前回までに、水産業、農業への提案という形で寄稿した。
今回は、林業にスポットをあててみたい。
テレビのニュース等では、農業や水産魚の被害は良く取り上げられているが、林業はあまり取り上げられていないように感じるのは私だけだろうか?
林業関係の被害は、青森県から高知県まで14県に及んでいるようである。
(単位:被害額百万円)
区分 |
民 有 林 |
国 有 林 |
合 計 |
|||
箇所数 |
金額 |
箇所数 |
金額 |
箇所数 |
金額 |
|
林地荒廃 |
397 |
15,621 |
32 |
8,148 |
429 |
23,769 |
治山施設 |
227 |
102,170 |
26 |
12,479 |
253 |
114,649 |
林道施設等 |
2,324 |
3,751 |
276 |
336 |
2,600 |
4,087 |
森林被害 |
(1,065) |
960 |
(-) |
- |
(1,065) |
960 |
木材加工・流通施設 |
112 |
50,787 |
- |
- |
112 |
50,787 |
特用林産施設等 |
470 |
2,468 |
- |
- |
470 |
2,468 |
合計 |
3,530 |
175,757 |
334 |
20,963 |
3,864 |
196,720 |
これは、8月24日、林野庁より発表された被害状況である(被害箇所、被害金額については調査中)
海岸部の保安林の被災や山崩れなど治山関係の被害が682ヶ所、林道の斜面崩壊や山村環境施設の損壊など林道施設関係の被害が2600ヶ所の被害が確認されている。
特に宮城県南部の山元町付近では海岸沿いに植えられていた飛砂・防風・潮害防備保安林のほとんどが、津波でなぎ倒されてしまった。
林業関係では木材加工・流通施設が112ヶ所、育苗施設や特用林産施設など470ヶ所が被災したようである。
特に岩手県や福島県では、栽培きのこ類などの生産に大きな被害が出ている。
岩手県・宮城県では6ヶ所の合板工場が被災し、稼働できない状態になっており、宮城県石巻市、岩手県宮古市、同大船渡市で操業していた6工場で、全国の約3割の合板を生産していたということである。
また、資材置き場が津波を被り、納品直前の合板を含む建築用資材が浸水した林業メーカーや建築業者も少なくない。
我々、建築に携わる者にとっては、深刻な状況である。
8月24日の林野庁発表による、具体的な各県の被害を見てみよう。
◆青森県
治山施設:12ヶ所
木材加工・流通施設の被災:4ヶ所
推定被害額:2,820,000,000円
◆秋田県
林野荒廃:4ヶ所
特用林産施設等の被災:9ヶ所
推定被害額:482,000,000円
◆岩手県
林地荒廃・治山施設・林道施設等・森林被害:598ヶ所
木材加工・流通施設の被災:35ヶ所
特用林産施設等の被災:192ヶ所
推定被害額:26,487,000,000円
◆山形県
林地荒廃・治山施設等被害:4ヶ所
推定被害額:118,000,000円
◆宮城県
林地荒廃・治山施設・林道施設等・森林被害:767ヶ所
木材加工・流通施設の被災:36ヶ所
特用林産施設等の被災:51ヶ所
推定被害額:104,571,000,000円
◆福島県
林地荒廃・治山施設・林道施設等・森林被害:1,093ヶ所
木材加工・流通施設の被災:29ヶ所
特用林産施設等の被災:39ヶ所
推定被害額:46,612,000,000円
◆群馬県
林地荒廃・治山施設・林道施設等被害:13ヶ所
特用林産施設等の被災:4ヶ所
推定被害額:211,000,000円
◆栃木県
林地荒廃・治山施設・林道施設等・森林被害:167ヶ所
木材加工・流通施設の被災:1ヶ所
特用林産施設等の被災:86ヶ所
推定被害額:3,147,000,000円
◆茨城県
林地荒廃・治山施設・林道施設等・森林被害:269ヶ所
木材加工・流通施設の被災:5ヶ所
特用林産施設等の被災:22ヶ所
推定被害額:4,952,000,000円
◆千葉県
林地荒廃・治山施設・林道施設等被害:32ヶ所
特用林産施設等の被災:6ヶ所
推定被害額:480,000,000円
◆長野県
林地荒廃・治山施設・林道施設等被害:146ヶ所
木材加工・流通施設の被災:1カ所
特用林産施設等の被災:20カ所
推定被害額:4,075,000,000円
◆新潟県
林地荒廃・治山施設・林道施設等被害:170ヶ所
特用林産施設等の被災:41ヶ所
推定被害額:2,685,000,000円
◆静岡県
林地荒廃・林道施設等被害:7ヶ所
推定被害額:25,000,000円
◆高知県
木材加工・流通施設の被災:1ヶ所
推定被害額:3,000,000円
全国の推定被害額は、196,720,000,000円に上る。