「真実の口」540 ヒマラヤの風にのって・・・②

前回の続き・・・。

『ヒマラヤの風にのって』を、私は、東京へ向かう飛行機の中で読み始めた。

吉村さんらしく、自身を冷静に観察した文体で書かれていた。

病状や治療法、その時折の心情やそして家族の愛情もリアルに表現されて・・・。

読み進んでいくうちに、不覚にも、涙が溢れてしまった。

キャビン・アテンダントに悟られないように、窓の方を向きながら、涙を拭きつつ読んだ。

残念ながら、入院したときには、手の施しようがない状態で、緩和ケアしかなかったようである。

それでも、逆に、抗がん剤を投与することができなかったお陰で、『ヒマラヤの風にのって』の執筆も出来て、最期まで作家として、生きられた訳だから、ある意味良かったのかもしれない・・・。

本書は、死を受け入れた本人と家族が、死と明るく向かいあえることの実証でもある。

吉村さんは、禁止三箇条なるものを作っていた。

“泣くこと、悔やむこと、思い出話をすること”

吉村さんに言わせれば、これらは余命幾ばくも無いものにとって、何ら価値を見いださないかららしい・・・。

そして、病状に関しての情報を、本人を含めた家族全員が100%共有したいということを医師に伝えていた。

そうすることによって、家族がひとつのチームになって、支え合うことが出来ると信じたからだ。

しかし、あとどの位、生きられるかということは聞かないとも決めていた・・・。

“リビング・ウィル”という言葉を知っているだろうか?

“生前の意志”というものなのだが・・・。

吉村さんは、3つのことを娘さんに伝えている。

『戒名をつけないこと。』

『墓に入れないこと。』

『死に装束ではなく、普段着のまま、火葬すること。』

戒名に関しては、吉村さんは、無宗教ということに誇りを持ち、戒名ではなく、吉村達也のまま死ぬということらしい・・・。

墓に関しては、この本のタイトルに由来することなのだが、吉村さん家族が永年飼っていた愛猫のヒマラヤン(ショコラン)が、吉村さんが他界する前に亡くなったのだが、その猫のお骨を、ヒマラヤに散骨したいと決めていたため、自身も亡くなったときは、ヒマラヤに一緒に散骨して欲しいということらしい・・・。

死に装束に関しては、幽霊のコスプレのような白い着物ではなく、娘さんからプレゼントされた上下の服で、普段着のまま送って欲しいということらしい・・・。

実は、5月6日に紹介した近藤誠氏著の『医者に殺されない47の心得』の巻末にも近藤氏のリビング・ウィルが書かれている。

少し紹介してみよう・・・。

『救急車は呼ばない。』

『人工呼吸器をつけない。』

『自力で飲食出来ないなら、無理に口に入れない。』

『延命治療をしない。』

『痛みで苦しんでいるのであれば、モルヒネ等の痛みを取る緩和ケアを喜んで受ける。』

もちろん、本文は、全て丁寧に、「~しないで下さい」「お願いします」等の言葉で表現されている。

実は、私もこの著を読んで、事務所のPCには、リビング・ウィルを残している。

どういう状態で、死を迎えるのかは判らないが、自分の思う死に方をしたいと思うのであれば、この意思表示は残しておいた方が良いのではないだろうか???

進行がんあるいは完治の望めない病気になったとき、吉村さんの死との向き合い方は、非常に参考になると思う。

開き直って、全てを環境回復サロンに委ねるってのも、良いのでは・・・( ̄ー ̄)ニヤリ

興味がある方は、是非、ご一読を・・・。