昨年 10 月、伊豆諸島の鳥島近海で謎の津波が発生したことを覚えているだろうか?
気象庁は、 9 日各地に津波警報を発表した。
午前 6 時 40 分・・・伊豆諸島、小笠原諸島
午前 7 時 44 分・・・高知県
午前 7 時 51 分・・・千葉県
午前 8 時 24 分・・・宮崎県、鹿児島県
注意報は正午にすべて解除された。
同庁によると、午前 5 時 25 分頃、鳥島近海を震源とする地震があり、震源の深さはごく浅いと推定されていた。
各地の検潮所で観測した津波の観測値は以下の通り。
東京都・八丈島神湊・・・午前 7 時 11 分に 0.2m
東京都・八丈島八重根・・・午前 7 時 17 分に 0.6m
東京都・父島二見・・・午前 7 時 24 分に 0.2m
東京都・三宅島阿古・・・午前 7 時 28 分に 0.3m
東京都・神津島神津島港・・・午前 8 時 00 分に 0.5m
千葉県・館山市布良・・・午前 8 時 7 分に 0.3m
宮崎県・日南市油津・・・午前 8 時 8 分に 0.2m
鹿児島県・種子島西之表・・・午前 8 時 9 分に 0.1m
高知県・土佐清水・・・午前 8 時 9 分に 0.4m
東京都・三宅島坪田・・・午前 8 時 11 分に 0.5m
高知県・室戸市室戸岬・・・午前 8 時 17 分に 0.1m
高知県・中土佐町久礼港・・・午前 8 時 15 分に 0.2m
鹿児島県・南大隅町大泊・・・午前 8 時 18 分に 0.3m
鹿児島県・中之島・・・午前 8 時 26 分に 0.4m
東京都・伊豆大島岡田・・・午前 8 時 36 分に 0.2m
鳥島近海では、これまでも海底火山の影響とみられる津波が発生しており、詳しく調べられた。
東京大学地震研究所・三反畑修助教は、今回、各地で観測された地震波や津波のデータの分析をおこない、それによると、「通常の地震でみられる断層破壊の際に生じる波形とは異なり、体積が膨張した際に生じる波形データに類似している。」とした。
この体積膨張の要因については、地形の変形を伴っていて、地下からマグマが上昇したことで海水を押しあげた可能性が 1 つ考えられるとしている。
近くに海底火山のある鳥島近海では 1984 年以降、 10 年に一回程度、通常おきる地震の規模に比べて規模の大きな津波が発生することが知られていて、三反畑助教は、いずれも鳥島の北側にある須美寿カルデラで海底のマグマが海底の岩盤を押しあげて津波を発生させたと分析している。
この現象は「トラップドア断層破壊」と呼ばれていて、 2015 年の 5 月に八丈島で 60cm の津波を観測した M5.9 の地震でも、地下のマグマ活動が津波を発生させたらしい。
9 日朝の地震の震源は鳥島の南側と推定されていて、海上保安庁によると、近くには孀婦岩と呼ばれる海底火山があることから、三反畑助教は、地下のマグマ活動によって津波が発生した可能性もあるとみて引き続き、データの詳細な分析を進めている。
三反畑助教は、マグマ上昇による海面の変動は陸地で大きな揺れを伴わないケースも多く、気象庁が出す津波情報に注意してほしいと話している。
鳥島近海の地震履歴を見ても、上記のようになっている。
気象庁のデータに残らない程のマグマ上昇で起きる津波があるということあ改めて頭にとどめておかねばならないのかもしれない。
次回へ・・・。