かう前に、家内に終わった旨を連絡する。

会計を済ます。

何やら、紙が二枚出てきた。

頭頚部外科 230 円

歯科 6,220 円

声:「ああ、そうか・・・。歯科とは別なんだ・・・。(゚ー゚)ナットク!」

会計が済んだところで、家内が声を掛けてきた。

家:「お疲れ様。」

私:「今、会計も済んだとこだわ。何か、食べられたんか?」

家:「うん。ちょっと外に出たら色々あった。」

私:「ふ~ん。良かったじゃん。さあ、帰りますか・・・。」

家:「うん。」

次回へ・・・。